持ち運び可能な小型のスキャナーで両目をスキャンし、網膜の中心部である「中心窩」できちんと対象を捉えているかどうかを調べることで、弱視についてより詳細な検査が必要な子どもと必要のない子どもをスクリーニングできる可能性が、新たな研究で示唆された。米カイザー・パーマネンテの小児眼科医であるShaival Shah氏らによるこの研究結果は、「Journal of the American Association for Pediatric Ophthalmology and Strabismus」8月号に掲載された。

 弱視とは、視力の発達が障害されたことにより生じる低視力のことをいう。幼児期の発達中の脳は、左右の目からの画像を融合して一つの像として認識する方法を学ぶ。しかし、片方の目の視線の向きにずれ(斜視)があったり片方の目が低視力だったりすると、両目からの視覚情報を処理する脳の能力が妨げられる。その結果、脳は片方の目の情報を無視するようになり、使われない方の目が弱視になる。子どもの視力は6〜8歳頃までに完成するとされている。この目の発達期間を過ぎてしまうと、メガネやコンタクトレンズで弱視を矯正することはできなくなるため、早期発見が鍵となる。弱視の子どもでは、学業に遅れが生じたり、奥行知覚や目と手との強調運動を行う能力が障害されたりする可能性があるという。

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 Shah氏らが今回の研究で使用したスクリーニング装置(Pediatric Vision Scanner;PVS)は、子どもが14インチ(約36cm)離れた場所にあるスマイリーフェイスの形をした固視標を両眼で見つめている間に偏光レーザーで両目をスキャンし、固視標が、網膜の中で最も視力の高い部分である中心窩で結像されているか否かを判断する。ほんのわずかなずれであっても斜視があると、見ようとしているものが中心窩で捉えられず、左右の目からの像を融合する脳の能力は阻害される。PVSは、算出した両眼視機能(両目で同時に物を見る能力)スコアに基づき、より詳細な検査の必要性の有無を判定する。

 研究では、斜視や弱視の有無が判明していない2〜6歳の小児300人の目を、PVSの使い方を習得した2人の眼科専門ではない助手が調べ、その結果を、PVSによる検査結果を知らされていない小児専門の眼科医による検査結果と比較した。

 その結果、PVSは、眼科医が確認した6例(2%)の弱視および/または斜視を検出した(感度100%)。また、別の45人は、PVSにより弱視や斜視の可能性があると判定されたが、後に、眼科医により異常のないことが確認された(特異度85%)。子どもを座らせてスキャンを行い、結果を記録するまでに要した時間は、中央値で28秒だった。このうち、子どもの注意力が必要な検査時間はわずか2.5秒であるという。

 Shah氏は、「この結果は、小児科医や他のプライマリケア医が、PVSを使って、治療が容易な幼児期のうちに弱視を発見できる可能性があることを示唆している」と述べている。

 ただし、今回の研究では、PVSと既存の写真スクリーニング装置(フラッシュをたいて写真を撮り、黒目に映る反射光の位置が左右の目で同じ位置にあるか否かで判断する)との比較を行っていない。Shah氏らは、写真スクリーニングデバイスは弱視のリスク因子の検出には役立つが、弱視自体の検出はできないため、弱視を見落としたり、弱視でないものを弱視と判定したりといったことも起こりかねないと説明する。

 なお、PVSは、2016年に米食品医薬品局(FDA)により承認されたスクリーニング装置であるblinqの原型となった。

[HealthDay News 2021年10月20日]

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Photo Credit: Andrew Schuman, MD. blinqで弱視の検査を行っている様子

(タイトル部のImage:Romolo Tavani -stock.adobe.com)