ソーシャルメディアの使用が若年者の人生に対する満足度(以下、人生満足度)に悪影響を及ぼすリスクは特定の年齢で高く、また、男子と女子でその年齢が異なるとする研究結果が報告された。英ケンブリッジ大学MRC認知および脳科学ユニットのAmy Orben氏らによるこの研究の詳細は、「Nature Communications」に3月28日掲載された。

 Orben氏らは、ソーシャルメディアの使用と人生満足度の関連を検討するために、英国の2つのデータセットを用いて、10〜80歳の8万4,011人分のデータを分析した。その結果、対象者が報告したソーシャルメディアの使用時間と人生満足度の評価との関係は、年齢により大きく異なり、中でも思春期に著しい負の相関が見られることが明らかになった。男女による違いが認められたのも思春期のみだった。

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 そこで、ソーシャルメディアの使用状況と人生満足度に関して毎年実施された調査に最大7回参加した10〜21歳の1万7,400人を対象に分析した。その結果、特定の年齢で、ソーシャルメディアの長時間にわたる使用が1年後の人生満足度の低下と関連していることを見出した。その年齢は、男子と女子で異なり、女子では11〜13歳と19歳、男子では14〜15歳と19歳だった。また、この年齢では、平均より低い人生満足度が1年後のソーシャルメディアの使用時間の増加と関連することも分かった。

 研究グループは、「今回の研究で見られた性差は、ソーシャルメディアに対する感受性が、脳の構造や思春期の訪れなどの発達上の変化に関連している可能性があることを示唆している」と述べる。こうした発達上の変化は、男子よりも女子で早く生じる。

 また、男女ともに19歳時にソーシャルメディアの使用と人生満足度との間に関連が認められた点について研究グループは、「これは、家を出て一人暮らしを始めたり仕事を始めたりといった社会環境の変化が、この年齢の人々をより脆弱にしているのかもしれない」と説明している。

 Orben氏は、「この結果から問うべきは、関連が本当に認められるのか否かではない。今後は、思春期にはソーシャルメディアによる悪影響が最も強くなる可能性があるという結果を踏まえた上で、この期間に焦点を当てたより興味深い問いを立てていくべきだ」と話す。

 研究論文の共著者で、英ケンブリッジ大学の心理学・認知神経科学分野の教授であるSarah-Jayne Blakemore氏は、「思春期に生じる精神的、生物学的、社会的変化は互いに絡み合っているため、この脆弱性の根底にあるプロセスを特定するのは困難だ。例えば、ホルモン分泌や脳の発達の変化が及ぼす影響と、仲間との関係性が及ぼす影響を区別することは、現時点では不可能だ」と話す。

 なお、米ニューヨークタイムズ紙によると、米国のティーンの10人に9人がスマートフォンを所有し、ソーシャルメディアを通じたコミュニケーションやゲーム、動画視聴などに1日に何時間も費やしているという。また、「Archives of Disease in Childhood」に2021年3月に発表された研究では、動画共有アプリのTikTokを使用している小児で、神経障害であるチック症や、チック症に似た発作の発症が増えていることが報告されている。

[HealthDay News 2022年3月29日]

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(タイトル部のImage:Romolo Tavani -stock.adobe.com)