新型コロナの影響で様々な制約を強いられる中、健康とウエルネスに、デザインや機能性を掛け合わせることでより充実したライフスタイルを楽しみたいというニーズが高まっています。今週はそんなニーズに応える新製品を3つピックアップしました。1つ目は、宇宙飛行士気分を味わえる、ニューヨーク発のヘルメット型透明マスク。夏場は、熱中症の原因ともなる従来のマスクが、未来の形状へと進化を遂げました。街中で着けると最初はギョッとされるかもしれませんが、新しさ、機能性という点で抜きん出ていると感じます。少しかさばるのが難点でしょうか。2つ目は中国の、おしゃれすぎる超薄型ウエアラブルスマートウオッチ。機能性やデザインを洗練の極みに到達させるための、飽くなき職人魂を感じる製品です。3つ目は、ドアノブやタッチスクリーンなどを直接触らずに操作できる、高力アルミ二ウム合金を使ったマルチツール。様々なタイプのドアノブにフィットし、タブレットや銀行のATM(現金自動預け払い機)のボタンにも対応するため、接触感染の経路を遮断できます。


以下では、2020年8月17〜22日に海外の企業・大学・研究機関・米食品医薬品局(FDA)等が配信したプレスリリースの中から、編集部がピックアップしたものを【プロダクト/サービス】【ビジネス】【要素技術】に分類しました。各項目をクリックすると、それぞれのプレスリリース(ウェブサイトやPDFなど)に移動します。

【プロダクト/サービス】

  • ・宇宙飛行士みたいな次世代型透明ヘルメットマスク
  •  従来のマスクの常識を刷新する新製品が登場した。ニューヨーク発のスタートアップ企業Covidisor社が、顔を覆う暑苦しいマスクを着けなくてもN95レベル以上の呼吸器保護を実現する「パワフル空気清浄呼吸用保護具(PAPR)」を開発。多くのPAPRが正圧を使用して装着者のみを保護するのに対し、Covidisor社の製品は負圧を使用し、吸う息と吐く息の両方をろ過することで、装着者と周囲の人の両方を保護する点が新しい。

    換気機能も付くヘルメット型マスク(出所:Covidisor社プレスリリース)

     この画期的なヘルメット型マスクの他の特徴も見てみると、超軽量で装着も快適、着脱簡単、透明で顔認証も可能などの点が挙げられる。頭の後ろに設置されたファンが前面のフィルターの換気を促す設計だ。フィルターはN95またはP100レベルで、一般的な医療用マスク以上にウイルス感染を予防する効果が高い。学校や大学向けには、割引料金の245ドル(約2万6000円)で販売中だ。
    Covidisor Announces Transparent Full Head Protection for Settings with Limited Physical Distancing

  • ・超薄型ウエアラブルで睡眠・ストレス・運動を24時間管理
  •  2020年の最重要課題は、「健康とウエルネス」で間違いない。中国Zepp社の、健康をデジタル管理するウエアラブルデバイス「ZeppEシリーズ」のおしゃれな新商品ラインアップを紹介する。AI(人工知能)と最先端テクノロジーを融合した、スタイリッシュで高性能なバイタルヘルスソリューションの提案だ。今から遡ること10年前、Zepp社は個人の運動データをモニタリング・分析するウエアラブルセンサーデバイスの発売を開始し、北米のトレーニング市場に旋風を巻き起こした。そして2020年、Zeppは洗練されたデザインと使い心地でさらに進化した姿を見せた。忙しい日々を効率的に過ごしたいと願う、スタイルにこだわる現代人のための、より高度な健康管理ツールとして登場した。

    ZeppEシリーズ(出所:Zepp社プレスリリース)

     ZeppEシリーズの特徴を見てみよう。

    (1)睡眠と血中酸素飽和度のモニタリングで睡眠の質と呼吸を測定
    (2)心拍数センサーで24時間ストレスをモニタリング
    (3)漆黒の3D縁なしガラスディスプレーとステンレススチールを掛け合わせた、薄さ9mmのスタイリッシュで超薄型のフォルム
    (4)ストラップは各色選べ、素材はメタル、皮、フッ素ゴムと様々な場面に合わせて使用できるよう用意
    (5)バッテリーは1回の充電で最大7日間使用可能。強力防水加工で水中でも使用可能
    (6)ウオーキング、ランニング、自転車、プールなどの運動時には、各人固有のゴールを設定し、運動量やカロリー消費量を計測。座りっぱなしが続くと、立ち上がって体を動かすようにリマインダーを通知してくれる
    (7)スマホと同期すると、メールや電話の通知、天気予報も確認できる。スマホで聞いている音楽を、ZeppEで早送りなど操作できる

     ZeppEシリーズは8月25日、米国において249ドル(約2万6300円)で発売を開始する。
    Zepp Unveils Zepp E, A New Stylish Line-Up of Wearables Designed with Wellness in Mind

  • ・お出かけカバンに入れて持ち歩きたい抗菌マルチツール
  •  パンデミックライフを快適に送るための便利なマルチツール「LINC」を紹介する。触らずにドアを開けたりボタンを押したりスクリーンをタッチしたりでき、公共の場所における感染経路を気にせずに人々の安全な移動を確保する、シンプルかつ画期的なツールだ。カバンの中にマスクと一緒にポンと入れて、毎日持ち歩きたい。米国の調査によると、28%が外出の際に感染防止手袋を装着する、と回答するほど、ウイルスに対する危機意識は依然高い状況にある。

    抗菌マルチツール(出所:LINCプレスリリース)

     LINCの特徴は、多目的に使用できるデザインだ。様々なタイプのドアノブにフィットし、タブレットや銀行のATM(現金自動預け払い機)のボタンにも対応する。素材には航空機用の高力アルミ二ウム合金を使用、125lbs(ポンド)の重さまで運ぶことができるため、例えば、重たい買い物カゴやゴミ捨て場のフタの開閉など、様々に活用可能だ。また、100%抗菌性を発揮するよう、メカニカルマイクロポリマーを本体にコーティング、さらにゴムに抗菌剤を添加し、銅と同様の高い抗菌性を実現した。1人1個、ニューノーマル時代の必需品となりそうだ。
    LINC, the New Antimicrobial Everyday Carry Tool Set to Launch on Kickstarter

  • ・1500種類以上の病気から症状別に自己診断できるiOSアプリ
  •  何となく体調がすぐれないが、なんの病気か分からない。そんなときは、アプリで病気を診断しよう。米国有数のモバイル・ウェブアプリ開発会社SIMpalm社が、医師とコラボし「DDxProアプリ」をローンチした。このアプリを使うと、症状別に病気の診断ができる。医学的な診断、検査、症状に基づき、医療スタッフや家族、患者自身が病気の情報を見つけやすくする、画期的な医療アプリだ。

    「DDxProアプリ」(出所:SIMpalm社プレスリリース)

     病院の診断結果を見ても、実際どのような病気によって引き起こされているか分からなかったり、グーグル検索しても、無数の可能性が提示されて混乱したりした経験はないだろうか。そんな悩みは、もう不要だ。iOSアプリのDDxProを使えば、症状や診断、検査結果に基づいて病気を特定することができる。アプリは使いやすいデザインで、1500種類以上の病気に関する情報にアクセス可能だ。オフラインでも使用できる点も便利。アプリは今後新バージョンをリリース予定で、追加機能がどんどん増えるそうだ。
    Now Use a Mobile Health App to Find Out the Disease Based Upon Your Symptoms.

環境にも体にも優しいベジタリアンカプセルが人気

【ビジネス】

  • ・これからの美容外科はラジオ周波数を一人ひとりにカスタマイズ
  •  イスラエルの世界最大のエネルギー医療デバイス企業Lumenis社が、最新機器を発表した。個々の患者のニーズに合わせて最適な美容・外科・眼科治療を提供するパーソナライズ・ボディー・トリートメントデバイス「NuEra Tight」だ。使用するのは、画期的なラジオ周波数治療「FocalRFテクノロジー」。この新テクノロジーは、症状や体の部位に合わせて美容治療を行うために使用する各ツールを、1つのデバイスで提供する。

    「NuEra Tight」(出所:Lumenis社プレスリリース)

     ラジオ周波数治療は、美容界で高い注目を集めている新たな治療法だ。NuEra Tightは、周波数とツールを幅広く選択でき、高度にカスタマイズできる。非侵襲的で痛みを伴わない、安全で迅速な施術は、美容界のゲームチェンジャーとして期待されている。各患者の皮膚の状態はそれぞれユニークであり、同じ施術を全ての人に行うのはもう古い。施術中に、様々な皮膚の状態に合わせて最適な治療法を選択できる、一歩先を行くソリューションだ。
    Lumenis Announces a Breakthrough in Aesthetic Medical Devices: NuEra® Tight with FocalRF™ Technology, a New Era in Personalized Body Treatments

  • ・環境にも体にも優しいベジタリアンカプセルが人気
  •  「ベジタリアンカプセル」がはやっている。2020年の世界の栄養補助食品市場を見ると、健康と自然食品に対する消費者の意識が高まり、サプリメントカプセルの原料はハード・ソフト共に、キャッサバデンプンなど植物性原料の使用が増えている。植物由来のカプセルは化学添加物を含まないため、製造過程の汚染が少ない。また、魚油や植物エキスなど、酸化されやすい栄養素との相性も良く、栄養成分をよりよく維持することが可能だ。

     新型コロナウイルスのパンデミックにより、健康や生活習慣、健康関連製品に対する意識は大きく変化している。牛、魚、豚のコラーゲンを加水分解した従来型のゼラチン製品と、自然由来の製品の効能を比較し、体と環境により良いものを投資したい、と考える人が増えている。また、植物性製品は、ビーガンや、動物性食品の摂取を禁じられている特定の宗教や民族の要望にも応えることが可能だ。今後、栄養補助食品にベジタブルカプセルを使っているかどうかが、企業の命運を分けるかもしれない。
    Xinhua Silk Road: Vegetarian capsule becomes new trend of international dietary supplement market in 2020

  • ・部屋のウイルスを99.9%死滅させるモバイルUVシステム
  •  米ロードアイランド州のAVTECH Software社が、新たな「モバイルUVシステム」の発売を開始した。学校や待合室、職場、美容室、ジムなど様々な施設内の空気中や物体表面の病原体を殺す効果の高いUVライトポータブルユニットだ。AVTECH社は32年前から、「Room Alert」と呼ばれる環境モニター装置を製造しており、部屋の温度や湿度、洪水、煙など、屋内環境のモニタリングを行っている。既にFortune 1000に名前を連ねる企業の80%、国連機関や米軍の各部門において使用されているメジャーな製品だ。

    「モバイルUVシステム」(出所:AVTECH社プレスリリース)

     Room Alertの主な用途の一つは、高温、多湿、カビの繁殖につながる状況を警告し、施設の従業員や顧客、患者、テナントの健康と安全を守ること。今回、北米で発売された新たなモバイルUVシステムは、部屋に設置して、部屋の寸法に合わせてタイマーをセットするだけで、4つの36ワットUV-C電球が99.9%の効率で細菌を死滅させ、ウイルスを不活性化することができる。操作には特別なトレーニングや資格は不要、安全に効果的に、ウイルス感染を防ぐことができる、便利なデバイスだ。
    AVTECH Announces North American Launch of New Mobile UV System to Help Sanitize Facilities

新型コロナ治療、T細胞を誘導するアプローチの可能性

【要素技術】

  • ・新学期に便利、窓付き持ち運び式パーティション
  •  軽量で持ち運び簡単な学生用パーソナル・パーティションが開発された。生徒間の感染を防ぐためのアイテムとして、米CompanyBox社が製作したものだ。米オハイオ州ジェニーバの学区に通う5500人に、無償で提供された。この地域の学校は9月1日から再開予定であり「生徒に対して費用をかけずに感染予防対策を行う、最適なソリューション」と評価している。

    学生用パーソナル・パーティション(出所:CompanyBox社プレスリリース)

     段ボール素材のパーティションは、真ん中にプラスチック製の窓とツイストロックがついており、ロッカーにしまうことができる。環境に優しいインクで各生徒の名前を印字することで、他の人のを誤って使用することも防げる。サイズは2種類、小学生用のスモールサイズと、中高生用のラージサイズを用意。通学を再開する子どもと家族に安心感を与えてくれる、マスクに追加の予防策として活躍する。
    Back to the Classroom: CompanyBox Donates Custom Safety Partitions to Geneva Area Schools

  • ・幹細胞と3Dプリンターを融合、ミートテックの進化
  •  ミートテックがまた一歩前進した。イスラエルのMeat-Tech 3D社が幹細胞と3Dプリンターを掛け合わせ、均一で薄い人工肉を製造する実験に成功した。細胞を育てて作るミートテックのブレークスルーとして注目される。「カルパッチョ・プロジェクト」と呼ばれる、Meat-Tech社の長期計画のゴールは、動物を傷つけることなく、おいしい食肉を製造すること。独自の3Dプリンター技術により食肉組織を製造し、細胞を育成する手法を取る。

     研究者グループは数種類の細胞を3Dプリントすることに成功し、Meat-Tech社の研究室で培養された脂肪と筋肉組織に組み合わせた。人工肉が製造されるまでの流れを簡単に紹介する。(1)幹細胞を脂肪細胞と筋肉細胞に選別し、筋繊維と脂肪組織の合成を促す、(2)最終的に組織を形成するために、脂肪と筋肉細胞をプリントするバイオインクを調合、(3)脂肪細胞と筋肉細胞を合体した組織を3Dプリントして完成──。

     幹細胞と3Dプリンターを組み合わせた新たな人工肉製造テクノロジーが、未来の食卓の可能性を広げる。
    Meat-Tech 3D Ltd. Achieves Milestone: First Printing of Uniform Meat Tissue

  • ・新型コロナ治療、T細胞を誘導するアプローチの可能性
  •  新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)は、人によって症状の表れ方が大きく異なるのが特徴だ。軽症で感染から回復する人もいれば、病気が長引き死に至る人もいるのは、一体なぜなのか。それにはT細胞の反応が関わっているのではないかと考え、軽症患者のT細胞を研究し、謎の解読に迫るチームがいる。米カリフォルニア大学サンフランシスコ校泌尿器科学准教授であるロアン博士のチームは、SARS-CoV-2感染により長寿命のT細胞が活性化され、ウイルスに対する長期的な免疫力が得られる可能性について調べた。

     研究によると、SARS-CoV-2に対する抗体は比較的迅速に消失するものの、記憶T細胞を含む記憶応答が生成されると、それが長期的に残る可能性があることが分かった。ロアン博士は「COVID-19に対する持続的かつ効果的な免疫を獲得するためには、ワクチン接種戦略は従来の中和抗体の生成に加えて、SARS-CoV-2に対する長寿で多機能なT細胞を誘導するアプローチを取る必要がある」と述べる。今回は軽症患者のみを研究対象としたが、今後は重症化した患者も含め、より多くの患者を対象とした研究が必要だ。ロアン博士のチームは軽症例と重症例のT細胞の反応の比較を開始しており、次は、他のコロナウイルスへ暴露されることで、新しいウイルスに対する免疫反応が高まることがあるかどうかについて、調査を開始する予定だ。
    Finding Clues to a Successful Immune Response in the T Cells of Recovered COVID-19 Patients

(タイトル部のImage:Photobank -stock.adobe.com)