健康でいきいきとした生活を送るために、サプリメントを飲む人が増えています。生活習慣病や感染症の予防だけでなく、美容、スポーツのパフォーマンス向上、記憶力サポートなど、様々な目的でサプリを取ることが毎日の習慣となってきています。香港中文大学の研究チームが、新型コロナウイルス感染者では腸内に必要な数種の善玉菌が不足していることを世界で初めて発見しました。そして、腸内フローラを整えるサプリを開発して中国と米国で特許を申請し、体の免疫機能向上によるウイルス感染予防を目指しています。また、在宅勤務などに伴う運動不足が懸念される中、毎日のワークアウトを支えるプロテインサプリをオンラインで提供する企業も現れました。一方、米国で行った調査では、74%の国民がサプリやビタミンの効果に半信半疑であるという結果が報告されています。サプリ市場が賑わう中、質の高い臨床試験が行われているなど成分・品質に関する科学的データを調べ、一人ひとりに本当に必要なサプリを提供する米国企業も登場しています。


以下では、2020年6月8〜12日に海外の企業・大学・研究機関・米食品医薬品局(FDA)等が配信したプレスリリースの中から、編集部がピックアップしたものを【要素技術】【ビジネス】【プロダクト/サービス】に分類しました。各項目をクリックすると、それぞれのプレスリリース(ウェブサイトやPDFなど)に移動します。

【要素技術】

  • ・新型コロナ感染者の腸内バランスを整える善玉菌サプリ
  •  香港中文大学(CU Medicine)医学部の研究チームが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者の腸の中には、フィーカリバクテリウム プラウスニッツィなど複数種類の「善玉菌」が存在していないことを突き止め、消化器関連の国際医学誌『Gastroenterology』に発表した。フィーカリバクテリウム プラウスニッツィ(Faecalibacterium prausnitzii)は1922年に分離・発見された菌で、酢酸から健康に有益な酪酸を産生したり抗炎症作用を発揮し、次世代のプロバイオティクス(有益菌)成分として注目されている。さらに研究チームは、感染患者と感染していない患者を比較する調査を行い、ビッグデータ分析と機械学習により、COVID-19や新たなウイルス感染症に対する免疫力を高めるプロバイオティクス成分を開発。毎日の食事と一緒に取るサプリで腸内環境の異常を整え、感染症に対する体の防衛力を強化することを狙う。

    新型コロナ感染と腸内フローラの関係を明らかにした香港中文大学の研究者(出所:CU Medicineプレスリリース)

     私たちの腸内には500種類以上、数にすると100~1000兆個に及ぶ細菌が常在している。その細菌が種類ごとにまとまっている様子を腸内フローラと呼ぶ。この腸内フローラは、実は臓器と同じくらい重要であり、腸内フローラに異常があると免疫系に大きな影響を与え、感染症にかかりやすくなる。

     中国国家衛生委員会は2020年1月からCOVID-19の治療にプロバイオティクスを使用することを計画しているが、多くの課題に悩まされてきた。ビフィズス菌や乳酸菌など善玉菌の多くは胃酸や高温、多湿に弱いという特徴がある上、有効期限が短く、免疫力を高める効果のある菌の種類が限られているなど、扱いづらい理由がたくさんある。善玉菌による治療ニーズに対し、ソリューションが提供できていないという現状を早急に打破する方法が模索されている。香港中文大学は、プロバイオティクスを革新すべく中国と米国の両方で特許を申請中であり、現在バイオ企業や食品企業と協力し、毎日の食事と一緒に取るプロバイオティクス・サプリを開発中だ。感染症予防を腸の健康から実現する大規模な臨床試験も実施されており、結果に期待が寄せられる。PCR検査で体内に新型コロナウイルスが存在することを確認する前に、ウイルスと闘うための善玉菌が腸内に存在しているかどうかも調べておきたい。
    CU Medicine Develops a Probiotic Formula to Target Imbalance in Gut Microbiota in COVID-19

  • ・スポーツサプリのワンストップサービスをオンラインで開始
  •  スポーツ・運動愛好家のあなたへ朗報。高品質の人気サプリやプロテインパウダー製品を1箇所で簡単に購入できるサービスが開始された。2020年初めに米コロラド州で起業したFuel Station社のサービスだ。スタースポーツ選手から、日常的に運動を取り入れてより活発な生活を送りたいと願うサラリーマンまで、全ての人の毎日のワークアウトを支えるサプリを提供する。

     Fuel Station社のゴールは、とにかくお客さんがより簡単に、自分に必要なサプリを自社のウェブサイトで見つけられるようにすること。Fuel Station社が拠点を構えるボルダーという地域は、ハイキングやフィットネスが盛んなエリアで、従業員の多くはハイキングやバイクが趣味。活動的で健康なライフスタイルにぴったりな栄養素を体に補うことを大切に考える。同社のサイトには、プロテイン・フィットネス製品、食事の代わりに取るサプリや減量ドリンク、シェイク、お茶などが豊富に取りそろえられている。一番人気は、25年以上の実績を持つDesigner Wheyというプロテインパウダー。グルタミン、ロイシン、タウリン、フェニルアラニンなど、筋肉の増強と回復を効果的に高める作用がある。製品のパッケージには環境に優しい素材を使用、配送は常に「より早く」を目指して随時見直しを行っている。現在、国際配送を行っていない点だけが残念だ。
    New Online Company Offers One-stop Supplements Solution

  • ・74%の人がビタミンやサプリを飲みつつ、効果に半信半疑
  •  せっかくならば、自分の体にぴったり合うビタミンや栄養素だけを摂取したい。しかし米国で調査したところ、なんと74%の国民が「ビタミンやサプリが広告でうたう効果には、しっかりとした裏付けがないのではないか」と疑いの目を向けていることが分かった。健康とウエルネスへの関心が高まる中、米Life Extension社は、科学的研究に基づいて健康を追求し、ビタミンやサプリの臨床試験を行って提供するヘルスエキスパートだ。「なんとなく良さそう」から「根拠のある選択」へとセルフケアをレベルアップさせる支援をする。

     調査によると、サプリを購入する人のうち42%は原料を調べずに買っているそうだ。また、68%はビタミンやサプリに無駄なお金を費やしているのではないかと疑い、62%はビタミンやサプリを正しく飲まないと副作用があることを認識しつつ、飲んでいる。26%は、服用する量が正しいか自信がない、と回答している。これだけビタミンやサプリが市場に出回る中、中身をきちんと調べずに半信半疑で買って飲んでいる人がいかに多いかが分かる。

     ビタミンやサプリを買う際、最低限調べるべき点が3つある。第三者によって試験が行われているか、認証されているか、製品がどこで製造されているかだ。Life Extension社は自社製品に使用する原料を全てテストし、品質の高い臨床試験で効果が実証されたもののみ使用する。また科学的研究を分析し、最大限の効果を得るための適切な服用量を提示している。同社のウエルネス・スペシャリストが個別にカウンセリングを行い、一人ひとりに最適な製品を選べるパーソナルケアサービスも提供。自分に合ったビタミンやサプリを、自分に合った量で摂取する科学的なアプローチで健康を手に入れたい。
    New Survey Reveals 74 Percent of Americans are Concerned that Vitamins and Supplements are not Backed by Trustworthy Research

  • ・きれいな空気が流れるヘルシー・ビルで過ごすための空気評価ツール
  •  部屋の空気を解析し、空間に潜むウイルスの存在や空気が与える体の免疫系統への作用を評価する、世界初のテクノロジーが開発された。シンガポールの空気品質管理会社uHoo社が開発した、「uHoo Virus Index」と呼ばれるシステムだ。この会社は、身の回りの空気をきれいにすることで世界の死亡率を減らし、人々の生活の品質向上と健康増進を目指している。最近の調査では、88%の人が職場やビルのロビー、レストラン、ホテルなどの公共の場では、大きなスクリーンに、その場所の空気の品質を数値で表示してほしい、と回答した。今、私たちが建物に一番求めるのは「健康に過ごせる空間」であることだ。

    uHoo社が開発した「uHoo Virus Index」(出所:uHoo社プレスリリース)

     このuhoo Virus Indexとは、どんなものだろうか。まず、10点満点で空気を評価し、上から、良い、普通、悪い、最悪、の4つのカテゴリーに分類。それぞれのランクに合わせ、空気の状態によって起き得るリスクや、環境改善の方法などの情報を提供する。uHoo社は、政府や大学、国際医療情報誌などから情報を集め、空気の品質とCOVID-19による死亡率との関連性を調査し、ホワイトペーパーを発表している。

     ホワイトペーパーには、長期間空気汚染にさらされると免疫系統が弱まり、COVID-19による致死率が高くなると書かれている。屋内の空気は、きちんと管理しないと外気よりも2倍から5倍ほど汚くなる。ステイホームを心がける人が増え、職場の感染にも気を遣う必要がある中、屋内のきれいな空気に対する意識は高まり、空調管理の重要性が見直されている。既に多くの家庭や200近い政府機関や企業でグローバルに使用されているuHooだが、ここ3カ月の間に需要は急増している。uHoo Virus Indexを使ってヘルシー・ビルディング、つまりきれいな空気が流れる建物を実現し、ウイルス感染を防いで体の中を健康に保ちたい。
    uHoo Launches the uHoo Virus Index - world's first real-time assessment of virus survival based on air quality