医療機関向け治療用アプリケーションを手掛けるCureApp(東京都中央区、代表取締役社長:佐竹晃太氏)は6月11日、多量飲酒者の減酒を支援するアプリを開発し、国立病院機構久里浜医療センターと臨床研究を開始すると発表しました。同社では現在、ニコチン依存症、高血圧、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)それぞれの治療用アプリを、慶應義塾大学や東京大学などの研究機関と共同で開発しています。ニコチン依存症治療用アプリは治験、薬事申請を終え、他2つも治験および臨床試験が進行中。今回、4つめの治療用アプリのターゲットをアルコール依存症に定め、開発を始めた格好。
久里浜医療センターと始める臨床研究では、1日平均純アルコール摂取量が60gを超える多量飲酒者に対し、認知行動療法の考え方をベースとした心理的な支援を行い、アプリを通して自身の多量飲酒に結びつく状況や感情、考えに気づき、飲酒欲求への対処スキルを獲得することで不適切な飲酒習慣を修正していくとしています。2020年6月から15人を対象に8週間、アプリの利用とオンラインでのカウンセリング(4回)を併用し、多量飲酒日を減らすことができるか検証する計画です。
厚生労働省研究班の試算によると、大量飲酒による社会的損失は年間4兆1500億円に上り、そのうち大量飲酒による疾患や外傷の治療費は1兆円を超えます。何らかのアルコール関連問題を有する人は654万人、依存症者とその予備群は440万人、治療が必要な依存症者は80万人、アルコール関連の疾患や外因による年間死亡者数は3万5000人とも推定されています。飲酒運転事故やDV(ドメスティック・バイオレンス)などによる受傷を含めると、人の健康・生活に対する影響は、喫煙以上といえます。アルコール依存症治療では、禁煙治療でのニコチン置換療法のような実績のある効果的な方法がないだけに、治療用アプリに期待するところ大です。(大滝 隆行=Beyond Health)
以下では、2020年6月8~12日に配信されたプレスリリースの中から編集部がピックアップしたものを【ビジネス】【プロダクト/サービス】【要素技術】に分類しました。各項目をクリックすると、それぞれのプレスリリース(WebサイトやPDFなど)に移動します。
【ビジネス】
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【プロダクト/サービス】
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【要素技術】
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