ロボットが人間の補助なしで初めて難易度の高い腹腔鏡手術をブタに実施した。手術結果は、人間が同じ手術を行うよりもはるかに優れていたという。これは、人体に対する手術の完全自動化に向けた大きな一歩となる可能性がある。米ジョンズ・ホプキンス大学機械工学分野のAxel Krieger氏らによるこの研究の詳細は、「Science Robotics」に1月26日掲載された。

 STAR(Smart Tissue Autonomous Robot)は、同大学と米Children's National Hospitalの研究者らが設計した、軟部組織の縫合に特化した視覚誘導型ロボットシステムで、2016年モデルを改良したもの。旧モデルでは、ブタの腸管吻合に成功したものの、腸にアクセスするための大きな切開と人間による誘導が必要であった。

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 今回の研究では、STARが腸管吻合と呼ばれる処置を4頭のブタに実施した。反復する高度な動きと正確さが求められる腸管吻合は、消化器外科の中で最も難易度の高い手術であり、施術する外科医には優れた技術(高い精度と一貫性)が求められる。わずかな手の震えや縫合場所の違いでも漏出が生じ、重篤な合併症を引き起こすことがあるからだ。

 その結果、STARによる腸管吻合は、外科医が行うよりも時間がかかったものの(平均62.03分対25.6分)、正確性と一貫性の点では外科医よりも優れていることが明らかになった。

 Krieger氏は、「この知見は、外科手術において最も複雑で繊細な操作の1つである腸管吻合を自動化できる可能性を示すものだ。STARを使って4頭のブタにこの処置を実施し、人間が同じ処置をするよりもはるかに優れた結果を出した」と述べている。

 Krieger氏によると、特に軟部組織の手術は、予期せぬ問題が生じて臨機応変な対応が必要になることがあるため、ロボットには難しいという。そのためSTARは、人間の外科医と同じように、リアルタイムで手術計画を調整できるコントロールシステムを有している。「STARは人間による最小限の介入のみで軟部組織の手術を計画、調整、実行できる初のロボットシステムだ」と同氏は強調する。

 Krieger氏は、「医療現場では、腹腔鏡手術が増加傾向にあることから、このような処置を補助するように設計された自動化ロボットシステムは、今後、重要性を増すだろう」と話す。また同氏は、「ロボットによる吻合術は、高度な精度と反復性を要する手技を、外科医の技能とは関わりなく全ての患者に実施できる1つの方法だ。この方法は今後、予測可能な一貫したアウトカムを患者にもたらす外科的アプローチになるだろう」との見通しを示している。

[HealthDay News 2022年1月28日]

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Photo Credit: Johns Hopkins University. ロボットによる手術の様子

(タイトル部のImage:Romolo Tavani -stock.adobe.com)