マンモグラフィ検査による乳がんの過剰診断の発生頻度は、これまで言われていたよりも低い可能性のあることが、新たな研究で示された。米デューク大学医療センターのMarc Ryser氏らによるこの研究結果は、「Annals of Internal Medicine」に3月1日掲載された。

 Ryser氏らは今回、乳がんサーベイランス・コンソーシアム(Breast Cancer Surveillance Consortium)のデータを用いて、50〜74歳の女性3万5,986人を対象に、乳がんの過剰診断の発生率を推定した。これらの女性たちが2000年から2018年の間に隔年で受けたマンモグラフィ検査の総計は8万2,677件、乳がんの診断件数は718件だった。

[画像のクリックで別ページへ]

 その結果、マンモグラフィ検査で発見された乳がんの15.4%は、過剰診断であったことが推定された。これらのがんの6.1%は発症前段階の低悪性度がん、9.3%は発症前段階の進行性がんであり、いずれも臨床的に症状が現れて乳がんと診断される前に別の原因で死亡するような性質のがんであった。研究グループによると、15.4%という数字は、これまでに報告されていた数字の半分程度であるという。

 こうした結果を受けてRyser氏は、「今回の研究で用いたデータは、米国のマンモグラフィデータとしては最も質の高いものだ。得られた結果は、乳がんの過剰診断の発生率について、より信頼できる推定値を示すものだ」と話す。

 一方、今回の研究論文の付随論評に共著者として名を連ねる、米マサチューセッツ総合病院のKatrina Armstrong氏は、「過剰診断が生じる頻度は、われわれが考えていたよりは少ないようだ。これは良い知らせだ」と話す。過剰診断の問題点として同氏は、「がんの過剰診断は、不必要な治療につながる。がんの治療は、副作用と精神的な打撃を伴うものだ」と説明する。

 とはいえ、マンモグラフィ検査で過剰診断を受ける確率は低い。同氏によると、マンモグラフィ検査で乳がんと診断される女性の割合は、1,000人当たり約7人だという。今回の研究で示された推定値に基づくと、マンモグラフィ検査を受ける女性の約1,000人に1人が、がんの過剰診断を受けることになる。それゆえ同氏は、「乳がんの過剰診断を理由に、女性がマンモグラフィ検査の受診を躊躇することはないだろう」との見方を示す。

 ただしArmstrong氏は、「国レベルで見た場合には、過剰診断は大きな問題だ」と指摘する。米国だけでも、毎年約28万人の女性が乳がんと診断されている。同氏は、「乳がんの60%程度がマンモグラフィ検査により発見されたものだとすると、過剰診断をなくすことで、約2万5,000人の女性が不必要な治療を受けずに済む」と強調する。

 では、過剰診断はなぜ生じるのか。論文の上席著者で、米フレッドハッチンソンがん研究センター教授のRuth Etzioni氏は、「完璧なスクリーニング検査などない。スクリーニングとは、無症状の人における疾患の初期兆候の有無を調べることであり、偽陽性の判定や過剰診断のリスクを免れることはできない」と話す。

 それでもArmstrong氏は、過剰診断と過剰治療を可能な限り防ぐ必要性を強調し、今後の研究がもたらす結果に期待を寄せる。同氏によると、目下、乳がんのスクリーニング技術の精度を向上させるための方法や、進行する可能性のある乳腺腫瘍を予測するためのより良い方法を模索する研究が実施中であるという。それと同時に同氏は、乳がんの修正可能なリスク因子の重要性についても触れ、「乳がんの発症リスクは、定期的な運動と適度な飲酒を守ることで下げることができる」と話している。

[HealthDay News 2022年3月1日]

Copyright © 2022 HealthDay. All rights reserved.
Photo Credit: Adobe Stock

(タイトル部のImage:Romolo Tavani -stock.adobe.com)