新型コロナウイルスの脅威が続く中、夏休み明けに向けて、学校など教育施設におけるクラスター発生が警戒されています。米国では、生徒や学生、教職員を感染から守る3つの新製品が登場しました。1つは、校舎や食堂の入り口に設置する「AI出迎えスクリーン」。1人ひとりに検温、マスク着用チェックを行うだけでなく、学生証などによるログインで、感染者が発生した際の接触情報を確認できます。2つ目は、学校机に個別に設置することで、飛沫感染を物理的に遮断する透明アクリル・デスクガード。3つ目は学校以外の公共施設でも使用できる抗菌保護伸縮性フィルム。ドアハンドル、エレベーターのボタン、手すり、クレジットカード機、洗面所の蛇口、ショッピングカートなど、あらゆるものに使用可能なため、需要が急増しているそうです。これらに共通するのは、シンプルですぐに取り入れられる点。ウイルスとの長期戦が続く中、技術開発と並行して、身近にあるものをどのように活用するかにビジネスチャンスが眠っています。


以下では、2020年8月10〜14日に海外の企業・大学・研究機関・米食品医薬品局(FDA)等が配信したプレスリリースの中から、編集部がピックアップしたものを【プロダクト/サービス】【ビジネス】【要素技術】に分類しました。各項目をクリックすると、それぞれのプレスリリース(ウェブサイトやPDFなど)に移動します。

【プロダクト/サービス】

  • ・発熱・マスク・接触確認、学校に置きたいAI出迎えスクリーン
  •  新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が拡大する中、一度閉鎖した学びの宿舎を再度開放するかどうか、それともこのままリモート授業を続けるのか──。世界の学校が直面する大きな課題である。学校側が、生徒や保護者、教職員などから決断を迫られる中、感染防止を最優先して最適なバランスを早急に検討する必要がある。例えば、米エール大学は、大学1年生から3年生までの学生は引き続きキャンパス内の寮に住みつつ、授業は全てリモートで行うという施策を取っている。

    AIによる出迎えスクリーン(出所:PreciTaste社プレスリリース)

     他の多くの大学では、50%以上が通常の教室で行う講義の継続を計画している。そんな中、米PreciTaste社のセンシング技術を駆使したAI(人工知能)による出迎えスクリーン「AI Welcome Center (AIWe)」が活躍しそうだ。このスクリーンは、顔を映すと一瞬で体温を測定し、マスクを着用しているかどうかを確認する。このスクリーンを校舎や食堂などの入り口に設置しておけば、感染防止に役立ちそうだ。

     このAI Welcome Centerにはアカデミック版があり、各大学別にカスタマイズすることが可能だ。例えば、学生証やIDをスキャンすると、教室やキャンパス内にログインでき、感染者が発生した際にロケーションデータを使って接触情報を確認できる。米国では州によって様々な感染予防措置が導入され、刻々と変化している。フロリダ州ではマスク着用が義務化され、ニューヨーク州では旅行客は到着後2週間の自己隔離をしなければならない。こういった州の特有の規則や推奨事項を、AI Welcome Centerのソフトウエアに簡単にリモートで設定し、感染管理に役立てることもできる。カスタマイズして様々な用途に使えるAI出迎えスクリーンの活用は広がりそうだ。
    Reopening Academia: How to Use PreciTaste's AI Welcome Center to Keep In-Person Classes Safe from COVID-19 Spread

  • ・ウイルスを遮断、視界を遮断しないデスクガード
  •  COVID-19の感染拡大が止まらない中、米国で話題を集めているのは学校施設の今後の施策だ。全米の学校の再開が待たれる中、生徒や教職員の安全確保とのバランスを考慮する必要がある。そこで、マイアミを中心に活動する米Bliss Imprints社が、生徒用のデスクガード「Student Desk Guard」を学校に導入し始めた。咳やくしゃみ、また喋るだけでも広がる可能性のあるウイルス飛沫を、物理的に遮断する役割を果たす。

    「Student Desk Guard」(出所:Bliss Imprints社プレスリリース)

     もともとBliss Imprints社は招待状やギフト、粗品、プロモーション製品や印刷ソリューションを提供しているが、その中のアクリル板の展示用パネルに目をつけ、学校での感染防止に使用できるのではないかと考えた。学校机に設置して生徒や教員を保護できるよう設計し、製造を開始した。

     取り付けと清掃をいとも簡単にできる点も、デスクガードの魅力。学校の厳しい予算の中で手軽に使用できるよう、素材にはポリカーボネートアクリルかポリプロピレンプラスチックを使用、価格設定は9.99ドル(約1060円)~と手ごろだ。ウイルスを遮断しても視界を遮断しない、優れたツールとして、ペンや鉛筆などの日常的な学用品のリストに、今年はデスクガードも加える学校が増えそうだ。
    In Response to COVID-19, Bliss Imprints Shifts Business to Manufacturing Student Desk Guards

  • ・銀イオン配合、伸縮性フィルムがあらゆる面を抗菌保護
  •  除菌清掃がいまだかつてないほど、高いレベルで求められている。そんな中、米Silver Defender社が新製品のフィルムを打ち出し、全米のビジネスを応援する。このフィルムはただのフィルムとは違い、特許申請中の抗菌保護技術が内蔵された伸縮性フィルムだ。抗菌剤が光、空気、触覚によって活性化され、細菌やカビ、真菌からフィルムを保護する。銀イオンがフィルムの外側に付着する細菌に反応し、フォルムの外面を清潔に保つ仕様だ。

    抗菌保護技術が内蔵された伸縮性フィルム(出所:Silver Defender社プレスリリース)

     この伸縮性フィルムを開発したのは、女性起業家のゼイナップ・イークマン氏。今から2年前に家の近くのとあるコーヒー店で洗面所の掃除が行き届いていなかったことからヒントを得、抗菌フィルムのビジネスイメージを膨らませた。研究者の意見を集めて製品テストを行い、ビジネスプランを構築。最初の製品は2018年に発売され、今年に入り新型コロナ感染が発生してから、需要は爆発的に伸び始めた。高い伸縮力を持つこのフィルムは不特定多数の人が毎日触れるドアハンドル、エレベーターボタン、手すり、クレジットカード機、洗面所の蛇口、ショッピングカートなど、あらゆるものに使用可能。取り付けも取り外しも簡単にできる。「清潔」の新たなスタンダードを打ち出し、顧客や従業員など全ての人に対して、より高いレベルの安心感を与える、シンプルかつ画期的な製品だ。
    Silver Defender Offers Unmatched Cleaning Power For Touch Point Surfaces

  • ・スマホで簡単にCOVID-19の重症度を判定するAI検査
  •  COVID-19の重症度を特定する、AIモニタリング・スクリーニングソリューション「CovidDeep」が誕生した。最新鋭のAIスタートアップ企業である米NeuTigers社が、ワイヤレスネットワークプロバイダーの米Rajant Corporationとパートナーシップを組み、この画期的な新製品を発表。NeuTigers社が用いるのは、次世代型エネルギー・レイテンシーを活用するAIだ。

     イタリアのパヴィア市にあるサンマッテオ病院で最近行われた研究では、市販のウエアラブルセンサーから得た臨床生体データを使用し、CovidDeepが機械学習を用いて健康な被検者、新型コロナウイルス(SARS-Cov-2)陽性だが無症状の被検者、入院が必要なSARS-Cov-2陽性患者をそれぞれ区別できることを実証した。ウイルスの自己検査から適切な治療をより早く提供することができれば、安全に世界中の仕事を再開し、経済を再起動することができるとして、期待されるソリューションだ。

     今後目指すべき姿は、医療スタッフがいなくても、個人でスマートフォンやスマートウォッチなどの医療センサーから数分で簡単に生体データを取得し、CovidDeepを用いてウイルス検査をできるようにすることだ。重症患者と軽症患者を特定し、治療の優先順位付けができれば、医療スタッフや器具が不足する地域の大きな手助けになる。オープンで生産的な社会を取り戻すためには、多くの人が手軽に使用できる、スケーラブルなウイルス検査システムが鍵となる。CovidDeepを皮切りにこれから2社はコラボレーションを強化し、AIを活用したスマートヘルスケアやサイバーセキュリティー、エッジコンピューティング、IoT(モノのインターネット)など様々な分野の課題解決に挑む。
    NeuTigers and Rajant Begin Validation Testing for CovidDeep: AI-Powered Solution to Screen for SARS-CoV-2/COVID-19 by Analyzing Smart Devices' Built-In Sensor Data