犬や猫などのペットを飼うことは、脳の健康にも良いようだ。ペットと人間との絆が、血圧低下やストレス軽減などの健康上のメリットをもたらし得ることは、過去の研究で示唆されている。今回、米ミシガン大学医療センターのTiffany Braley氏らが実施した研究から、ペットを飼うことで認知機能の低下も抑制される可能性のあることが明らかになった。この研究結果は、米国神経学会年次総会(AAN 2022、4月2〜7日、米シアトル/オンライン開催)で発表予定である。

 この研究は、メディケア受給者を対象にした健康と退職研究(Health and Retirement Study;HRS)のデータを用いて、研究開始時に認知機能が正常だった1,369人(平均年齢65歳)を対象に実施された。対象者の53%はペット所有者であり、うち32%は5年以上にわたりペットを飼っていた。また、対象者の88%は白人、7%は黒人、2%はヒスパニック系、3%はその他の民族/人種だった。Braley氏らは、2010年から2016年にHRSで実施された認知機能テスト(引き算、数字の逆唱、語想起)の結果を基に、対象者一人ひとりの認知機能総スコア(0〜27点)を算出し、ペットを飼っている年数と認知機能との関連を検討した。

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 その結果、6年間での認知機能総スコアの低下スピードは、ペットを飼っている人の方が飼っていない人よりも遅いことが明らかになった。この差は、ペットを5年以上飼っている人で最も大きく、認知機能に影響を及ぼすことが判明している他の要因を考慮しても、これらの人ではペットを飼っていない人に比べて、試験開始から6年後時点での認知機能総スコアが平均で1.2点高かった。さらに、ペットの長期飼育で得られるベネフィットは、黒人、大学教育を受けた人、および男性で顕著に認められた。

 Braley氏は、「ストレスは認知機能に悪影響を与える可能性がある。今回の研究がこのような結果となった理由は、ペットを飼うことの潜在的なストレス緩和効果にあるのではないか」と同学会のニュースリリースで述べている。その上で、「コンパニオンアニマルがいる人では、身体活動量が増えることも考えられる。それが、認知機能の健康にベネフィットをもたらしている可能性もある」と付け加えている。

 この他にも、「PLOS ONE」に2月23日発表された別の研究では、犬を飼うことが身体にもたらすベネフィットについて報告されている。同研究では、犬を飼っている人では、加齢に伴う身体障害の発症リスクが低いことが明らかにされている。

 なお、学会発表された研究結果は、査読を受けて医学誌に掲載されるまでは一般に予備的なものとみなされる。

[HealthDay News 2022年2月24日]

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