ソーシャルディスタンスの確保や3密の回避が定着し、ウィズコロナ時代に対応するスポーツジム・フィットネスの在り方が模索される中、会員制フィットネスクラブを運営する米国企業が、自宅で行えるVR(仮想現実)エクササイズを開発しました。ヘッドセットをスマートフォンとペアリングすると、音楽やゲームの要素を取り入れながら、世界の絶景の中で思い切りエクササイズを楽しめます。コロナの影響で多くの人々がステイホームを強いられる中、室内に広がる無限の空間と心地よい音楽が心の内面に刺激を与え、体を動かすことでしか得られない喜びを引き出します。


以下では、2020年9月14〜25日に海外の企業・大学・研究機関・米食品医薬品局(FDA)等が配信したプレスリリースの中から、編集部がピックアップしたものを【プロダクト/サービス】【ビジネス】【要素技術】に分類しました。各項目をクリックすると、それぞれのプレスリリース(ウェブサイトやPDFなど)に移動します。

【プロダクト/サービス】

  • ・自宅にいながら世界の絶景の中で運動を楽しめるVRフィットネス
  •  会員制フィットネスクラブを運営する米Supernatural社が、VR(仮想現実)技術の導入でヘルスケア・ウェルネス市場に「喜び」と「楽しみ」という2つの要素を取り込む。Supernatural社の強みは、1対1で専門家から受けられるコーチング、日々の運動の記録と管理、そしてはやりの音楽に乗せながら家から一歩も出ずに世界の様々な美しい景色の中で思い切り運動する体験の提供だ。「OculusQuest」と呼ばれるVRヘッドセットを自分のスマホとペアリングすることで得られる、VRならではのぜいたくな体験である。

    VRフィットネス(出所:Supernatural社プレスリリース)

     同社CEOのクリス・ミルク氏は、VRフィットネスを「人が内面に秘める強さに刺激を与え、体を動かすことでしか得られない喜びを引き出すためのツール」と説明するが、「これはまだVRの序章にすぎない」として、その無限の可能性を語る。育児で疲れている女性や、新型コロナウイルス感染後の心臓後遺症でリハビリテーションを受ける男性など、けがやメンタル面で落ち込んでいる多くの人が、Supernatural社のVRフィットネスによって元気な心と体を取り戻したというエピソードが相次いでいる。

     社会状況を変えることはできなくても、運動習慣と体づくりは、自分でいくらでもコントロールすることが可能だ。うつ状態の人が毎日2時間の運動をVRで何カ月も継続できた、という体験談を聞くと、相当楽しいことがうかがえる。10分以内に完結するワークアウトプログラムも用意しているので、時間がない人でもチャレンジできそうだ。Supernaturalの会員費は、年会費179ドル(約1万8900円)か月会費19ドル(約2000円)かどちらかを選べる。VRフィットネスで体と心を健康に保ち、ウィズコロナ時代を最高のコンディションで駆け抜けたい。
    How Virtual Reality Is Reshaping The Future Of Home Fitness

  • ・母乳に含まれるヒトミルクオリゴ糖を活用した製品開発促進
  •  デンマークの先進的バイオサイエンス企業Chr.Hansen Holding社がドイツJennewein Biotechnologie社を買収し、ヒトミルクオリゴ糖(HMO)の世界市場開拓に挑む。HMOの需要は年々伸びており、Chr.Hansen Holding社は、2025年までに2億ユーロ(約245億円)以上投資する計画を立てている。HMOとは、ヒトの母乳に含まれる複合糖質構造体であり、主に機能性食品素材として乳児や患者の栄養に取り入れられている。さらに、HMOによるプレバイオティクス効果(腸内善玉菌活用)や感染リスクの軽減、認知機能の発達支援などの効能についても、食品市場で関心が高まっている。

     Jennewein Biotechnologie社は発酵によるHMOの商業生産にいち早く成功、過去15年間に200件以上の特許を取得し、グローバルな顧客基盤を築いてきた。急成長を遂げているHMO市場は、Chr.Hansen Holding社が数年前から追いかけていた分野であり、CEOのモーリシオ・グラバ氏は「今回の買収を通して自然界の最も複雑な栄養成分であるHMOを活用して、自然の力でより良い世界を育てたい」とビジョンの実現に一歩近づく。
    Jennewein Biotechnologie GmbH and Chr. Hansen A/S to join forces in high-growth Human Milk Oligosaccharides market

  • ・SaaSモデルのAI自動心臓診断ソリューションでコスト削減
  •  2017年に英オックスフォード大学からスピンアウトした起業家により設立されたUltromics社。同社が開発したAIスイート「EchoGo」が、心臓治療の診断品質を向上させたとして、2020年グローバル新製品イノベーション賞を受賞した。EchoGoは米食品医薬品局(FDA)の承認と欧州CEマークの認証を取得しており、心臓機能測定を自動化するだけでなく、冠動脈疾患(CAD)の発生を医師が事前に予測することを助ける。また、クラウドベースのSaaS(Software-as-a-Service)形式であるため、最小限のトレーニングだけで迅速に導入でき、アップグレードが簡単な点も画期的だ。

     EchoGoはベンダーニュートラルなソリューションであるため、心エコー装置の種類、地域を問わず、あらゆるプロバイダーをターゲットにできる。現在EchoGoソリューションは欧米市場で提供されているが、今後アジア太平洋市場への進出を狙っている。競合他社も同価格帯の製品を提供しているが、ソフトウェアの追加アップグレード、それに伴うインストールコストや作業が必要なため、長期的にはEchoGoよりコストが高くなる。Ultromics社は従量課金モデルを採用し、さらに利用者の使用料に合わせて、リーズナブルな固定金額モデルを選べる。便利なツールで心臓診断プロセスを自動化しながら医師のコストを削減し、市場シェア拡大を目指す。
    Ultromics Lauded by Frost & Sullivan for Pioneering AI-based Cardiovascular Suite, EchoGo