東北大学加齢医学研究所と理化学研究所の研究グループは、認知症や虚弱性疾患を有する高齢者でも容易に行える、ドラムによるコミュニケーション・プログラムを開発。認知症高齢者に対し12週間実施したところ、認知機能と上肢の身体機能が向上したと発表しました。

 2025年には65歳以上の高齢者の5人に1人が認知症との推計もあり、認知症予防は喫緊の課題です。これまで有酸素運動の実施と認知症の発症予防との関係が複数の研究で示されています。中でも「コグニサイズ」と呼ばれる、筋力トレーニング・有酸素運動と計算やしりとりを組み合わせたプログラムを隔週で90分、6カ月間実施したところ、認知機能検査の結果が向上したとの報告はテレビ番組でも取り上げられ話題に上りました。しかし、こうしたプログラムは専門の指導者や運動施設が必要で、しかも実施対象者は比較的身体機能や認知機能が保たれた高齢者に限られます。

 このドラム・コミュニケーション・プログラムは、参加者全員が輪になって座り、ドラム・スティック(マレット)を使って様々な種類のドラムを1回30分各自たたくというもの。研究グループによると、リズム反応運動は重度認知症になっても維持している能力であり、スティックがドラムから跳ね返ることで虚弱な人でも簡単に腕を上げることができるため、認知症や失行を有したり、寝たきりの人でも車椅子に乗り座位が保てれば実施可能だそうです。

 特別養護老人ホーム入居者60人を対象にした研究では、参加者の84.8%が車椅子を使用し、両手がドラムに届かなかったため、利き手のみでドラムをたたいたとのこと。プログラムを1回30分週3回12週間行う「介入群」と、プログラムに参加せず普段通りの日常生活を送る「コントロール群」に無作為に分け追跡した結果、介入群の方がコントロール群よりも、認知機能(MMSEとFABの総得点)と上肢運動機能(肩屈曲と掌屈)が有意に向上しました。要介護者の認知機能や上肢機能は介護者の負担軽減にもつながるため、プログラムのさらなる効果検証と今後の展開に注目です。(大滝 隆行=Beyond Health)


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