未来のテクノロジーといわれるホログラフィックディスプレーが、中国のEaspeed社により、同国内のエレベーターのボタン操作部に何千台という単位で搭載されることになりました。「空中タッチパネル」「コンタクトレスタッチ」と呼ばれるこの技術を提供するのは、スウェーデンのNeonode社。ホログラフィックディスプレーがVR(仮想現実)やAR(拡張現実)と大きく異なる点は、ヘッドセットやゴーグルなどのデバイスを必要とせず、複数の人が同時にバーチャルの世界を体験できるところ。映画「スターウォーズ」の中で、R2-D2が映し出したレイア姫の「助けて、オビ=ワン・ケノービ」のホログラムが、SFの世界から現実のものとなりました。

 また、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の地域的流行を予防するためのツール、「接触確認アプリ」が話題です。アプリに登録すると、登録者の中に感染した人がいた場合14日前に遡り、接触のあった人に通知を送るといったサービスですが、米国民を対象にした調査では、71%の人が「そんなアプリはダウンロードしたくない」と回答したそうです。その理由とは──。


以下では、2020年6月15〜19日に海外の企業・大学・研究機関・米食品医薬品局(FDA)等が配信したプレスリリースの中から、編集部がピックアップしたものを【ビジネス】【プロダクト/サービス】【要素技術】に分類しました。各項目をクリックすると、それぞれのプレスリリース(ウェブサイトやPDFなど)に移動します。

【ビジネス】

  • ・エレベーターに、未来のコンタクトレス・タッチ技術搭載
  •  スウェーデンNeonode社が開発したタッチセンサーモジュール・テクノロジーが、中国Easpeed Technology社に採用され、これから中国の何千台というエレベーターに「ホログラフィック・ボタン・パネル」が搭載される。

    「ホログラフィック・ボタン・パネル」(出所:Neonode社のウェブサイト)

     エレベーターのボタンを介したウイルス感染を防ぐための様々なソリューションが市場を賑わせている。ボタンを音声やスマホで操作するものや近接センサーなどだ。中でもNeonode社のタッチセンサーモジュールは、なじみのある従来のエレベーターボタンの見栄えを保ちながら、実際にボタンに触れずに高感度に反応する点で他より抜きん出る。

     Easpeed社CEOのドン・チェン・ハン氏は「Neonode社のタッチセンサーモジュールは、今まで見たものとは一線を画す。エレベーターにキーパッドを空中投影し、このモジュールを組み込むことで、未来にふさわしいエレガントなソリューションを提供できる」と絶賛する。Neonode社のこの新技術は「コンタクトレス・タッチ」と呼ばれ、エレベーターのボタンだけでなく、ATM(現金自動預け払い機)やガスポンプ、レストランの券売機など様々に活用が広がりそうだ。ホログラフィックボタン・ソリューションで私たちの手元が未来化する。
    Neonode Touch Sensor Modules Selected for Touchless Holographic Elevator Rollout in China by Easpeed

  • ・米国民の71%はCOVID-19接触確認アプリを使いたくない
  •  新型コロナウイルス感染者との接触歴を早期に知らせて地域的流行を予防するためのツール、「接触確認アプリ」が話題だ。アプリに登録すると、登録者の中に感染した人がいた場合14日前に遡り、接触のあった人に通知を送るといったサービスだ。しかし、米国民を対象にした調査では、71%の人が「そんなアプリはダウンロードしたくない」と回答した。理由は、デジタルプライバシーだ。

     6月にこの調査を行ったのはデジタルセキュリティー製品を提供するドイツAvira社。その中で、以下の事実が分かった。

    ・政府が提供する接触確認アプリよりも、民間の大手テクノロジー企業が提供する同様のアプリの方が信頼できると約2倍の人が回答
    ・25~44歳の回答者は、接触確認アプリの方がむしろ、なりすましやサイバー犯罪よりも脅威に感じている
    ・ウイルス感染に対し高リスクである55歳以上のグループの88%は、それでも接触アプリはダウンロードしないと回答

     以上を踏まえ、Avira社CEOのトラビス・ウイッテビーン氏は「アプリ開発企業や政府は、一般ユーザーに対してプライバシー保護をいかに確立するかを、第一に説明することが求められる。でないと、COVID-19接触確認アプリは計画倒れに終わる可能性がある」と指摘する。Avira社はコンシューマー向けのセキュリティーとプライバシーを保護するソリューションをWindows、Mac、Android、iOS等に提供、世界で5億以上のデバイスを守る企業だ。デジタルプライバシーに対する信頼感を、ウイルスの第二波よりも早急に広める必要がある。
    Avira Report: Majority of Americans Say They Won't Use COVID Contact Tracing Apps

  • ・20分のパーソナルEMSトレーニング、ジムの6時間と同じ効果
  •  ロックダウンが終わった。多くの人が安全で清潔な環境で運動を再開したいと考えている。でも、今までのように人がひしめくジムに籠もって何時間も運動に励むのはごめんだ。できればパーソナルトレーニングを受けたいが、より効率的にできる所はないかと探している人も多い。

     そこへ登場したのが、米Body20社。週に2回、20分限りのセッションだが、実はこれがジムで4~6時間運動するのと同等の効果があるという。集中的に行う20分間のセッションで、専属のパーソナルトレーナーがカスタマイズされたプログラムを提供。重りを体に付けたり、今までのようなジム器具を使用しなくとも、従来のトレーニングの150倍以上の筋収縮ができる。

     なぜ、ここまでトレーニング効果を高めることができるのか。それは、訓練されたトレーナーが行う、EMS(エレクトリカル・マッスル・スティミュレーション)を使ったトレーニング法に秘密がありそうだ。EMSとは、筋肉を人工的な電気刺激によって収縮させる運動器具で、テレビショッピングでも一時大ブームになった。ユニークでダイナミックな体の動きにこの電気刺激を使用することで、長時間の運動をしなくても、自分のフィットネスの目標を達成することができる。忙しいけど安全かつ効率的なワークアウトライフを送りたいと願う、私たちのわがままを革新的な方法で実現する。
    Body20® Promises a Safer Less Crowded Gym Environment, Provides One on One Training in Boca Raton

  • ・200人を1分で検温するスマートヘルメット、35カ国が採用
  •  4月7日付WORLD NEWS DIGESTでも取り上げた、1分で200人の体温をサーモススキャンセンサーで検知する英KC Wearable社の「N901スマートヘルメット」。従来のサーマルカメラよりも迅速に、96%の正確性で検温できる装置として一躍脚光を浴びた。その後活用は広まっているのか。今やアジア、欧州、南米、中東の35カ国以上の機関とパートナーシップを組み、空港や学校、病院で利用が広がっているそうだ。

     新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染管理に関する知見が徐々に蓄積され、各国でパンデミックを制御しつつロックダウンの解除も進んでいる。そこでこのスマートヘルメットが、接触追跡や抗体検査と並び、重要なツールとして、COVID-19のモニタリングと感染予防に一役買っている。顔認識技術と赤外線カメラを搭載したヘルメットのサーモススキャンセンサーは、半径7メートル圏内の人の体温を表示し、他のCOVID-19接触確認アプリのデータとリンクさせることも可能だという。

     このスマートヘルメットの特徴は、AR(拡張現実)とサーモススキャナーを組み合わせ、短時間で大人数の群衆を監視できるところだ。COVID-19は高熱が一般的な症状であり、ツールを使ってこの症例を効率的に特定することが予防策となる。ロックダウンを解除する鍵となるテクノロジーが、各国で活躍する。
    KC Wearable Announces SMART Helmet is being used in 35 Countries Globally to Help tackle COVID-19 and End Lockdowns