新型コロナウイルス感染症の脅威と闘い続ける私たちにとって、力強い味方となる新テクノロジーが登場しました。空気の質や利用者の代謝をセンサーで計測し、自動で換気をしてくれる世界初の能動的マスクです。99.9997%という高いフィルタリング機能も付いており、フィルターは紫外線C波(UVC)でセルフ殺菌され、1カ月間利用できます。素材が透明なシリコンであるため、マスクを着用したままスマートフォンの顔認証ができる点も便利。攻めの守りで、利用者をがっちりサポートします。


以下では、2020年5月11〜15日に海外の企業・大学・研究機関・米食品医薬品局(FDA)等が配信したプレスリリースの中から、編集部がピックアップしたものを【プロダクト/サービス】【ビジネス】【要素技術】に分類しました。各項目をクリックすると、それぞれのプレスリリース(ウェブサイトやPDFなど)に移動します。

【プロダクト/サービス】

  • ・世界初! 殺菌・換気機能付き透明マスク、再利用も可能
  •  米国デトロイト市にあるRedcliffe Medical Devices社が開発した、透明マスク「LEAF」シリーズは、最先端のN99+HEPA-Carbonフィルタリングを備え、オプションでUVセルフ殺菌とアクティブ換気機能を選べる。その名の通り、LEAFは自然の葉っぱの蒸散作用を基にデザインされ、コンパクトながら高性能だ。

    「LEAF」(出所:Redcliffe Medical Devices社プレスリリース)

     マスクの素材は柔らかく、難燃加工とくもり止め付き。紫外線をカットする再利用可能なシリコンを使用する。LEAFの3つのシリーズの1つ目は、除去率99.9997%、0.3ミクロン対応の高いフィルタリング機能を持つLEAF-HEPA。2つ目は、フィルターを再利用して使用できるよう、UVC(紫外線C波)の殺菌機能を持つLEAF-UV。病原体を光の速さで除菌し、マスクを1カ月間繰り返し使用可能だ。

  •  3つ目は、換気の状態と空気の質をセンサーで計測するLEAF-PRO。利用者の代謝をAir-Managerと呼ばれるスマホアプリで感知し、自動でLEAF-PROマスクの換気システムが起動されるという優れものだ。LEAFがマスク界のプライベートジェットと称賛されるゆえんだ。COVID-19対応マスクのゴールデンスタンダードを目指し、マスクが進化する。
    LEAF - Self-Sterilizing, Transparent N99+ Mask; face unlocks smartphones

  • ・救急車よりも早く、ドローンが心臓発作現場にAEDを届ける
  •  スウェーデンの自動ドローンテクノロジー企業大手のEverdrone社が、緊急の心停止が発生した現場へAED(自動体外式除細動器)を配送するサービスを開始した。空の最短ルートで救急車よりも早くAEDを届け、救急隊員が到着するまでの間に、近くに居合わせた人たちで命をつなぐ時間を確保する。AEDの使い方は、遠隔からオペレーターが指示する。

     欧州では、年間27万5000人が心停止を起こし、無事に回復するのはそのうち10%と少ない。研究によると、発作の最初の数分の間にCPR(心肺蘇生法)と除細動を開始すれば、生存率が70%まで上がることが分かっている。このドローンによるAED緊急配送サービスは、Everdrone社とスウェーデン国立緊急コールセンター、SOSアラーム、カロリンスカ研究所蘇生科学センター(KI)との共同臨床研究の一環。スウェーデンで人口第2位の規模を誇るヨーテボリ地方の8万人の居住者に対してサービスを2020年6月に開始し、9月に終了する予定だ。

     ドローンは指定場所に配置され、緊急コールを受け取ると直ちに半径6km圏内の現場へ飛び立つ。ドローンは到着すると30m上空を旋回し、巻き上げ機を使ってAEDを地上へと安全に下ろす。世界初の試みが成功すれば、2021年にはスウェーデン国内と欧州の他地域でもドローン活用が広がりそうだ。
    Autonomous Drones are Now Delivering Defibrillators to 80,000 Residents in Sweden

  • ・ウルトラワイドバンドでソーシャルディスタンス強化
  •  ソーシャルディスタンスを安全に確保するためのウエアラブルデバイスがイタリアに登場した。「Safe Spacer」と呼ばれるこの軽量のデバイスは、これから工場や公共施設が再開する際、職員や訪問者がウイルス感染を恐れず、安心して活動するためのサポートとなる。

    「Safe Spacer」(出所:IK Multimedia社プレスリリース)

     Safe Spacerはウルトラワイドバンド(UWB:超広帯域無線通信)技術を利用。UWBは電波妨害に強く、消費電力が非常に少ない上、Bluetoothの10倍以上といわれる高精度の測定を可能にする新テクノロジーだ。充電電池式でワイヤレスなため、使用感も快適だ。他のSafe Spacerデバイスが2m圏内に接近すると画面表示かバイブするか、または音声アラームで知らせ、ソーシャルディスタンスをしっかり確保できる。

     学校や病院、スポーツジム、美術館、ホテル、カジノなど多くの場所で使用が可能だ。迅速に消毒でき、ウォータープルーフ。全てのデバイスに個別のIDタグとビルトインメモリーが内蔵され、職員の接触状況を後でたどることができる。iOSかAndroidのアプリを使えば、IDと職員の名前を紐づけ、日々のデータを安全に記録、エクスポート、アラーム設定などができる。SafeSpacerを開発したのはイタリアのIK Multimediaという企業で、iPhone、iPad、Mac/PC用の音楽制作ハードウェアとソフトウエア製品のリーダーだ。どの職場でも簡単に導入できる安全なソリューションが、工場の再開を援護する。
    Safe Spacer™ wearable social distance monitor/alarm helps keep people safe and workplaces or public spaces open

  • 治療を続けると得する、治療遵守の新しいモデル

    【ビジネス】

    • ・高品質マスク定期購入サービス、香港で始まる
    •  新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大により、全世界がマスク不足に直面している。従業員にマスクを十分に供給することが、企業の新たな責任になりつつある。しかし、どの店舗でマスクが売っているかを毎日確認する時間はなかなかない。そこで、香港のHygiene Mask社は高品質マスクの定期購入サービスを開始。家や職場にあるマスクの在庫を心配しなくても済む、うれしいサービスだ。

       マスクは家庭や中小企業向けに提供され、6カ月、12カ月、24カ月の配達期間を選択して一度注文すれば毎月定期的に新品のマスクが郵送される。マスク1枚の値段は1.66香港ドル(約22.9円)とお財布にも優しい。Hygiene Mask社は、タイポ―区にある自社の巨大な工場の見学会を実施する予定だ。工場の敷地は1万4000フィート(約4.2km)、施設の建物はISO14644-1とISOクラス8のスタンダードに準拠し、4台の自動フラットマスク製造機と、最新のワンドラッグ・ツーフラット式マスク製造機を配備。1カ月に600万個以上のマスクを製造可能だ。マスクはBFE(花粉対策)、PFE(細菌対策)、VFE(ウイルス対策)フィルタリングを99%提供。まずは香港で優先的に販売を始めるが、将来的には海外も視野に入れてマスク定期販売の市場拡張を狙う。
      Hygiene Mask, Hong Kong Local Brand, Provides a Monthly Based Subscription Service for High-Quality and Affordable Masks for SMEs and Home Users English

    • ・治療を続けると得する、治療遵守の新しいモデル
    •  行動経済学に基づき、患者の治療遵守(アドヒアランス)を向上するプラットフォームがある。「Welth」と呼ばれるこのプラットフォームが、シリーズA投資ラウンドで1000万ドル(約10億7000万円)を獲得した。投資元は、yabeo社とBoehringer Ingelheim Venture Fund(BIVF)社、AXA Ventureパートナー社、NewYork Life Ventures社など。Welth社の2020年度第一四半期までの成長率を見ると四半期ごとの成長率は85%、年ごとの成長率は403%と発表されており、今後サービスを拡張してより多くの患者への貢献を目指す。

      Welthプラットフォーム(出所:Welth社プレスリリース)

       患者が処方された治療を守らないことが、医療コスト増大の原因の一つとなっている。米国の慢性病患者の50%が治療を継続しないために1年で3000億ドル(約32兆1060億円)の無駄なコストが発生しているというデータがある。Welthプラットフォームを利用する患者は、毎日治療目標達成の証拠写真を提出することが求められる。例えば、飲む前に手のひらに乗せた薬や、血糖測定器や血圧計が示す数値の写真などだ。この治療の証跡は定期的な「チェックイン」と呼ばれ、直ちにWelthのAIテクノロジーで処理され、直接医師のチームが検証できる。患者はプログラムの期間中にきちんと治療を継続すると、定期的にインセンティブを受け取ることもでき、楽しく治療のモチベーションを維持できる。

       患者の行動を変えると、治療結果にすぐ表れる。Welthを利用する患者は心臓発作の後で再入院する率を45%削減、救急外来受診を92%削減、高リスクの糖尿病患者のHbA1c値を1.3ポイント下げることに成功している。デジタルヘルスイノベーションが、患者の新たな行動習慣のモデルを形成し、健康の実現へ前進する。
      Wellth Raises $10M to Drive Better Health Outcomes Through Behavioral Economics

    • ・世界最高品質のアメリカニンジンをコストコで期間限定販売
    •  健康のためには自己管理が何より大切。健康を保つ3つの要素は、マインドフルネス(瞑想などを通じて得る心理の安定)、運動、そして何よりも健康な食生活だ。特にアジアの消費者の間では「Wisconsin Ginseng」という「アメリカニンジン」が人気で、元気を養い、免疫力を高める栄養素として日々の生活に取り入れられている。このWisconsin Ginsengがこれから米国各州のコストコストアで、期間限定で販売を開始する。続いて、Prince of Peace Enterprises社がカナダとオーストラリアでWisconsin Ginsengを発売する計画だ。

       アメリカニンジンには高麗人参に似た強壮作用があることで知られている。2012年には、米メイヨークリニックがWisconsin Ginsengを使った研究を行い、がん患者のエネルギーレベルの向上が実証された。Wisconsin Ginsengは世界最高品質のアメリカニンジンとして知られ、その品質の高さには定評がある。ウィスコンシン州はアメリカニンジンの生産量が全米第1位で、全米の生産量の90〜95%を占める。コストコで手軽に、安価で高品質のアメリカニンジンを購入できるこの機会に、毎日を元気に乗り切る健康な体づくりに励みたい。
      Wisconsin Ginseng, Now Available at Costco, An Important Element in Your Self-Care Plan

    • ・慢性疼痛を治療する最新の脊髄刺激システム、欧州で販売開始
    •  慢性疼痛を治療する、エビデンスに基づいた革新的ソリューション「Senza Omnia 脊髄刺激(SCS)システム」が、欧州のCEマークを取得した。米Nevro Corp社は昨年より同システムを米国で販売開始し、これから欧州進出に乗り出す。このSCSシステムは顧客からヒアリングを重ね、疼痛管理の統合的なソリューションとして開発されたものだ。

      「Senza Omnia」(出所:Nevro Corp社プレスリリース)

       Omniaシステムの特徴はプログラミングができる点で、SCSの周波数スペクトル全体にわたり、最も幅広い波形の配列を簡単に提供できるところだ。また、患者が使用するリモートデバイスは直感的に使いやすくデザインされ、世界で最も研究が進んでいるSCS治療法であるHF10アルゴリズムを柔軟に拡張することもできる。付属品のインプラント式パルス(衝撃電流)発生器は、今後ますます進化する波形や周波数にもアップグレードできる。Omniaのバッテリーは10年以上長持ちし、条件つきで全身MRIも撮影可能。

       現在市場にある他のSCSシステムは1200Hz以下の周波数に制限されている。一方で、Omniaは2Hz〜1万HzとSCSシステムの中で最も広い周波数範囲を提供する。現在、Omniaを使用している患者は世界で5万5000人以上。今後HF10や伝統的な麻酔ベースの刺激、1kHz療法、バースト波形など他の波形とペアリングすることで、Omniaを使った、さらに多岐にわたる治療が可能になる。英国のリーズ総合病院の痛み治療の専門医であるガネサン・バラニダラン博士は「COVID-19が終息に向かい始めたら、早速患者にOmniaシステムを紹介していきたい」と語る。
      Nevro Announces CE Mark Approval of Senza® Omnia™ Spinal Cord Stimulation System to Treat Chronic Pain

    あらゆる製品の抗菌性を実現する新テクノロジー

    【要素技術】

    • ・傷の治療にも効くフレグランス革命
    •  スイスのFirmenich社は、フレグランスとフレーバーを提供する世界最大の非公開会社だ。このたび、選りすぐりの魅惑的原料「Dreamwood」を新発売する。インドの伝統的なマイスールサンダルウッドの影響を受け、Dreamwoodは神秘的でクリーミーな香りと温かさ、化粧品としての効果を提供する。100%天然、100%再生可能炭素を使用、生物分解性があり、地球に優しい製品だ。

       副社長のジュリアン・フィルメニヒ氏は「持続可能なイノベーションを目指す我々の原料ビジネスにおいて、Dreamwoodは未来に向けた重要な転換点となる。製品の成分レベルで顧客に利益となるよう、サンダルウッドのフレグランスに新たな分野を切り開きたい」と語る。

       サンダルウッドは清楚、優雅、幽玄な甘い香りが特徴で、心をリラックスさせる効能がある。ヨガやアーユルヴェーダの瞑想や宗教的儀式によく用いられ、日本では「老山白檀」という別称で呼ばれている。Dreamwoodにもサンダルウッドオイルと同じように、肌の細胞に対する抗菌性と炎症予防作用があることが実証されており、傷の治療にも効果があると期待されている。Firmenich社は超臨界CO2抽出やホワイトバイオテクノロジーなどの最先端技術を用い、再生可能分子など2000種類以上の原料を取りそろえ、フレグランスとフレーバ―の両面を次のレベルへと引き上げる。
      Dreamwood™ Offers Olfactive Warmth, Cosmetic Benefits and Positive Impact

    • ・中国機能性食品マンネンタケの「ファイブセンス栽培法」
    •  中国の機能性食品とサプリ製造会社Happiness Biotech Group社がマンネンタケの画期的な栽培技術を開発、栽培コストを30%以上削減することができると発表した。このテクノロジーは「ファイブセンス栽培法」と名付けられ、次の5つの点が新しい。(1)屋外の温室ではなく屋内施設で栽培する、(2)栽培には土を使用しない、(3)立体的なステレオスコピック栽培法により同じスペースで複数の段階の栽培を実施、(4)殺虫剤や重金属残留物を使用せず品質を安定化、(5)マンネンタケの収穫を今までの1年に1回から3回に増加──。

       この5つの革新により、今までの栽培面積は変わらないまま、マンネンタケの収穫量は8倍に増え、コストは30%減る見込み。しかも、品質が向上することで単価を15%上げることができそうだ。Happiness Biotech Group社はファイブセンス栽培法を編み出すために何年も研究を続けてきた。この新たな栽培法を使った初めての収穫は無事成功、これより増産に移る。
      Happiness Biotech Announced Innovative Cultivation Technology of Lucidum

    • ・あらゆる製品の抗菌性を実現する新テクノロジー
    •  モリブデンという物質がある。金属の中で5番目に融点が高い物質であり、熱膨張率が低く、高温の環境下でも計上安定性が極めて高い特徴を持つ。モリブデンを金属やゴムの表面に付着すると摩擦係数を下げ、面抵抗が減少され摩耗や損傷を防止することができるため、自動車・バイク部品などのコーティング剤として使用されている。

       米国にあるPCI社は、抗菌性金属などの研究開発で特許を取得済だ。PCI社の「3PRE抗菌性テクノロジー」は製品の抗菌性を高め、感染や摩耗を防止、製品の安全と品質を保持する技術だ。PCI社はこの3PRE抗菌性テクノロジーによって活性化したモリブデンが、ヒトコロナウイルス(229E株)に対して迅速な殺菌効果を発揮することを突き止めた。

       研究では、3PRE抗菌モリブデンがヒトコロナウイルス(229E)を1時間で98.7%死滅させることが分かった。この新たなテクノロジーを使用すれば、金属、プラスチック、水にも抗菌性を持たせることが可能。既存の製造工程を変更せずに、あらゆる製品の抗菌性を実現できるとして、各界で利用がこれから広がりそうだ。
      Human Coronavirus 229E (Surrogate For COVID-19) Rapidly Eliminated By 3PRE-Activated Molybdenum, Lab Results Demonstrate

    (タイトル部のImage:Photobank -stock.adobe.com)