不眠症の小児は、思春期や若年成人になっても不眠症を抱えるリスクが高いようだ。不眠症だった小児の43%は、成人期になっても変わらず不眠症に悩まされており、不眠症の小児が最終的に不眠症の成人になるリスクは、不眠症のなかった小児の約3倍に上ることが、新たな研究で明らかにされた。米ペンシルベニア州立大学睡眠研究治療センターのJulio Fernandez-Mendoza氏らによるこの研究結果は、「Pediatrics」に2月17日に掲載された。

 小児の不眠症は珍しいものではない。Fernandez-Mendoza氏は、「学齢期の小児の約20〜25%に、入眠困難や睡眠維持困難などの不眠症の症状が見られる。思春期に入ると、この割合は35〜40%に上昇する」と話す。小児での不眠症の原因には遺伝的素因もあるものの、それ以上に、医学・行動・環境的要因の影響が大きいという。その具体例は、消化器系の問題、頭痛、ストレスの多い家庭または近隣環境、貧困や差別、睡眠習慣の問題(就寝前の電子機器の常用など)である。

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 研究グループは今回、502人の小児(年齢中央値9歳)を対象に、成人になるまで追跡して成長に伴う不眠症の症状の変化を調べた。不眠症の症状は、研究開始時と、調査開始から7.4年後の思春期(年齢中央値16歳)、および15年後の成人期(年齢中央値24歳)の3回にわたって、対象者本人またはその親への質問票による調査で評価した。また、小児期と思春期には終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG検査)も行った。

 その結果、不眠症だった小児の43.3%が思春期と成人期を通して不眠症に悩まされていることが明らかになった。また、26.9%の小児では小児期のうちに、11.2%の小児では思春期以降に不眠症の症状が緩和したものの、18.6%は症状が改善したかと思えば悪化するような漸増漸減パターンを経験していた。一方、小児期に不眠症のなかった対象者では、48.1%が思春期から成人期に入っても、変わらず睡眠に問題を抱えていなかった。しかし、15.2%は思春期から、また20.7%は成人期になってから、新たに不眠症の症状を呈するようになった。

 Fernandez-Mendoza氏は、「この研究結果は、不眠症が生涯にわたる問題となるのを防ぐために、若年齢のうちに対処することの重要性を強調するものだ」と述べる。

 小児の不眠症に対しては、認知行動療法により、ベッドの中での電子機器の使用やテレビ視聴、入眠前の心配、週末の寝溜めや日中の昼寝などの睡眠に悪影響を及ぼす習慣を是正していくことが多いという。Fernandez-Mendoza氏は、「この手の介入法は、成人の不眠症に対して長らく用いられている。そのため、若年者、特に思春期の若者に対する有効性のエビデンスが集積しており、介入法に対する支持も増え続けている」と話す。その一方で同氏は、小児の不眠症に対する睡眠薬の使用については、「睡眠薬は常に二次治療であるべきだ」として慎重な姿勢を示している。

 米シアトル小児病院のCarey Lockhart氏は、「親は、まず乳児に健康的な睡眠習慣を身に付けさせるべきだ。小児期を通して維持できる、就寝前の心を落ち着かせる一貫したルーチンを築き、また、就寝前にはスクリーンタイムを設けないなどの健康的な睡眠習慣を子どもに教えることで、安定したルーチンと睡眠の健康を維持するための盤石な基盤を作り上げることができるだろう」と話す。さらに同氏は、「思春期を迎えた子どもには早い段階で、例えば宿題は日のあるうちに済ませるなどの時間管理スキルを身に付けさせると良いだろう。夜に宿題をすることは、就寝時間が遅くなる原因の一つとなり得る」と付け加えている。

[HealthDay News 2022年2月17日]

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