盲腸などの日常的に行われている手術の後の経過観察をオンライン(遠隔診療)で行っても、ケアに対する患者の満足度は対面診療と変わらない可能性のあることが、新たな研究で明らかになった。遠隔診療を受けた人は、通院の手間や診察までの待ち時間を省略できる点を高く評価していることも判明したという。米カロリナス医療センターのCaroline Reinke氏らによるこの研究結果は、「Journal of the American College of Surgeons」に9月9日掲載された。

 遠隔診療は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック中に脚光を浴び、多くの診察がオンラインで行われるようになった。だが、遠隔診療はパンデミックが発生する何年も前から実施されていた。今回の研究も、パンデミック前の2017年8月から2020年3月の間に腹腔鏡下虫垂切除術、または腹腔鏡下胆嚢摘出術を受けた289人(18〜90歳)を対象に実施された。対象者は、手術後の経過観察をビデオ通話ベースの遠隔診療で受ける群と、対面で受ける群にランダムに割り付けられた。遠隔診療に割り付けられた患者の一部(53人)が途中で対面診療に切り替えたため、遠隔診療群は135人、対面診療群は101人だった。経過観察の終了後、対象者はケアに対する満足度と利便性に関する調査に回答した。

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 その結果、遠隔診療群の受けたケアに対する満足度は、対面診療群と同等であることが明らかになった。しかし、利便性についての評価は、遠隔診療群の方が高かった。評価されていた点は、自宅から、または職場の休み時間を使って経過観察を受けられるため、移動時間や診察までの待ち時間を省略できることだった。さらに、今後、再診察を受ける際に今回と同じ方法を選択したいと答えた人の割合は、遠隔診療群で78.8%だったのに対して、対面診療群では47.4%と半数に満たなかった。

 研究グループは、「この結果は、たとえ手術後の経過観察であっても、遠隔診療で全て滞りなく済ませられることを示す新たなエビデンスとなるものだ」との見方を示している。

 ただし、遠隔診療群で何もかもがスムーズに運んだわけではない。遠隔診療群の27.5%は、オンラインプラットフォームの使用の難しさやインターネット接続環境の不安定さなどの技術的な問題に直面していた。また、担当医が遠隔診療に割く時間が限られていたため、予約を取りづらいときがあったとする意見もあった。この点について、論文の筆頭著者である同センターのKristen Harkey氏は、「研究が実施された頃に比べると、こうした問題に対処するために、オンラインプラットフォームは改善されている」と述べている。

 米マウント・サイナイ病院のScott Nguyen氏は、「パンデミックの発生以来、患者と医師の双方が遠隔診療をより快適に行えるようになったのは確かだ」とHarkey氏に同意する。Nguyen氏は、遠隔診療は虫垂切除術後に行われるような1回限りの経過観察に適しているが、例えば減量手術のように、経過観察が複数回必要になるような、より複雑な手術の後には、少なくとも1回は対面で診察した方が良いとの見方を示す。

 またNguyen氏は、「通院のための移動時間や診察までの待ち時間がない点は、遠隔診療の明らかな利点だ。しかし、どれだけ遠隔診療が便利になっても、それでも対面診療を好む人は一定数いる」と指摘する。そして、「遠隔診療が人々の生活に浸透したことで、間違いなくこれまで以上に便利になる。それでも、遠隔診療が対面診療の代わりとなることはない」と話している。

[HealthDay News 2021年9月20日]

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