耳の中に埋め込む人工内耳システムとスマートフォンを接続する、世界初のワイヤレス音声プロセッサーが出ました。頭の後方部、耳の少し後ろに心地よく装着して使うタイプの、丸くて愛嬌のあるウエアラブルデバイスです。音声の操作はアプリを使って手元で行うため、デバイス自体にはボタンはなく、世界最軽量ですっきりスタイリッシュ。耳への負担が少なく、メガネやマスクも気軽に着用できる点も便利です。人工内耳にスマホからの音声を直接届けることで、聴覚障害者のライフスタイルを豊かにしてくれる優れたアイテムです。


以下では、2020年7月6日〜10日に海外の企業・大学・研究機関・米食品医薬品局(FDA)等が配信したプレスリリースの中から、編集部がピックアップしたものを【プロダクト/サービス】【ビジネス】【要素技術】に分類しました。各項目をクリックすると、それぞれのプレスリリース(ウェブサイトやPDFなど)に移動します。

【プロダクト/サービス】

  • ・人工内耳システムとスマホをつなぐ世界初の音声プロセッサー
  •  何やら丸い装置が人の頭の耳の後ろにちょこんと、バッジのようにくっついているが、これは一体何だろうか。実は、耳の中に埋め込む人工内耳システムを利用している聴覚障害者に、スマホの音声を直接伝える世界最小・最軽量の音声処理デバイスだ。インプラント型聴覚ソリューションの世界的リーダーである米国のCochlear Limited社が開発したユニークな新製品で、米食品医薬品局(FDA)にも承認されている。名前は「Kanso 2」。

    「Kanso2」(出所:Cochlear Limited社プレスリリース)

     人工内耳は、聴覚障害者の内耳の蝸牛に電極を接触させ、聴覚を補助する器具だ。これからはKanso2を耳の後ろに装着することで、AppleやAndroidのデバイスから直接音声をストリーミング(常時配信)できるようになる。音声の設定や機能の操作はアプリから行う。最高レベルの防水加工を施し、充電式電池を内蔵。デュアルマイク、フォワードフォーカス、スマートサウンドIQ、スキャンなどの高い技術を全て一つのデバイスにまとめ、操作性を高めた上、自動オン・オフ機能をつけることでボタンを排除したスタイリッシュなデザインだ。Kanso2はCochlear N24など、複数種類の人工内耳に対応する。

     この他にも、同社は「Nucleus 7」という音声プロセッサーも並行して発売する。こちらは、過去にNucleus22という人工内耳を施術した1万7000人の患者に対応する機種だ。Nucleus22が初めて施術されたのは1982年。この患者たちもスマホから初めて、直接音声を取り込むことができるようになる。医療スタッフ向けには、Custom Sound Proという管理用ソフトウエアを提供し、患者の利用状況を一目で把握できるダッシュボードとゴール設定機能を追加して、ケアを充実させる。Kanso2やNucleus7の利用効果を確認しながら、継続的に音声機能を改善することが可能だ。これらの画期的な製品は、2020年後半から米国とカナダで販売が開始される予定だ。
    Cochlear obtains FDA approval of Kanso 2 Sound Processor, first off-the-ear cochlear implant sound processor with direct smartphone connectivity

  • ・メラトニンに同調し自然な眠りを誘う夕日色の電球が新発売
  •  より健康な毎日を目指して製品開発を続ける米国のウエルネステクノロジー企業のTrueLight社が、面白い電球を開発した。「TrueLight Luna Red Sunset Sleep Light Bulb(眠りを誘う夕日色の電球)」だ。TrueLight社はこれまで、日中に体を活性化して生き生きと過ごせる照明製品を提供してきたが、今回は新たに「自然に睡眠を促し、より早く眠れる」落ち着いた色調の電球を発売する。

    Sunset電球(出所:Truelight社プレスリリース)

     研究によると、良質な睡眠には赤色の波長の光が最も効果的に働くことが分かっている。この新たなSunset電球は夕暮れ時の光に相当する3000Kと、深夜を演出する1000Kの落ち着いた明るさに色調調節できる。この温かい色合いの調光が、体内リズムを調整して夜に向けて体を休息に向かわせる手助けをする。従来の照明には「ジャンク光」といわれる、メラトニンの産生に悪影響を与える光が多く存在する。Sunset電球が発するロウソクや暖炉の炎を思わせる特別な深夜色のライトは、体の休眠を促してリラックスする効果がある。居間や廊下、子供部屋、風呂場、寝室に取り入れて、体の自然な休眠リズムを取り戻したい。
    TrueLight® Launches Red Science-Backed Sleep Light

  • ・覆うだけで外傷を素早くきれいに治す抗菌被覆材
  •  傷の回復を助けるドレッシング材(被覆材)を開発する英Hydrofera社が、自宅での外傷治療に使用できるドレッシング材「APPULSE」を発売した。傷を治療する外科的剥離術や局所陰圧閉鎖療法などの処置は在宅医療では許可されておらず、また高額過ぎるといった問題があり、この自宅でも使用できる抗菌ドレッシング材は、外科処置に代わる新たな治療手段として期待される。

     APPULSEは、「D.I.M.E」と呼ばれる外傷治療の4つのポイント、すなわち(1)Debridement(創傷部の洗浄)、(2)Infection/ Inflammation(感染/炎症)、(3) Moisture balance(水分バランス)、(4)Edge effect(外的影響)──に着目。この抗菌ドレッシング材は外傷部に対して自然な負圧をかけるようにデザインされ、最適な治癒環境を整えるために外傷部を清潔に保ち、組織の自己分解を促す。抗菌性と保湿力を備えているため、傷の周りを滑らかに保ちながら、傷口を効果的に、低コストで治すことができる。貼付も簡単で、在宅ケアに無理なく取り入れられるアイテムだ。
    Hydrofera, Aroa Provide Free APPULSE Home Care Protocol for Treatment of Wounds in the Home Care Setting