新型コロナウイルス対策に伴う在宅勤務の実施や、スポーツ・リクリエーション施設の休業により、自宅で過ごす時間が長くなり運動不足を感じている人も多いと思います。そんな皆さんに、ウィズコロナ時代に向けたエクササイズの話題を幾つか紹介します。まずは、ソーシャルディスタンス型のスポーツジム。完全予約システムで人の動線を管理、遠隔コーチングで感染を防ぎます。「自宅でオンライントレーニングを受けたいけど、スペースがない」という人に対し、プロが家の中におしゃれなジムコーナーをデザインするサービスも始まりました。その他にも、マインドフルネス瞑想がウイルス撃退に効果的、アントシアニンがアスリートのパフォーマンスを最大化など、脳と筋肉を活性化して健康を目指す意識も高まっています。


以下では、2020年5月25〜29日に海外の企業・大学・研究機関・米食品医薬品局(FDA)等が配信したプレスリリースの中から、編集部がピックアップしたものを【ビジネス】【プロダクト/サービス】【要素技術】に分類しました。各項目をクリックすると、それぞれのプレスリリース(ウェブサイトやPDFなど)に移動します。

【ビジネス】

  • ・ジムに通いたい人にソーシャルディスタンス型デジタルジム
  •  各国政府がロックダウンを解除し始める中、スポーツジムも少しずつ営業を再開している。何週間もの間、家に閉じ込められたスポーツ愛好家たちはもちろんのこと、普段特に体を動かす習慣のなかった人たちも、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により改めて運動の大切さを実感する機会となった。専門のインストラクターから正しい体の動かし方を指導してもらえるスポーツジムが再注目されている。

    Technogym Mywellness(出所:Technogym社プレスリリース)

     ロックダウンの間にスポーツジム界に訪れた一番の変化は、デジタル化だ。自宅でコーチのサポートを受けながらトレーニングに励めるオンラインフィットネスが一気に利用者を増やした。一方で、イタリアのTechnogym社は「Mywellnessプラットフォーム」を打ち出し、あくまでもジムへ通うことにこだわるアウトドア派の人たちを対象に、ソーシャルディスタンスを保ちつつ、人と人の間隔を十分に取って安全に運動に専念できる新しいジム環境を提案する。

     この新たなデジタルジムとは、どのようなものだろうか。まず、利用者はジムに行く前に自分専用の運動スポットをスマートフォンからピンポイントで予約し、ジムに着いたらその場所へ行って、好きなだけ運動できる。トレーナーは、遠隔からスクリーンで一人ひとりの運動の様子を見ながらアドバイスや指示を出してくれるので、人との接触を防止。人の安全な動線を確保するためにはジムのレイアウトも入念に設計する必要がある。

     Technogym社のサーキットトレーニングフォーマットである「バイオサーキット」は、その人に合った運動器具やワークロード、ペースや休憩時間などを自動で設定することができ、隣の人との距離を適切に保ちながらパーソナルトレーニングに励むのに最適だ。Technogym社はジムを進化するべく、デジタルコーチング、清掃とメンテナンス、インテリアやマーケティング支援などを提案し、新たな時代に合わせた未来型のジム運営をサポートする。
    Technogym Mywellness: New Digital Features to Assist Fitness Clubs Re-opening Plans

  • ・マインドフルネス瞑想エクササイズでウイルス撃退
  •  5月31日は米国のNational Meditation Day(瞑想の日)だ。この日に合わせ、Legally Mindful社の創設者ゲイリー・パウエル氏が、YouTubeで「免疫が反応する瞑想法」という新たなチャンネルを無料で打ち出す。米国人にアンケートを行ったところ、このまま6月中旬までロックダウンが継続した場合、精神的に限界だと答えたのは72%であり、慢性的なストレスと心労により免疫系にも影響が出ることに懸念が広がっている。

    Mindfulness App(出所:Legally Mindful社プレスリリース)

     同社は既にLegally Mindfulのアプリを提供しており、20分のエクササイズを通してユーザーが体を動かしながら、体の免疫反応の改善を促す。パウエル氏は自らの経験から「体の病気を治すためには、脳をパワフルなツールとして活用することが効果的。当社が提供するエクササイズで、体と脳が一体となり健康にポジティブな効果を発揮する」と説明する。

     近年、「マインドフルネス瞑想」がウイルス感染に対する体の反応や細胞生育力を促す酵素の遺伝子発現を促進することが、ハーバードメディカルスクールをはじめとする複数の研究施設で実証されている。マインドフルネスとは、「今この瞬間を大切にする生き方」として医療や福祉の現場でも取り入れられている人気の瞑想法だ。Legally Mindfulのエクササイズで体のリラックスと脳のポジティブなイメージを体現し、ウイルスに対抗する体の機能を活性化しよう。
    Mindfulness App Creator Offers New Immune Response Meditation Just in Time for National Meditation Day May 31

  • ・ドバイのリゾートホテル、世界最高レベルの衛生基準とは
  •  5つ星リゾートホテルである、ドバイのジュメイラ・アル・ナシームが世界でホテルとして初めて、権威のあるビューローベリタス(Bureau Veritas)のセーフガードラベルを獲得した。これにより、世界最高レベルの衛生基準を宿泊客に保証できるようになった。米ビューローベリタスは試験、検査、認定を行う世界的リーダーだ。各地で営業を開始するビジネスに対し、チェックリストで検査を実施し、健康、安全、衛生の専門家と一緒に国際基準の準拠状況やベストプラクティスとの照合、監査を行っている。

    ドバイのジュメイラ・アル・ナシーム(出所:ジュメイラグループプレスリリース)

     ジュメイラグループは顧客や従業員のための様々な安全対策を導入している。マスクの義務化や日次の検温、衛生に関する継続的なトレーニング、ビーチを含むホテルの敷地内におけるソーシャルディスタンスの確保、プールやジムの衛生、換気、1日3回の消毒剤散布、エレベーターの1回の利用者を1人に制限することなどが盛り込まれている。

     宿泊室は顧客がチェックアウト後3日間は使用禁止とし、消毒剤を部屋全体に散布するなど、衛生管理がこれでもかというほど行き届いている。ホテルの楽しみの一つであるレストランも安全対策として、毎回の食事のたびに消毒を実施。ビュッフェはアラカルトに代替、テーブルとテーブルの間隔を空けて、テーブルには消毒用のアメニティーを配置する。時代に合わせた最高レベルの衛生基準で、リゾートが健康と安全を実現する場所となる。
    Jumeirah Al Naseem in Dubai Becomes First Hotel in the World to Receive Prestigious Bureau Veritas Safeguard Label

洗えるモダンな透明ロールスクリーンでウイルスから守る

【プロダクト/サービス】

  • ・バーチャルデザインで家の中におしゃれな運動スポットを作ろう
  •  「ザ・シックスサーティー」というバーチャルデザインソリューションで、家の中にフィットネススペースを作ろう。ロックダウンにより自宅で過ごす時間が増えるなか、室内で運動するためのホームジムの市場は急拡大し、今までにないビジネスが生まれた。米国ブルックリンにあるBright Architecture社は、もともとデザインスタジオとしてブティックや個人宅のインテリアを扱ってきた。今回、新規ビジネスとして、家の空間をウェルネス、プライバシー、エスケープの3つの観点で見直す、ホームジムのデザインに特化したインテリアデザインサービスを打ち出した。

    「ザ・シックスサーティー」(出所:Bright Architecture社プレスリリース)

     今までは自宅で運動をする場合、まずは家具の移動から始まり、次にクローゼットから重い運動器具を運び出し、どこでトレー二ング動画を流すかを毎回考える必要があった。そんな面倒は今日でおしまい。ザ・シックスサーティーは、3DBIM(ビルディング・インフォメーション・モデル)技術を使ってバーチャルにインテリアを設計し、ユーザーの好みや空間の要件を3Dで把握、ユニークなデザインを個別に提案しながら、好みに合わせたショッピングカタログも紹介する。

     ジムが様々なオンラインフィットネス講座を提供する中、ユーザーの受け入れ態勢を整える必要がある。ジムとユーザーをつなぐ架け橋として、ホームジムのインテリアデザインが活躍しそうだ。たとえ狭くても古くても、プロの手にかかれば、お手のもの。家の中にスタイリッシュな自分専用の運動スペースを作り、仕事終わりの夕方6時半、もしくは仕事の前6時半に心と体を開放するスペースを作ってみよう。ザ・シックスサーティーの3つのプラン(各149ドル、249ドル、649ドル~)から自分に合ったインテリアプランを3Dでデザインし、家での新しい過ごし方を探りたい。
    The:sixthirty Transforms At-Home Fitness and Wellness

  • ・カット済みテーピングが薬剤と同等の効果を発揮
  •  キネシオテープを知っているだろうか。筋肉の痛みや緊張を和らげ、姿勢を正したり腫れを引かせたりするために誰もが一度はお世話になったことがある、あのテーピング用テープの正式名称だ。カナダのSpiderTech社は肩の治療に使用するカット済みキネシオテープを販売しているが、『Clinical Journal of Sports Medicines』誌に、このテープを使った興味深い研究結果が発表されたので紹介する。

    Spidertechテープ(出所:SpiderTech社プレスリリース)

     研究では、肩峰下インピンジメント症候群により肩関節の痛み、動かしにくいという悩みを持つ患者に対し、2通りの治療法を追加して効果を比較してみた。1つ目のグループには、従来のエクササイズプログラムに加え、Spidertechのカット済みキネシオテープを処方。2つ目のグループには、同じエクササイズと、非ステロイド抗炎症薬(NSAID)を処方した。結果として、どちらも痛みの緩和と肩を回す機能の改善という点で同等の効果が見られた。飲み薬であるNSAIDは消化器系や心血管系、アレルギーの有害事象リスクがあり、NSAID潰瘍のような死につながる可能性のある副作用も問題視されている。効果が同じであるならSpidertechテープの方がより体に安全な治療オプションだといえる。

     SpiderTechテープには、人の肌と同程度の伸縮性があり、肌にぴったりとくっついて痛みや炎症を抑えながら筋肉の活動や血流などの体の自然な機能を促進する。副作用がなく、安心して治療に取り入れられるため、これからリハビリテーションプログラムやパフォーマンス改善に積極的に活用していきたいアイテムだ。
    Sports Medicine Study finds SpiderTech Pre-cut Kinesiology Tape To Be As Effective As Anti Inflammatory Medication, Without The Negative Side Effects

  • ・洗えるモダンな透明ロールスクリーンでウイルスから守る
  •  ビジネスが再開する中、職場の安全と従業員の健康が最大の関心事となっている。米Decorating with Fabric社は、「B-Shield」という透明なビニールの保護用ロールスクリーンと、設置用の伸縮性パネルの提供を開始した。このB-Shieldは従業員のデスクとデスクの間やその他にもカウンターやレストランのダイニングテーブル、歯医者や病院の待合室、診療室などで保護用の仕切りとして、様々な場面で活用できる。

    Clear Vinyl Protective Roller Screens(出所:Decorating with Fabric社プレスリリース)

     B-Shieldは手動または電動のローラーシェードや、ステンレス鋼のケーブルに固定し、吊り下げて利用できる。おしゃれなアルミカセットはモダンな白とシャープなシルバーから選べ、ビニールはすぐに洗って清潔に保てる仕様。利用者のニーズに合わせて自由にサイズをカスタマイズできる点も魅力だ。従業員や顧客、患者を物理的に保護する、シンプルなソリューションが人気を呼びそうだ。
    B-Shield -- Clear Vinyl Protective Roller Screen Application

アントシアニンがアスリートの最高のパフォーマンスを引き出す

【要素技術】

  • ・ジェスチャーで操作するタッチレススクリーン
  •  世界中の人が、スーパーの支払いや券売機など、不特定多数の人が触れるタッチスクリーンを「できれば触りたくない」と感じている──。米国のUltraleap社が4月末から5月初めにかけて行ったアンケートによると、82%がタッチレススクリーンの方が衛生的だと回答した。同社CEOのスティーブ・クリフ氏は「ジェスチャーで操作できるインターフェイスが、これからのタッチスクリーンや受付サービス、スマホに求められている。コロナ後の社会では、消費者や公共の場所の安全を守るのはコンタクトレス、つまりジェスチャーで制御する技術だ」と言う。

    タッチレススクリーン(出所:Ultraleap社プレスリリース)

     2016年に『American Journal of Infection Control』誌に掲載された調査では、17軒の食品店の店頭にあるタッチスクリーンには100%細菌が付着していることが分かった。しかもそのうち59%には危険な病原菌が発見された。同様に2009年、ロンドン公共交通ネットワークが行った調査では、接触面の60%以上に細菌が繁殖していることが分かった。

     ディレクターのソーラブ・グプタ氏は「スーパーのタッチスクリーンには1日平均350人の顧客の指が触れているといわれる。店側も常時消毒・殺菌を徹底することは困難であり、スクリーンを通して簡単にウイルスが広まる可能性がある。消費者は、アンケートでこれからはタッチレススクリーンの数が2倍になると予測している」と言う。タッチから、タッチレスへと未来のコミュニケーションは変わるのか、興味深い。
    Consumers Say "Can't Touch This" to Public Touchscreens, Reveals Ultraleap

  • ・アントシアニンがスポーツ選手の最高のパフォーマンスを引き出す
  •  運動能力を強化する革新的なサプリが「ブレイクスルー」として話題を呼んでいる。サプリの名前は「2before Performance Nutrition」。ニュージーランドのクロフサスグリから作られた栄養剤であり、ポリフェノールが鍵を握るという。国際スポーツ栄養学会誌(JISSN)によると、ニュージーランドで行われた研究におけるスポーツパフォーマンスの向上率は、アスリートが一般的に利用するカフェインの0.41%に対し、2beforeに含まれるアントシアニンを摂取すると0.45%に上がることが実証されたそうだ。

     数値だけ見ると、大した差ではないように思われるが、僅差を競うアスリートにとっては、大きな違いである。国際オリンピック委員会が合法的に公認しているサプリは5つある。コーヒー豆の中のカフェインやビートの根の中の硝酸塩、合成されたクレアチンなどがそれにあたる。それらと比較しても、2beforeのアントシアニンは自然由来のサプリとしては最もパフォーマンスが高いことが分かった。

     多くのスポーツ選手が自らの潜在能力を最大限に発揮するために、自然由来の栄養素に目を向け始めている。2beforeは、製品名にもある通り、サプリを飲んでから2時間後に、血中のアントシアニンが最も活性化し、運動効果が高まる。つまり、2時間の間に体の細胞防御システムのスイッチが入り、アスリートの体の準備が整い、最高のパフォーマンスと回復力を発揮することができる。このサプリは、2020年の「NutraIngrediants USA アワード」の今年のスポーツ栄養プロダクト部門ファイナリストに選ばれ、スポーツ栄養学の最先端を軽やかに走る。
    2before™ Launches the Most Effective Legal Sports Performance Enhancer in Time for Tokyo

  • ・光の粒子「フォトン」が3Dセンシング市場を革新
  •  「こうし」──。孔子ではなく「光子」の話だ。英語ではphotonと呼ばれる、肉眼には見えない光の粒子である。スイスのテクノロジー企業Actlight社は、自社のシングルフォトン・センシティビティー技術が、大手センサー企業とサービス提携を開始すると大々的に発表した。Actlight社の光ダイオードの信号対雑音比は世界レベルとの定評がある。

    シングルフォトン(出所:Actlight社プレスリリース)

     契約の合意内容は、まだ公表されておらず、今後この画期的なシングルフォトン・センシティビティー技術がどのようにセンサー業界を革新するか楽しみだ。ActLight社CTO(最高テクノロジーオフィサー)のマクシム・グリーブ氏は「3Dセンシングチップにシングルフォトン・アバランチダイオード(SPAD)を採用するケースが増えている。今回のコラボにより、スマホや車、スマートロボティクスなどにおける3Dセンシングの精度は一気に向上するだろう」と期待をにじませる。

     2011年に設立されたActlight社は、いわゆるファブレス企業(製造施設などを持たない、設計などに特化した企業)であり、ダイナミックフォトダイオード(DPD)という新たなタイプの光センサーの分野におけるIPライセンシングビジネスモデルを構築している。バイタルサイン(生命の兆候)モニタリングを使う医療分野だけでなく、自動走行車やドローンなどIoT(モノのインターネット)市場で存在感を高める。
    ActLight Signs an Agreement on Single Photon Sensitivity Technology With Leading Sensors Company

  • ・オンデマンド型ウェブ学習アプリをより多くの子どもに
  •  国連の発表によると、COVID-19の影響下、世界で2億9000万人以上の学生や子どもの学習が疎かになっている。シンガポールのオンライン教育プラットフォームMysavvytutor(MST)は今後教育スタイルがバーチャルへ移行するトレンドを見据え、新たなオンデマンド型ウェブアプリを発売した。

     MSTの創始者ケリー・テ氏は「オンライン学習に懐疑的な人が多いのは、オンライン学習が柔軟性・透明性に欠けていることが原因だ。利用者に信頼されるサービス提供のために、この新たなオンデマンドアプリの提供を開始した」と語る。利用者はまず個人レッスンかグループ講習かを選択し、教師のプロフィールから指導経験、評判、レビュー、価格などをチェックして、自分のニーズに合わせて科目を自由に選択できる。このバーチャル学習アプリを使うと、学ぶ意欲さえあれば年齢を問わず、誰でも経験豊富な教師の授業をリアルタイムで受けることができる。教師側のメリットとしてはグローバルに生徒を増やすことができ、教育格差是正を目指す。

     利点はそこだけではない。Mysavvytutorは様々なオンライン学習モデルとともに自社ツールを開発し、例えば、利用者は「Learn now(今すぐ学ぶ)」を選択するとすぐその場で学習計画を策定して勉強を開始することができるし、「Learn Later(あとで学ぶ)」を選択すると、自分の好きな時間にマイペースで学習を進めることができる。教師はオンラインホワイトボードなどのパフォーマンス分析ツールを活用して学習効果を高める指導法の研究に生かすことが可能だ。Mysavvytutorは20以上の教育機関やパートナーと提携、先日フィリピンの金融テクノロジー企業iWave社とタイアップし、フィリピンの教育界にも旋風を巻き起こす。
    Overcoming Challenges to Offline Education, Mysavvytutor Advances with New On-Demand App

(タイトル部のImage:Photobank -stock.adobe.com)