新型コロナウイルスとの長期戦に備えるべく、世界で「感染防止」「免疫力向上」「ストレス対策」の3つのアプローチが模索されています。まず感染防止策として注目を集めるのは、アイルランドの企業が試験的にローンチしたデジタルツール「ヘルスパスポート」。コロナの最新の迅速検査で結果が陰性だと緑、陽性だと赤で各個人のステータスをスマートフォンやタブレットの画面に表示します。店舗や空港などの外出先でチェックを受け、公共の場や職場への感染者の侵入を防ぎます。ヘルスパスポートの導入は米国や欧州、アフリカの5カ国で予定されています。免疫力向上策としては、ビタミン点滴を気軽に受けられる「点滴バー」や、高付加価値コーヒー「プロバイオティクスコーヒー」が、これから人気が出そうです。ストレス対策としては、「金融×心理学」アプリ、「ポジティブ・セルフトーク」など、毎日10~15分の隙間時間に、どんなに忙しい人でも気軽に始められる、脳と心の健康を維持するツールが注目されています。「ポジティブ」「ハッピー」をキーワードに、困難な時代を生き抜く力をサポートするツールが今後市場を賑わしそうです。


以下では、2020年8月24~28日に海外の企業・大学・研究機関・米食品医薬品局(FDA)等が配信したプレスリリースの中から、編集部がピックアップしたものを【ビジネス】【プロダクト/サービス】【要素技術】に分類しました。各項目をクリックすると、それぞれのプレスリリース(ウェブサイトやPDFなど)に移動します。

【ビジネス】

  • ・ウィズコロナ時代の通行証、世界初のヘルスパスポート
  •  アイルランドのデジタルプラットフォーム企業ROQU社が、世界初の「ヘルスパスポート」をローンチする。新型コロナウイルスの抗体検査の陽性・陰性の結果を個人の「ヘルスパスポート」に記録するスマホやタブレットのアプリケーションだ。空港やお店など外出先でこのパスポートを提示すれば、陰性の人は緑色のステータスで表示され、感染していないことを証明でき、感染拡大を防止しながら安心して経済活動の継続を目指すツールだ。陽性の人は赤く警告が表示され、隔離を促すことができる。

    ROQU社CEOのロバート・クワーク氏とヘルスパスポート(出所:ROQU社プレスリリース)

     このヘルスパスポートはまずアイルランドで試験導入され、医療・農業・教育・物流・エンターテインメント業界で使用を開始する。先進的な検査技術を提供する企業とパートナーシップを組み、15分で陽性・陰性の結果が出る最新の迅速検査と合わせて使用できる。ROQU社CEOのロバート・クワーク氏は「アイルランド発の世界初のイノベーションだ。最高水準のテクノロジーを使い、ビジネス・経済活動と感染防止を推進するゲームチェンジャーとなる。試験を通して、リアルなシナリオの中でどのようにこのパスポートが効果を示すかを確かめたい」と意欲を示す。ヘルスパスポートは、アイルランドに続き、米国、英国、イタリア、ケニヤとドイツでもローンチが予定されている。これからは、飛行機に搭乗する前やレストランに入る前にヘルスパスポートを提示することが常識になるかもしれない。
    Irish-based ROQU Group launches world-first 'Health Passport' digital platform to support increased global COVID-19 testing English

  • ・昼休みに気軽に立ち寄る「点滴バー」、高い効果と即効性
  •  健康志向の人たちが、こぞって点滴に注目し始めている。2016年に米国で設立、2019年後半からフランチャイズビジネスを展開しているDRIPBar社が、体と心の状態を最適に保つIVセラピー(点滴)を開始する。慢性病や老化の防止、日々の健康増進に気軽に点滴を受けられる「DRIPBar」は、現在ロードアイランドに1店舗あるだけだが、これから8つの州に計200カ所をオープン予定だ。

     実に、点滴ビジネスは今後成長が見込まれる分野だ。IVセラピーは、栄養素と水分を直接血流に送り込むため、体内の吸収が早いだけでなく、消化器系を経由せずに直接全身の臓器に届けることで、90~100%の吸収率が得られる。体に活力を与えてリフレッシュさせる目的でIVセラピーを受ける人が増えている。DRIPBarでは、目的別に「Jet Setter」「Time Machine」「Restoration」「Flu Fighter」「High C」などから好きなタイプの点滴を選べる。時間のない人には、わずか5分で体をリセットできるクイックショットがお薦めだ。

     頭痛やかぜ、線維筋痛症など特定の症状の緩和に利用する人もいれば、定期的に健康維持のために高ビタミン点滴を受けに来る人も多いそうだ。開発責任者のベン・クロスビー氏は「我々のサービスは、品質の高さと品数の多さで他者より抜きん出る。ヘルスケアは、病気になるまで待って対処療法を行うアプローチから、症状が出る前に積極的に防ぐ方向へシフトしている。DRIPBarで顧客の健康ニーズに応えたい」と述べた。
    With Health Initiatives More Important Than Ever, THE DRIPBaR Sees Increased Interest In Its Franchise Opportunity

  • ・金融×心理学で幸福をリセットできる注目アプリ
  •  米国の金融テクノロジー企業Happy Money社CSO(チーフ・サイエンス・オフィサー)のエリザべス・ダン氏は、話題の書『Happy Money』の著者でもある。「Happy Moneyって何?」という人のために少々解説。Happy Moneyとは、時間、お金、テクノロジーがどのように人間の幸福を形成するかに焦点を当て、認知行動療法やポジティブ心理学に基づき、お金と正しく向き合いながら幸福度を高めていこうという考え方である。

     新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により収入が減り、ストレスを抱えている人を救済すべく、Happy Money社はストレス解消アプリを開発。1週間ごとに組まれたエクササイズに1日10分間取り組むと、筋肉のリラックス、ネガティブ思考の除去、問題解決、財政プランの策定、瞑想、小さな喜びに対する気づきなど、自分のストレスレベルをコントロールするためのスキルを身に付けることができる。1日10分なら、忙しい私でもできそうだ、と気持ちが少し前向きになる。

     Happy Money社の調査によると、米国ではパンデミックにより21.7%の人の雇用状況が悪化し、失業した人の財政的なストレスレベルは通常より49%高まっている。「こういった逆境に直面した時の心の持ちようをコントロールし、現状を客観的に見つめて改めて今あるものに感謝し、ポジティブな思考を持つことで幸福をリセットできる」とダン氏は説く。Happy Money社は、デジタルツールを活用し、これまで10万人に対して借金から抜け出すサポートをしてきた。AnthemisグループやTencentホールディングスなど、大手投資グループが熱いエールを送る成長企業だ。
    Happy Money Offers 'Peace' - A Free, 6-Week Wellness Course

  • ・旅行中の免疫力を増進するドリンクをマイレージで買おう
  •  英Cambridge Diagnostic Imaging(CaDi)は、腸の免疫を高めるドリンク「Lycobiotic Flight」を、長距離フライト利用者向けに販売開始する。飛行機に乗った時に、どうしても気になるのが、機内の空調による感染リスクだ。一人ひとりが、ウイルスから体を守る策を取る必要がある。Lycobiotic Flightを使った臨床試験では、食物繊維の1000~4000倍のパワーで腸内の善玉菌を目覚めさせ、ビフィズス菌をはじめとするプロバイオティクスを刺激する高い効果が実証されている。

     フライトの2週間前からこのドリンクを毎日摂取すれば、腸の免疫力が高まり、旅行客の健康をサポートするバリアになると期待される。出張やバカンス旅行の前にLycobiotic Flightをしっかりと飲んで、万全の体調で旅を満喫したい。航空会社のマイレージと交換できる商品として、2020年秋に発売開始予定だ。現在、大手航空会社との独占契約交渉が進められている。
    The First Powerful Tonic for Gut Immunity From CaDi Helps to Prepare for Long Flight Travels