椅子に座ったまま行う座位太極拳は、脳卒中を経験した患者に標準的なリハビリテーションと同程度のベネフィットをもたらすことが、新たな研究で明らかにされた。雲南中医薬大学(中国)のJie Zhao氏らが実施したこの研究の詳細は、「Stroke」に4月7日掲載された。

 脳卒中は米国で長期的な身体障害の原因の首位を占めている。米国心臓協会(AHA)は、脳卒中患者は脳卒中発症後7日以内にリハビリテーションを開始し、最長6カ月間続けることを推奨している。しかし、多くの患者は、身体の安定性が足りないか、両腕を十分に使えないため、リハビリテーションを途中で放棄してしまう。AHAはまた、「脳卒中サバイバーの身体活動と運動の推奨事項に関する科学的声明」の中で、ヨガや太極拳などの柔軟性と筋力を高めるためのトレーニングが、バランス、生活の質(QOL)、メンタルヘルスの改善において有益であるとともに、転倒リスクの減少にもつながるとしている。

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 太極拳は、手、腕、首、脚および身体中心部の緩やかな動きを深呼吸とともに連続して行うもの。研究グループは、脳卒中後の患者が座ったままできる太極拳を開発し、太極拳が回復期にある脳卒中患者のアウトカムに及ぼす影響を検討した。Zhao氏は、「太極拳は中国の体操の一種として長い歴史がある。われわれは、筋力低下や部分的な四肢麻痺のある患者向けに、一方の腕を、健康な方の腕で補助しながら動かせるように太極拳の動きを変更した」と説明している。

 研究対象者は、中国で過去6カ月以内に初回の虚血性脳卒中(脳の血流が妨げられることによって生じる脳卒中)を発症し、少なくとも片側の腕を使える成人160人(平均年齢63歳)。対象者の半数は、12週間にわたって座位太極拳プログラムを受ける群、残りの半数は、推奨される上肢運動を含めた標準的な脳卒中リハビリ運動プログラムを受ける対照群にランダムに割り付けられた。

 12週間後、太極拳群の患者には、手および腕の筋力、肩の関節可動域、バランスコントロール、座位バランスコントロール、抑うつ症状および日常生活動作に対照群と同等以上の改善が認められた。

 Zhao氏は、「この研究から、座位太極拳は脳卒中後のバランス、協調、筋力および柔軟性の改善に有効な選択肢となることが明らかになった。座位太極拳は、椅子や車椅子に座ったまま実施でき、自宅でもできるので、取り組むのも容易だ。費用もほとんどかからないし、特別な設備や移動時間も必要ない」と話す。

 Zhao氏は現在、座位太極拳の長期的な効果を評価する追跡研究を計画しているという。同氏は、「長期的な効果を得るには、座位太極拳を12週間以上は続ける必要があるだろう」と述べている。

[HealthDay News 2022年4月11日]

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