高齢期に入ってからの身体活動も、その後の健康の維持にとって重要であることを示すデータが報告された。パドヴァ大学(イタリア)のClaudio Barbiellini Amidei氏らの研究によるもので、詳細は「Heart」に2月14日掲載された。

 Amidei氏らの研究は、イタリアの地域住民対象コホート研究のデータを用いて行われた。このコホート研究では、1995~1997年に65歳以上の高齢者3,099人を登録し、4年後と7年後に追跡調査を行い、身体活動量の変化を把握。また、心血管イベントの発生や死亡に関しては2018年末まで追跡した。身体活動量は、ウォーキングやボーリング、釣りなどは中強度、サイクリング、水泳、ダンス、ジムでのトレーニングなどは高強度と分類。高強度身体活動の時間に中強度身体活動の時間の2分の1を加え、その和が1日20分以上の場合に「活動的」、20分未満の場合を「非活動的」と定義した。

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 検討に必要なデータが欠落している人を除き、2,754人(平均年齢75.1±7.0歳、女性60.2%)を解析対象としたところ、追跡期間中に1,037件の心血管イベントが記録されていた。身体活動量と心血管イベントリスクとの関連の解析に際しては、結果に影響を及ぼし得る因子(喫煙・飲酒習慣、心血管疾患の既往、罹患している慢性併存疾患の数、教育歴、世帯人数など)を調整した。

 解析の結果、男性では以下に記すように、活動的な群の方が非活動的な群よりも、心血管疾患(CVD)、冠動脈性心疾患(CHD)、心不全のリスクが有意に低かった。CVDはハザード比(HR)0.74(95%信頼区間0.58~0.94)、CHDはHR0.66(同0.50~0.87)、心不全はHR0.72(同0.53~0.98)。また、追跡期間中の身体活動量の変化を、非活動的で安定、活動的から非活動的に低下、非活動的から活動的に上昇、活動的で安定の4群に分けてイベントリスクとの関連を検討した結果、活動的で安定である方が有意に低リスクだった(傾向性P値がCVDは0.002、CHD0.005、心不全0.038)。

 他方、女性では活動的な群でもこれらのリスク低下は有意でなかった。ただし、全死亡リスクに関しては、男性・女性ともに活動的な群の方が有意に低かった〔男性はHR0.72(95%信頼区間0.62~0.84)、女性はHR0.81(同0.72~0.92)〕。また、追跡期間中の身体活動量の変化についての解析結果も、男性・女性ともに活動的で安定である方が、全死亡リスクが有意に低かった(傾向性P値が男性は<0.0001、女性は0.010)。なお、脳卒中のリスクに関しては、男性・女性ともに身体活動との有意な関連は認められなかった。

 Amidei氏は、「本研究は身体活動と心血管イベントリスクの低さとの関連を明らかにしたものであり、『身体活動によって心臓病が予防された』と断定はできない」と、解釈上の注意点を挙げながらも、「年齢にかかわらず身体活動が重要であることが示された。身体活動は高齢者にとって薬とも言える。習慣的な身体活動量を評価し奨励することは、高齢者ヘルスケアの基本となり得る」と、研究の成果をまとめている。

 トリエステ大学(イタリア)のGianfranco Sinagra氏は本論文の付随論評の中で、「わずかな身体活動でも高齢者に有益な効果をもたらす。その効果は、身体活動によるアテローム性動脈硬化症の進展抑止に起因するものではないか」と解説。また、米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)のGregg Fonarow氏は本報告を受けて、「習慣的な身体活動による健康に対する有益な効果は、男性と女性の双方で生涯にわたって認められるようだ。つまり、どのような年齢であっても、身体活動から健康上のメリットを得ようとする時、スタートが遅すぎるということはないと示唆される」とコメントしている。

[HealthDay News 2022年2月16日]

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