1日の歩数が多い高齢者は、糖尿病のリスクが低いというデータが報告された。2,000歩多く歩くごとに、リスクが12%低下する可能性があるという。より高強度での歩行が効果的であることも分かった。米カリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)のAlexis Garduno氏らの研究結果であり、詳細は「Diabetes Care」に1月17日掲載された。

 この研究は、閉経後の女性の健康状態を長期間追跡している「女性の健康イニシアチブ研究」のデータを用いて行われた。解析対象は研究参加登録時点で糖尿病と診断されていなかった65歳以上の女性4,838人(平均年齢78.9±6.7歳)。腰に加速度センサー式歩数計を付けて1週間生活してもらい、1日当たりの歩数を運動強度別に把握。その結果、平均歩数は3,729±2,114歩であり、そのうち1,875±791歩が低強度での歩行、1,854±1,762歩が中~高強度での歩行だった。

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 最大6.9年(中央値5.7年)の追跡で395人(8.1%)が糖尿病を発症した。年齢や糖尿病の家族歴、飲酒・喫煙習慣、身体機能、教育歴、主観的健康感などの糖尿病発症リスクに影響を及ぼし得る因子を調整後、以下に記すような、歩行数および歩行強度と糖尿病発症リスクとの関連が明らかになった。

 まず、1日の歩数が2,000歩多いごとに、糖尿病発症リスクは12%低下していた〔ハザード比(HR)0.88(95%信頼区間0.78~1.00)〕。調整因子にBMIを加えるとハザード比は0.90(同0.80~1.02)と非有意となった。なお、BMIは、歩数と糖尿病の関連の媒介因子として有意ではなかった〔媒介割合17.7%(P=0.09)〕。

 次に、歩行強度別の検討からは、高強度での歩行が糖尿病発症抑制にとって、より重要であることが示された。具体的には、低強度での歩行の場合、1日当たり2,000歩多く歩くことによる糖尿病発症リスク抑制効果は非有意だった〔HR0.97(同0.73~1.29)〕。一方、中~高強度での歩行の場合、1日当たり2,000歩多く歩くことで、糖尿病発症リスクが14%有意に低下していた〔HR0.86(同0.74~1.00)〕。

 論文の共著者であるUCSDのJohn Bellettiere氏は、「毎年新たに50万人の高齢者が糖尿病を発症すると仮定すると、全ての高齢者が1日に2,000歩多く歩くことで、新規発症者を6万人減らすことができると計算される」と、社会的な影響力の強さを語る。もっとも、高齢者は身体機能の低下のために、今回の研究で高い有効性が示された中~高強度での歩行が難しいことが少なくない。しかしBellettiere氏によると、「必ずしも速いスピードで遠くまで足を運ぶ必要はない」とのことだ。

 「高齢者の適切な運動強度は非高齢者とは異なる。『中程度の強度の歩行とはどの程度の早さか』を説明する時、若年者や中年者に対しては『やや呼吸が荒くなり、会話を続けるのが困難に感じるくらいの速度』と伝えることが多い。それに対して70歳あるいは80歳の人の場合、自宅周辺をウォーキングするだけでも立派な運動になり得る」とBellettiere氏は解説している。

 一方、Garduno氏は、運動を継続することの大切さを語る。「糖尿病発症を食い止めたとしても、その状態を維持することが重要。それには毎日のスケジュールの一部として、ウォーキングの時間を設定しておくと良い。週に一度の散歩では、高齢者の糖尿病発症リスクを押し下げるのに十分とは言えない」と同氏は述べている。

[HealthDay News 2022年1月25日]

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