今や外出時の必需品となったマスク。肌に優しい着け心地の良い素材や洗える素材のもの、ストラップレス、シリコン製の透明マスクなど様々なタイプが出現する中、ついにウイルスを不活性化させるテクノロジーを備えたマスクが登場しました。微生物の専門医学誌『Lancet Microbe』は、マスクの表面に付着した新型コロナウイルスがその後7日間感染力を保ち続けたという驚くべき事実を発表。今後はマスクにもウイルスと闘う攻めの機能が求められます。シンガポール発のサービスアパートメントを手掛ける企業は、ステイホーム対策として、家具だけでなく食料品も一式そろえる「在宅ワークパック」や、室内トレーニング器具をそろえた「おうちジムパック」など、新型コロナに伴い新たに出現したニーズに細やかに応えるサービスを開始しています。


以下では、2020年7月13〜17日に海外の企業・大学・研究機関・米食品医薬品局(FDA)等が配信したプレスリリースの中から、編集部がピックアップしたものを【プロダクト/サービス】【ビジネス】【要素技術】に分類しました。各項目をクリックすると、それぞれのプレスリリース(ウェブサイトやPDFなど)に移動します。

【プロダクト/サービス】

  • ・「攻めの守り」で新型コロナを撃退する殺菌マスク
  •  カナダのi3 BioMedical社が、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)をやっつけてくれるマスクを開発した。トロント大学の研究チームが実験したところ、この「TRIOMEDアクティブマスク」の表面に新型コロナウイルスが触れると、数分で99%が不活性化することが分かった。TrioMed社の抗菌・抗ウイルステクノロジーは、マスクの他にも創傷被覆材や医療用テープ、手袋、帽子、ガウンなどの感染症対策用の個人防護具に使われており、グローバルに提供されている。

    「TRIOMEDアクティブマスク」(出所:i3 BioMedical社プレスリリース)

     米国の医学誌『American Journal of Infection Control』によると、人は1日に平均23回顔を触っているそうだ。さらに、微生物に関する専門医学誌『Lancet Microbe』は、新型コロナウイルスがマスクに付着した後、7日間感染力を保ち続けたという驚くべき事実を発表した。つまり、私たちを守るはずのマスクからウイルスに感染してしまう可能性も十分にあるため、マスクの取り扱いには注意が必要だ。

     i3BioMedical社の創立者兼CEOのピエール・ジャン・メッシア氏は「TRIOMEDアクティブマスクは、世界で初めて科学的に実証された殺菌マスクだ。当社が何年もかけて開発した独自の抗菌技術は世界中の医療機関で使用されており、様々な研究所でMRSA(メキシリン耐性黄色ブドウ球菌)やVRE(バンコマイシン耐性腸球菌)、大腸菌、黄色ブドウ球菌、インフルエンザウイルスの死滅効果も実証されている。今回SARS-CoV-2に対する殺ウイルス効果も確認され、「攻めの守り」でマスク界の守護神を目指す。使用期限は5年、自宅に一箱は常備しておきたいアイテムだ。
    University of Toronto Tests Confirm First Mask That Deactivates Coronavirus

  • ・サービスアパートメントビジネスのニューノーマルとは
  •  ウィズコロナ時代のサービスアパートメントビジネスはどう変わるか。サービスアパートメントとは、高級マンション等の物件品質を保証し、国際企業などに貸し出すという法人向けの空き部屋マッチングサービス事業だ。メインの顧客は、国際企業のエクスパット、長期出張者などの外国人。テクノロジーを活用する、シンガポール発のサービスアパートメント企業MetroResidences社が、顧客の安心と信頼を取り戻すべく開始した4つのサービスを見てみよう。

     一つ目は、気になる物件を360度ぐるっと見学できるオンラインバーチャルツアー。興味のある部屋が見つかったら、事前にオンラインツアーと個別相談会を予約し、物件や近所の環境を入念に下見できる。先月だけでバーチャルツアーの利用者は73%増えたという人気ぶりだ。二つ目は、返金サービス。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による不安定な状況下、急な状況の変化による顧客のストレスや不安に柔軟に対応できるよう、返金や部屋の交換のリクエストに素早く応える専用の顧客相談窓口を設置。顧客満足の充実に取り組む。

    除菌清掃の訓練を受けた清掃チームを全ての部屋のチェックアウト時に配備しCOVID-19防止に努める(出所:MetroResidences社プレスリリース)

     三つ目は、政府機関や医療専門家によって定められたクリーニングガイドラインに準拠していることを示す認定マーク「クリーンプラス」の取得。MetroResidence社は、除菌清掃の訓練を受けた清掃チームを全ての部屋のチェックアウト時に配備し、COVID-19防止に関する最新情報も常時発信する。四つ目は、ステイホーム対策。同社はもともと家具付きの部屋を提供しているが、追加備品として、食料品を一式準備するサービスを開始した。バスタやお米、調味料、乾物など、料理の必需品を一通り常備し、買い出しの心配が要らない。さらに「在宅ワークパック」を選択すると、部屋にウェブカメラ、パソコン台、マイクなどが設置される。体のメンテナンスを怠りたくない人には「おうちジムパック」があり、トレーニング器具やヨガマット、エクササイズバンド、ランニングマシンもそろえてくれるので安心だ。

     利用者が安全に、安心してニューノーマル(新しい生活様式)に順応するサポートのために、この4つのサービスで顧客のニーズに合わせたビジネススタイルを導入し、シェアリング・エコノミー市場を引っ張る。
    MetroResidences Introduces Safety and Recovery Initiatives to Restore Consumer Confidence

  • ・体の免疫力を向上して若返らせる「完璧な休眠」システム
  •  「完璧な休眠」を実現させるシステムがある。スペインのHOGO社が30年かけて開発した、寝ている間に免疫を向上させる休眠システムだ。体の酸化と炎症プロセスを遅らせることで、生物学的に若返ることのできる、世界で唯一のシステムだという。このシステムの中に入って眠ると、体の結合組織の疲労やけがが早く回復し、組織の質を向上させることができるとして、プロサッカー選手でアトレティコ・マドリードに所属するマルコス・ジョレンテ氏をはじめ、多くのエリートアスリートが試合と試合の間の休眠に利用しているそうだ。

     組み込まれている枕、寝心地を改善するマットレストッパー、毛布には体温調節機能が搭載されており、体温を最適に維持して休息を妨げる発汗や冷えを予防してくれる。マットレスに使われているココナッツ繊維がマイナスイオンを生成し、湿気を吸収する役割を果たす。さらに、この休眠システムは利用する人の体質に合わせて適応してくれるという。利用者は、事前にHOGOの専門家から調査を受け、身長や体重などを伝えることで、システムが柔軟に各人の人間工学に適合し、姿勢制御も行ってくれる。

     HOGOが健康に与える影響を調べるため、マドリード・コンプルテンセ大学とグラナダ大学の生理学チームは多数の科学的研究を実施。さらに精神神経免疫学研究会国際機関(PNIRS)も効果を承認し、休眠中に確実に健康を増進させてくれる休眠システムとして注目されている。価格は3万5000ユーロ(約427万円)と、少々高めだ。
    The HOGO Sleep System Aims to Provide the 'Perfect Rest'

  • ・薬の効かない「多剤耐性結核」を90分で診断する迅速分子検査
  •  怖いのは、新型コロナだけではない。体の中でジワジワ増殖する結核菌の罹患も、最近話題となっている。結核菌は、多剤耐性結核(MDR-TB)や広範囲薬剤耐性結核(XDR-TB)など、結核の治療薬に対して抵抗性がついてしまうことがあり、これを「耐性化」と呼ぶ。世界的に見て、多剤耐性結核は増加傾向にあり、致死率は41%だともいわれ、油断できない状況にある。

    「Xpert MTB/XDR検査」(出所:Cepheid社プレスリリース)

     そこで最近、米国の分子診断開発企業Cepheid社と、国際NPO法人The Foundation for Innovative New Diagnostics(FIND)が共同開発したのが「Xpert MTB/XDR検査」だ。この新たな「結核の迅速分子検査」は、薬剤に対する抵抗性を90分以内に検出できる。1つの患者のサンプルから複数の変異を検出し、医師が個々の患者に最も適切な治療を迅速に選択できるようになる。

     患者が薬剤に対して耐性を持っているかどうかを特定する従来の方法は非常に複雑であり、結果が出るまでに16週間もかかるため、実用的ではない。世界保健機構(WHO)は、薬剤耐性結核の迅速な分子検査と検出が、治療には不可欠な条件だとして推奨している。治療を可能な限り早く開始するには、迅速診断が必要であり、このプロセスが生死を大きく分ける。現在、この新たな迅速分子検査を使った研究が行われており、WHOが承認すれば、今年末からインドや中国など、結核罹患の多い国から利用が可能となる。
    New Rapid Molecular Test For Tuberculosis Can Simultaneously Detect Resistance To First- And Second-Line Drugs