新型コロナ対策として、ソーシャルディスタンスを徹底するため、ドイツの企業が、超小型60GHzレーダーチップを使った高性能の「スマートドア」を開発しました。レーダーは周囲の情報を検知するセンサーとして、カメラよりも優れているといわれており、極端に暗い場所も明る過ぎる場所も、また外側を何かに覆われていても、人やモノの動き・位置を正確に検知できます。呼吸による人の微妙な動きも検知する高度なレーダー技術で、公共エリアの人の動きを自動的に、正確に計測し、建物や部屋の中の人数を信号機で制限してくれます。ソーシャルディスタンスを保ちながら、経済を止めずにウイルスの感染だけを止めるべく、あらゆる建物の入り口に取り付けたいドアです。

 また、経済を再開させるには、安全かつ効率的な大規模ウイルス検査が鍵となります。医療スタッフがいなくても検体を自律的に患者の負担なく採取するPCR検査ロボットを、台湾の企業が開発しました。現在、自国や海外の規制当局に緊急承認を申請中とのこと。ワクチン開発にもう少し時間がかかる中、感染リスクの高い環境にいる医療スタッフのためにも、この有能な助っ人の1日も早い登場が待たれます。


以下では、2020年7月27〜31日に海外の企業・大学・研究機関・米食品医薬品局(FDA)等が配信したプレスリリースの中から、編集部がピックアップしたものを【プロダクト/サービス】【要素技術】【ビジネス】に分類しました。各項目をクリックすると、それぞれのプレスリリース(ウェブサイトやPDFなど)に移動します。

【プロダクト/サービス】

  • ・ソーシャルディスタンスを確保、どこでもスマートドア
  •  正確性、匿名性、そしてコンタクトレス、の3拍子がそろったエントランスソリューションを紹介する。各国政府が公共施設においてソーシャルディスタンスを徹底するための新たな規制やガイドラインを施行する中、ドイツのInfineon Technologies社は、建物の入り口で自動的に入室制限をするドアを開発した。この画期的なソリューションはどこにでも取り付け簡単な2.5m×1.5mのレーダーボードを用い、超小型・低消費電力の60GHzレーダーセンサーとソフトウエアを統合して、匿名性を保ちながらドアを出入りした人数を計測することができる。

    Infineon(出所:Infineon Technologies社プレスリリース)

     ドアの横には信号機がついており、ドアに近づくと、建物や部屋の中に現在何人いるかを判断し、入室可能かどうかを自動ですぐに表示してくれる。公共施設や会社、空港、レストランやスーパーなどにおいて、人と人との適度な距離が保てるよう人数制限を維持するための手助けとなる。混雑を防ぎながらビジネスを継続させる「ニューノーマル」のための便利なツールだ。レーダーテクノロジーによって人の頭数のみを認識して個人は特定しないことで匿名性を担保し、個人情報を100%守る点も安心だ。Infineon社は、今後このスマートエントランスソリューションに新機能を追加すべく、研究開発を続けている。
    Accurate, anonymous, contactless: Infineon's radar-based entrance counter solution for public buildings, retail stores, restaurants or corporate spaces

  • ・感染リスクゼロへ、新型コロナPCR検査ロボット登場
  •  新型コロナウイルスの検査をしてくれる自律型ロボットが登場した。台湾Brain Navi社が開発した、鼻の奥の検体を採取するロボットだ。パンデミックの中、経済を再開させるには、安全かつ効率的な大規模ウイルス検査が鍵となる。感染リスクの高い環境にいる医療スタッフを守りながら、長時間かけて大勢を検査するBrain Navi社の検査ロボットが大活躍しそうだ。有効なワクチンが認証されてウイルスの拡大を防ぐことができるようになるまで、有能な助っ人ロボットが必要だ。

    鼻の奥の検体を採取するロボット(出所:Brain Navi社プレスリリース)

     このロボットは、患者の顔の構造を理解でき、鼻孔の位置を自動的に認識するため、医療スタッフがいなくても検体を自律的に患者の負担なく採取することができる。Brain Navi社がかつて開発した、革新的な「脳神経外科ナビゲーションロボット」は花蓮市の医療センターで15件の臨床試験を成功させたが、今回の検査ロボットにも、その基本機能の一部を利用している。Brain Naviの検査ロボットは台湾の厚生省臨床試験の申請審査が承認されたところ。現在、米食品医薬品局(FDA)で緊急使用許可(EUA)を、また台湾TFDAに承認申請中だ。
    Brain Navi Develops New Robot Performing Nasal Swab Tests to Prevent Cross Infections

  • ・新型コロナワクチンを直接皮膚に投与する次世代型予防接種
  • DNAワクチンを体内に取り込む次世代型スマートデバイス(出所:INOVIO社プレスリリース)

     新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の感染を予防するDNAワクチンを体内に直接取り込む次世代型スマートデバイスが、米INOVIO社によって開発された。今回同社は、デバイスの大規模な製造と調達に向け、アメリカ国防総省(DoD)から7100万ドル(約75億1700万円)の資金を調達したと発表した。

     「CELLECTRA 3PSP」と呼ばれるこのデバイスは、INO-4800ワクチンを直接皮膚に投与し、体内の強力な免疫反応を促進する。INO-4800ワクチンは、常温で1年以上安定して保管でき、大量接種を実施する際に重要となる輸送・保管時の凍結を必要としない、唯一の核酸系ワクチンだ。ワクチンの第1相臨床試験の中間結果は7月下旬に発表され、続く第2/3相試験は今夏開始予定。

     CELLECTRA 3PSPは、単三電池で作動する小型で携帯性に優れ、メンテナンス不要なユーザーフレンドリーなデバイスだ。現在、INOVIOのサンディエゴの製造工場で最初の生産を完了したところで、今後さらに供給量を増やすため、製造プロセスの設計を委託製造会社に提供する準備を進めている。
    INOVIO Receives $71 Million Contract From U.S. Department of Defense To Scale Up Manufacture of CELLECTRA® 3PSP Smart Device and Procurement of CELLECTRA® 2000 for COVID-19 DNA Vaccine

  • ・SARS-CoV-2を60分以内に99%除去するイタリア寝具
  •  メイド・イン・イタリーの老舗寝具ブランドMagniflexのマットレスや枕、トッパーなどの寝具製品「MagniProtect」が、イタリアや国外の研究所のテストで新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対して高い抗ウイルス作用を発揮し、世界で初めて承認された。

    「MagniProtect」(出所:Magniflex社プレスリリース)

     Magniflex社が開発した革新的な技術は、中和剤と、細菌やウイルスの複製を阻害する物質を複合し、寝具の生地の中の病原微生物の増殖や残留を抑制し、感染リスクを大幅に軽減する。イタリア国立研究評議会(CNR)、ピサ大学、米国の研究所で行われた独自の研究では、MagniProtectの生地に付着したSARS-CoV-2を60分以内に99%以上除去することが分かった。寝具に対して、こういった試験が行われたのは初。MagniProtectは、AATCC100やISOの繊維製品の抗菌・抗ウイルス活性に関する試験に合格し、人や環境に有害な物質がないことを証明するOEKOTEX STANDARD 100を取得した。ウイルス感染を防ぎ、パンデミックの最中でも安心して朝を迎えられる寝具として人気が出そうだ。
    MagniProtect by Magniflex: the world's first antiviral sleep collection tested against COVID-19 is Made in Italy