新型コロナウイルスの感染拡大防止に向け、感染源・感染経路の遮断に役立つ新製品・サービスが続々登場しています。1つは、水洗のボタンやレバーに一切触れることなく用を足せるハンズフリー・トイレ。電気の代わりに空気圧を使用するため、AC電源への接続を心配する必要もありません。もう1つは、台湾企業が提供する、新型コロナウイルスを3秒で99.8%紫外線(UV)殺菌する軽量モバイル殺菌スティック。家の中でも外出先でも気になった時にサッと取り出して、身の回りや道具などを除菌できる、便利な器具です。3つ目は、オープンエアー・バーチャル・リゾート結婚式。コロナ渦で、結婚式の延期や縮小が続く中、米国のウェディングプランニング会社は、ストレスフリーで、参列できない親族や友人もリアルタイムにお祝いできる、カリブ海の新リゾート結婚式プランを提案します。


以下では、2020年8月31日~9月4日に海外の企業・大学・研究機関・米食品医薬品局(FDA)等が配信したプレスリリースの中から、編集部がピックアップしたものを【プロダクト/サービス】【ビジネス】【要素技術】に分類しました。各項目をクリックすると、それぞれのプレスリリース(ウェブサイトやPDFなど)に移動します。

【プロダクト/サービス】

  • ・清潔を極める、コロナ時代の世界のトイレテック
  •  不衛生な公衆トイレが、健康への脅威となっている。インドネシア政府はいち早くこれに気づき、公衆トイレの品質向上に乗り出しているそうだ。適切な換気システムや頻繁な清掃ももちろん大事だが、シンガポールのGeberit社は世の中の多くのニーズに応えるため、さらにその上をいくハンズフリー・ソリューションを提供する。空気圧式のフット洗浄スイッチと、タッチレス洗浄センサーだ。これらツールは受賞歴もあり、衛生面と美観をスマートにアップグレードしてくれる洗練されたデザインが美しい。

    ハンズフリー・トイレソリューション(出所:Geberit社プレスリリース)

     実は便座や便器は消毒剤で常に掃除されているため、最も汚いポイントではない。要注意なのが、水洗ボタンや洗浄レバーの方だ。ここに細菌やウイルスが付着している可能性が高い。また、トイレの水を流すと1.8m圏内に付着するエアロゾルを噴射するため、洗浄ボタンに蓄積している可能性もある。Geberit社のフット洗浄スイッチは、トイレから3mまで離して設置でき、感染予防に効果的だ。既存のトイレにも取り付け可能な上、Geberit自慢の壁掛け式トイレでも使用できる。電気の代わりに空気圧を使用するため、AC電源への接続を心配する必要もない。衛生的であることが最もスタイリッシュ。コロナ渦でトイレテックが加速する。
    Safer public toilets: A simple upgrade by Geberit makes all the difference

  • ・コロナウイルスを3秒で死滅させる軽量モバイル殺菌スティック
  •  台湾の自動車分野のIoV(Internet of Vehicles)カンパニーであるAtrack Technology社が、軽量モバイル殺菌スティック「UVengers UV1」を発売する。新型コロナウイルスパンデミックの中、またパンデミック収束後も、身の回りに病原体を寄せ付けない軽量モバイル殺菌スティックだ。UVengersシリーズの第1号製品「UV1」は日本のUV-C LEDメーカーである旭化成の高UV出力LEDを搭載しており、9月に先行発売の予定だ。UV-C LEDは60mWのUV出力を備え、病原体に対して最高の除菌効果を発揮する波長265nmのUV光を放射する。台湾の長庚大学が行った研究では、UV1を使用すると新型コロナウイルスの99.8%を3秒で死滅させることが実証されている。

     UV1は市販の殺菌装置の中で新型コロナウイルスを除菌できる数少ない製品の1つ。利用者は、好きな時に好きな頻度で自分の周囲や良く使う身の回りの道具などを消毒し、外部からのウイルスの侵入を防ぎ、病原体を減らすことで、感染リスクを大幅に下げることができる。世界的なパンデミックが続く中、Atrack Technology社は今後も様々な場面で使用できる新たな疾病予防製品を発売し、病原体対策における人々のニーズに応え、より安全で健康的な環境づくりに貢献する。
    ATrack's UVengers UV1 verified by Chang Gung University to kill 99.8% of SARS-CoV-2 in 3 seconds

  • ・脳の吐き気信号を調節するウエアラブルリストバンド
  •  車酔いや船酔い、悪阻の気持ち悪さほどつらいものはない。そんな不快な吐き気や嘔吐を治すウエアラブルリストバンドがある。米国WAT Medical社の「EmeTerm」だ。手首に巻くだけで本当に吐き気は治まるのか。

    「EmeTerm」(出所:WAT Medical社プレスリリース)

     仕組みを簡単に見てみよう。まず、電極パッド内蔵のリストバンドを手首にはめると、手首の正中神経を介して信号が体に送られる。この信号は、体の神経系を通り、不規則に胃を刺激して嘔吐を引き起こす脳の部位へ送られる。ここにゆっくりとした振動を送って胃に行き来する迷走神経信号を調節し、脳から吐き気信号が送信されるのを防ぎ、患者の気持ち悪さを緩和するという仕組みだ。まさに、「精密」「ウエアラブル」「スマート」な医療テクノロジー。EmeTermは既に、米国(FDA)や欧州(CE)、カナダ(HC)、オーストラリア(TGA)、中国(CFDA)の各国規制当局、イスラエル政府に承認され、30カ国以上で販売されている。WAT Medical社は、このEmeTermのAmazonの売上の一部を、米M.D.アンダーソンがんセンターへ寄付し、グローバルながん研究費に当てている。
    WAT Medical Enterprise Contributes to M.D. Anderson Cancer Center

プロサイクリング選手用のフィットネスウエアラブル

【ビジネス】

  • ・オープンエアー・バーチャル・リゾート結婚式
  •  バーチャルなウェディングプランニングツールや、結婚式のライブストリーミングなど、今時の結婚式事情を探る。グローバルなウェディングプランニング企業であるThe Knot社による最近の調査では、婚約しているカップルの80%が最新の米疾病対策センター(CDC)によって発表されるガイドラインの動向を見守りつつ、ウェディングプランの変更を検討しているという。式を延期したり、招待客の数を縮小したりするカップルも多く、パンデミック中の結婚式をいかに「ストレスフリー」で「リアルタイム」なものにできるか、様々なソリューションが模索されている。米国のウェディングプランニング会社Sandals Resort社が提供するサービスを見てみよう。

    オープンエアーの水上チャペル(出所:Sandals Resort社プレスリリース)

     Sandals Resort社がお薦めするのは、カリブ海にある18カ所のリゾート地で挙げる結婚式だ。感染予防を第一に掲げるオープンエアーの水上チャペルでは、1組につき8人まで家族や友人を招待することが可能なプランや、CDCが定める50人以下に人数を制限する、オーシャンフロントのデッキで祝うプラン等が用意されている。2020年9月15日~12月31日までに式を予約したカップルには、今だけ、式のリアルタイムライブ配信サービスが無料で提供されるチャンスだ。家族や友人が、指輪を交換する貴重な瞬間にバーチャルに立ち会えるのはうれしい。

     一生に一度の重要な式の舞台となるリゾート地を事前に下見できる、360度のデジタルオンラインツアーや、会場の装飾デザインやヘアアレンジ、メイクなども、デジタルツールを使って、コーディネーターと綿密に準備を進めることができる。式と新婚旅行をドッキングしたオープンエアー・バーチャル・コロナ婚。時代が求める厳しい要件に沿いながら、工夫を凝らして二人三脚でようやく迎える晴れの日は、きっと忘れられない思い出となるだろう。
    Sandals Resorts Provides "Virtually Perfect" Solutions For Destination Wedding Couples

  • ・プロサイクリング界でも24時間バイオメトリクス計測
  •  米国のヒューマンパフォーマンスカンパニーWHOOP社が、米国ワールドツアーチーム「EFプロサイクリング」とパートナーシップを組み、自社開発のウエアラブルモニタリングデバイス「WHOOP」を公式なフィットネスウエアラブルとして、全てのプロサイクリング選手とチームスタッフに提供することとなった。サイクリングは、データ管理が非常に重要なプロスポーツだ。心拍変動や安静時心拍数、呼吸数、睡眠時の体の状態など、選手のバイオメトリクスを計測することで、パフォーマンスを大きく改善できる。

    「WHOOP」(出所:WHOOP社プレスリリース)

     既に、サイクリング中のデータ取得はプロ界での常識だ。だが、これからは、自転車から降りた後から寝ている間の時間の筋肉の回復、運動後のダメージ、睡眠中も含めた、24時間の体調変化を数値で計測できるようになる。EFプロサイクリング選手の二―ルソン・パウレス氏は「Tour de Franceのようなステージレースでは、体の回復力が全て。WHOOPのデータを活用して睡眠の質を改善することができたおかげで、レースのパフォーマンスが上がった」と語る。ウエアラブルテクノロジーがアスリートたちの可能性を大きく広げる。
    WHOOP Named Official Fitness Wearable of EF Pro Cycling

  • ・ハンズフリーのヘルスアシスタントツール、ネット販売強化
  •  2019年のデジタルイノベーター賞を受賞した「WellBe」は、HIPAA(医療保険の相互運用性と説明責任に関する法律)に準拠した、音声対応のバーチャルヘルスアシスタントプラットフォームだ。このたび、大手オンラインサイトNewegg.comで販売を開始することになった。世界をリードするテックマーケットプレイスであるNeweggの月間訪問者数は4500万人であり、一気に消費者へのリーチを拡大するのが狙い。

    「WellBe」(出所:HandsFree Health社プレスリリース)

     WellBeはMicrosoftのAI(人工知能)テクノロジーを使用し、ハンズフリーのヘルスアシスタントサービスを提供する。薬を飲むタイミングや診察予約時間に通知を送信し、日々の健康管理、近隣の医療施設の検索などを、スマートスピーカーからハンズフリーでできる。4Gの緊急アラートスマートウオッチと同期することも可能だ。WellBeを開発したのは、米HandsFree Health社。同社は、音声技術の世界的リーダーが集う2020年VOICEグローバルサミットでも紹介され、創立者はPM360ELITE winner賞(ELITE:際立つ、リーダー、イノベーター、トランスフォーマー、起業家の略)を受賞、ヘルスケア業界の最も影響力の高い100人にも選ばれている。新型コロナにより家で過ごす時間が増え、在宅テクノロジーソリューションの需要が高まるこのまたとないタイミングに、WellBeがeコマースで勝負に出る。
    HandsFree Health's WellBe Virtual Assistant Available On Newegg.com's Tech-Focused Retail Platform

年末のコロナの第2波に備える「COVID-19リハビリプラン」

【要素技術】

  • ・NMNサプリと老化因子のAI測定、パーソナルエイジングケア
  •  米カリフォルニアのSeragon Pharmaceuticals社は、先進科学を活用するバイオ製薬会社。体の新陳代謝、遺伝子療法、バイオインフォマティクスの分野における治療研究やコンシューマー製品を提供している。今年9月2日~4日まで東京で開催された「ライフスタイルWeek」の総合展示会では、健康的に年齢を重ねるための栄養補助食品「RESTORIN」や、個人のライフスタイルがどのように老化に影響を与えるかを予測する世界初のAIシステム「GenomeScore」を大々的に発表した。未来の個別化医療を推進する扉が開かれる。

     RESTORINは、生物にとって重要な代謝因子であるニコチンアミド・アデニン・ジヌクレオチド(NAD)を増強する作用を持つNMNサプリだ。NMNとは、ビタミンB3に含まれる成分で、あらゆる生物の細胞に存在しており、今非常に多くの研究者たちの注目を集めている。NMNは本来体内で自然に生成される物質だが、加齢に伴い体内での生成能力が減少していくと言われているため、積極的に摂取したいサプリだ。

     GenomeScoreは、エピジェネティック解析、トランスクリプトーム解析、代謝解析を組み合わせ、健康パラメーターをAIで測定する新たなシステムだ。残念ながら、時を止めたり戻したりすることは不可能だが、細胞の代謝を最適化して健康的に年齢を重ねながら「実年齢より若く見える元気な体」を目指していきたい。
    Seragon Announces RESTORIN™, the Most Advanced Anti-Aging Nutraceutical to Date

  • ・1日座りっぱなし×甘いものが好きな人に「ベルガシンFF」
  •  「ベルガシンFF」という植物エキスを聞いたことがあるだろうか。肝臓脂肪と体重の減少を助け、さらに心臓機能をサポートするヘルスフードとして研究が進められている、新たな栄養補助食品だ。イタリアのベルガモットの柑橘類の果実(シトラスベルガミア)と野生のアーティチョークアザミの葉から抽出した、植物のパワーブレンドだ。溶剤や添加物を一切使用しておらず、他の栄養補助食品と比べ、少量で効果が高いことで知られている。

     世界中に20億人以上が罹患しているといわれる非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)は、初期症状がなく、多くの慢性疾患を併発するため、治療の難しい病気だ。脂肪肝は脂肪や糖分、カロリーの過剰な消費、座りっぱなしのライフスタイルによって引き起こされるため、ステイホーム中には特に気を付けなければならない。

     脂肪肝の発症と進行を抑制するには、減量やライフスタイルの変更が最善の方法だが、これがまた非常に難しい。イタリアのマグナグラエキア大学は、ベルガシンを使った臨床試験を行ったところ、50歳以上の被検者の脂肪肝が15%減少するという結果が出た。また、12週間で10lbs(4.5kg)体重が減った人もいる。ベルガシンの成分が肝臓の脂肪蓄積とそれに伴う炎症を抑制する働きをするためだ。ベルガシンFFを開発した米DolCas Biotech社は、10年前に世界の栄養補助食品界にクルクミン製品を導入してから、クルクミンブランドを定着させてきた。在宅勤務で運動不足になりがちな昨今、生活習慣病予防サプリのニーズはまだまだ高まりそうだ。
    Bergacyn FF Can Help Reduce Liver Fat, Weight in Non-Diabetics

  • ・不安症パンデミックに対処する、賢い3つの戦略
  •  コロナ時代、ウイルスに負けないくらいの勢いで、不安症が大流行している。メンタルヘルスを賢く自己管理するために、じっくりと戦略を練る時だ。その道30年、不安症の第一人者であるセラピストのジェニファー・シャノン氏の著書『不安というウイルス~コロナ危機に対抗する免疫力を身につけるための3つの戦略』に、答えがありそうだ。臨床データに基づいたガイダンスには、リラックス、明確な思考、賢いアクションへのヒントが示されている。

    ジェニファー・シャノン著『不安というウイルス~コロナ危機に対抗する免疫力を身につけるための3つの戦略』(出所:Jennifer Shannon)

     シャノン氏は認知療法アカデミーのメンバーであり、メンタルヘルスに関する5冊の本の著者でもある。自身も不安を感じやすいというシャノン氏は、パンデミックと経済不安による不確実性の高まりに悩む私たちに、深い理解と共感を与えてくれる。本で解説する3つの戦略は、不安な時代が引き起こす不安な思考、身体的ストレス、体の反応にそれぞれ賢く対処する方法を示してくれる。健康、仕事、社会的なつながり、そして大事な友人・家族。改めて、心の平和にとって何が大事か、自己の内面との向き合い方を学び直すきっかけとなる書だ。
    In the Age of COVID, Anxiety has "Gone Viral" Too. What's Your Strategy for Mental Health?

  • ・年末のコロナの第2波に備える「COVID-19リハビリプラン」
  •  米国のテレヘルス・リモート患者モニタリングソリューションを提供するHealth Recovery Solutions社が、「COVID-19リハビリプラン」を発表した。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に罹患後、自宅療養をする患者向けの治療プランだ。想定する患者のパターンは2つで、感染後入院治療を経て無事に退院した後療養を続ける回復期の患者と、最初から自宅療養をしている軽症患者だ。

     専門家によると、新型コロナの第2波は今年末にも来ると予測されている。また感染後に回復しても、メンタル面のダメージや心臓・肺の損傷、衰弱、痛みなど、様々な症状が継続している人も多い。特に重症化して人工呼吸器で治療を受けた人は回復に時間がかかるため、特別なケアが必要だ。COVID-19リハビリプランは、医師や医療スタッフに、症状を特定し、精神的なケアを通して患者の体の機能を改善するためのサポートをする。臨床データや、効果的な治療法を医師に提供し、さらに患者に正しい状態の推移を伝えて教育することで、治療に積極的に取り組んでもらうことが狙いだ。次なる感染の波に備え、自宅で正しい治療とモニタリングを受けて、しっかりと療養できる体制を整える必要がある。
    Health Recovery Solutions Launches COVID-19 Telehealth Recovery Care Plan to Support Patients Recovering at Home

(タイトル部のImage:Photobank -stock.adobe.com)