新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策に各国が頭を悩ませる中、バーレーン王国の「新型コロナ封じ込め作戦」がWHOから賞賛され、世界の注目を集めています。米国では、使用され始めた新型コロナ治療薬の致死性副作用を防ぐため、病室や自宅で薬を服用している患者の心電図をリアルタイムで遠隔モニタリングするデバイスの本格的な利用が始まりました。また、人々の外出自粛が長期化しインターネットへの依存が高まる状況下で、様々な企業や団体が自宅での生活を支援するサービスを提案しています。ベトナム大手通信会社は、貧しい地域に対して、通信費用の特別割引や帯域幅の拡充で市民の生活を応援。シンガポールのPPP(公民連携)は無料のバーチャルフィットネスプログラムをオンラインで提供し、1日7分間の軽い運動を奨励しています。


以下では、2020年4月13~17日に海外の企業・大学・研究機関・米食品医薬品局(FDA)等が配信したプレスリリースの中から、編集部がピックアップしたものを【ビジネス】【プロダクト/サービス】【要素技術】に分類しました。各項目をクリックすると、それぞれのプレスリリース(ウェブサイトやPDFなど)に移動します。

【ビジネス】

  • ・バーレーン王国はなぜ新型コロナ撃退に成功したのか
  •  新型コロナウイルスの感染者数が増大する中、バーレーン王国が行った「新型コロナ封じ込め作戦」が脚光を浴びている。WHO(世界保健機関)は、バーレーン王国のハマド・ビン・イーサ・アール・ハリーファ王を中心に国を挙げて行った包括的な取り組みを賞賛している。

     2020年2月24日にバーレーンで最初のCOVID-19患者が確認されてから即座にバーレーンは緊急体制に入った。バーレーンは人口150万人、広さは米ニューヨーク市とほぼ変わらない300平方マイル。モナコ、シンガポールに次ぎ、世界で3番目に人口密度が高い国として知られる。イランやイラクなど、ウイルスが蔓延する地域に行き来する旅行客も大勢いる。高リスク条件がそろっているにもかかわらず、バーレーンはたったの5週間でウイルスを撃退することに成功した。

     成功要因として挙げられているものをざっと見てみよう。

    (1)国内の全居住者向けに、無料でCOVID-19検査と治療を提供した。早期発見と治療により、感染を阻止できた。バーレーンは世界で最もウイルス感染検査率が高い国の一つ

    (2)世界に先駆けて新型コロナ治療薬としてヒドロキシクロロキンを患者に投与した

    (3)移動式のウイルス検査設備を使用し、国内全域でランダムな市場調査を行い、リアルな感染状況を把握した

    (4)公立と私立全ての学校施設を閉鎖し、リモート授業を実施

    (5)「BeAware」というスマホアプリを開発して、全国民の位置情報を取得、COVID-19感染患者が発生した場所へ近づくとアラートを送るシステムを提供した。感染者は14日間隔離状況を監視され、さらに電気プレスレットを配布してスマホから15m離れるとアラートが鳴るようにし厳重に行動を管理した

    (6)4月から3カ月間は特別措置として、電気・水道料金を国が負担。また、市に支払う費用、工場用地の賃料、旅行費用も3カ月間無料とし、ローンの返済を6カ月間先延ばしにできる制度など、様々な特別経済政策を導入。バーレーンの年間GDP(国内総生産)の29.6%に上る43億BHD(バーレーンディナール、約1.2兆円)を拠出した

     国の規模や制度が大きく違うが、COVID-19対応においてバーレーンの施策から学べる点はありそうだ。
    Combating the Coronavirus, Bahrain Offers Health & Economic Success Story

  • ・新型コロナ治療薬による突然死を防ぐパーソナル心電図
  •  COVID-19患者に対し、医師の判断で適切な薬が投与されるようになったが、使用する薬は、不整脈の一種であるQT延長による突然死を引き起こすリスクがゼロではない。そこで、患者が薬の服用を開始したら、QTcのモニタリングが必要となる。QTcとは、心拍数を補正する間隔を指し、モニタリングすることで心臓の異常を検知することができる。

    米AliveCor社が開発した「KardiaMobile6L」(出所:米AliveCor社プレスリリース)

     米AliveCor社が開発した「KardiaMobile6L」は、世界で唯一米食品医薬品局(FDA)が承認した、AI(人工知能)を使った6波形パーソナル心電図テクノロジー。新型コロナウイルスが終息するまでの間、同社のこのテクノロジーを医療機関が利用できるようにすることが発表された。4月13日から医療従事者は、病院や患者の自宅でKardiaMobile6Lを利用し、患者のQTcをすぐに確認できるようになる。

     心電図のデータはAliveCor社の臨床プラットフォームから大手の診断検査施設へ直接送られ、QTc数値を特定し、すぐさま現場の医療スタッフに送信される仕組みだ。AliveCor社CEOのプリヤ・アバニ氏は「医療システムが切迫している今、医療スタッフが少しでも患者のケアに集中できるよう手助けができれば」と語る。
    AliveCor to Provide QTc Measurement for Clinicians Treating COVID-19 Patients

  • ・「AIスーパードクター」クラウド型CT画像分析ツール
  •  マレーシアのHuawei Malaysia社がマレーシア保健省と組み、スンガイ・ブロー病院で働く現地の医療スタッフをアシストするAIによる診断ツールの提供を開始した。COVID-19が疑われる患者のCT画像を分析するHuaweiのクラウド型AIソリューションがマレーシアの医療システムをサポートする。

     この画像分析システムは、秒単位で何百枚ものCT画像を分析し、傷害部位を正確に突き止める能力があり、医師は1分足らずで患者の診断結果を出せるようになる。このAIプラットフォームは、Huawei社と、中国のスタートアップ企業であるHYメディカル社が共同開発したものだ。システムは、新型コロナウイルスに感染した患者4000人以上の画像データを学習し、胸部CT のDICOM(ダイコム)画像から新型肺炎を検出する「スーパードクター」として活躍が期待される。

     Huawei Malaysia社CEOのマイケル・ユアン氏は「新型コロナの世界的な拡大によって、デジタル医療サービスの需要がかつてないほど高まっている。マレーシア政府は事態に対応すべく、デジタルトランスフォーメーションに力を注いでいる。クラウドを活用した最新のAIテクノロジーを医療に取り入れ、新型肺炎に罹患した患者の早期発見・治療を効果的に行っていく」と語る。さらにHuawei社は、スンガイ・ブロー病院にWiFi6を提供し、通信機能の向上によってマレーシアの医療サービスの革新を下支えする。
    HUAWEI CLOUD and Malaysia Ministry of Health Jointly Help Sungai Buloh Hospital by Providing AI Solution to Combat COVID-19 Pandemic

  • ・ボランティア医療スタッフをウェブサイトで呼び掛ける
  •  世界がCOVID-19パンデミックの渦に巻き込まれ、医療スタッフが不足している。この緊急事態を打開すべく、米国のNPOであるYou and Blueは、「Medical Staff Now」という新たなウェブサイトを立ち上げ、有資格の医療スタッフが登録し人材不足で困窮している州を支援できるサービスを始めた。このウェブサービスを開始してから数日で22の州が登録し、医療スタッフの緊急支援を呼び掛けている。

     You and BlueのCEOであるブラント・クラウセン氏は「この緊急事態に応え、ウェブサイトを無償で立ち上げた。COVID-19の危機に見舞われた各州が医療スタッフの支援を呼び掛け、有資格のボランティアスタッフが要請に応えられるシステムを構築した。なすすべのない病院の助けになりたい」と述べた。

     Medical Staff Nowのウェブサイトには、二通りの使い方ができる。1つは、Medical Staff Now指定の質問票を使って医療スタッフの情報を集めて州当局が審査し、医療スタッフに連絡を取る方法。2つ目は、州が独自の質問票を作り保健当局やその他の機関と連携する方法だという。どちらにしても、ウェブサイトの登録と利用は簡単で、今後グローバルな展開もできそうだ。未来のパンデミックや自然災害の危機にも応用し、多くの人の命を救うことにつなげたい。
    You and Blue Develops National Website to Identify Medical Staffing Opportunities to Assist During COVID-19 Pandemic

  • ・発展途上地域の通信費を大手テレコム会社が特別割引
  •  パンデミックを阻止するために、各国政府が国民に対し外出を自粛または禁止して、自宅で過ごすように呼び掛けている。仕事や教育用に、かつてないほどインターネット通信への依存が高まっている。そこで、ユーザーの負担を削減するため、ベトナム最大の通信サービスプロバイダーであるViettelグループはインターネット通信料を特別割引で提供し始めた。各国にあるグループ企業がどんな期間限定特別サービスを提供しているか、見てみよう。

     ベトナムNatcom社はハイチ人向けに、通信料を据え置いたまま固定通信の帯域幅を3倍拡大して通信能力を無料で上げるサービスを提供。ペルーのBitel社は、360万人のユーザーに1GBをプレゼントして帯域幅を2倍に拡大。ラオスのUnitel社は、サービス費を40%値下げした。カンボジアのViettel社のベンチャー企業は国の教育機関向けに無料のインターネット通信サービスを提供。同じくカンボジアのMetfone社は5月まで2000人以上の学生のインターネット通信費を半額にする。モザンビークではMovitel社が学生向けに特別データパッケージを提供し、勉強のための教材に無料でアクセスできるサービスを計画中だ。

     Viettelグループ企業は、ユーザーが銀行へ出向かなくても済むように、モバイルウォレットの利用を促進している。1日に取引できる上限価格を引き上げて手数料を下げるなど、家からの振り込みをより便利にした。Viettel Global社CEOのド・マン・ハン氏は「パンデミック危機下において、Viettelグループがビジネスを展開する地域と市民に対し責任を果たしたい。品質の高いサービスとテクノロジーを低価格または無料で提供していく」と語る。
    Viettel Group helps millions of customers in developing country to stay online through the pandemic