40~50代の女性で罹患率が上昇する乳がん。一方で、早期発見が非常に重要で、腫瘍を小さいうちに見つけることができれば、命を脅かす可能性はとても低くなります。

 早期発見の手段の一つは「触診」です。米MammaCare財団は、看護師と医師向けに、「熟練したプロの手」を育てる訓練用のポータブルデバイスを開発しました。


以下では、2020年10月12~16日に海外の企業・大学・研究機関・米食品医薬品局(FDA)等が配信したプレスリリースの中から、編集部がピックアップしたものを【ビジネス】【プロダクト/サービス】【要素技術】に分類しました。各項目をクリックすると、それぞれのプレスリリース(ウェブサイトやPDFなど)にリンクいたします。

【プロダクト/サービス】

  • ・「熟練した手」を育てる、乳がんの早期発見プログラム
  •  米MammaCare財団が、人間の手に学習させるプログラムを通し、年間60万人以上が亡くなる乳がんの致死率を下げようという取り組みを行っている。乳がん検診が各国で一般的に行われるようになってきたが、看護師や医師の正しい訓練がされなければ効果が薄れてしまう。正しい触診の訓練を受ければ、乳腺腫瘍のごく初期の段階のものも発見できるようになることは、科学的にも臨床的にも世界各国で実証されている。

    (出所:MammaCare財団プレスリリース)

     そこでMammaCareは点字を考案した発明家ルイ・ブライユ氏の原理を取り入れ、複雑な乳房組織の数cm以下の腫瘍を検出するスキルを各国の看護師や開業医に広めるためのプログラムを開始した。

     この乳房検査訓練プログラムは、Google Chromeのブラウザに接続できる環境であればどこでも受けられ、検査結果をデータストリームで、インストラクターがリモートで評価できる仕組みだ。ポータブルなデバイスを使用し、疑わしいえんどう豆くらいのサイズ(0.5cm未満)の腫瘍を全て確実に検出できるようになるまで、臨床医や学生のパフォーマンスの指導は続く。

     腫瘍と正常なしこりの違いを学ぶことで、誤診を減らすこともできる。「熟練した手」を育てる本プログラムは現在米国の看護大学や医学大学、国立乳がん・子宮頸がん早期発見プログラムに取り入れられている。
    Trained Hands Can Reduce Advanced Breast Cancer Worldwide

  • ・ARの「X線ビジョン」で外科医に透視能力を
  •  世界脊椎デー(10月16日)を目前に、脊椎外科医のクリストファー・グッド博士が、レストン総合病院で行われた複雑な腰椎固定術に初めてAR(拡張現実)による「X線ビジョン」を導入した。43歳の男性患者の手術にグッド博士が使用したのは米Augmedics社製のAR「Xvision」システム。

    (出所:Augmedics社プレスリリース)

     手術中にARによる患者の脊椎の3D解剖映像をリアルタイムで確認しながら精度の高い施術をより早く、より安全に行うことに成功し、手術室におけるARの初の応用事例として、医療業界に革新をもたらすと期待される。

     Vxisionのナビゲーションシステムを使い、外科医は頭に装着するヘッドセットに患者のCT画像を投影し、患者の脊椎の骨の内部の高解像度3D画像をその場で確認しながら施術を行う。ヘッドセットが手術器具の位置を正確に判断しながら患者のバイタルデータに重ね合わせて表示するため、医師は患者から目を離す必要なく作業を進めることができる。

     グッド博士は「今までは、手術室の壁のスクリーンに映し出されたスキャンを見て、患者から目をそらす必要があったが、これを使用すればその必要がなく、完全に患者に集中することができる。まるで透視能力のようだ」と絶賛する。ARの活用で切開が少ない低侵襲性の手術が短時間で正確に行われるようになれば、患者の痛みを抑え治癒を早めることができるだろう。
    Virginia Spine Surgeon Performs 1st Augmented Reality Spinal Surgery In Virginia And DC Region

  • ・携帯型心臓モニタリングデバイスの革新的な試験結果
  •  スウェーデンの遠隔心臓・呼吸器モニタリングのイノベーターであるCoala Life社が、潜在性脳卒中(原因不明の脳卒中)患者に対し「Coala心臓モニター」を使用した臨床試験を実施した。研究結果はBritish Medical Journal誌8月号に発表され、100人を対象に28日間、モニターで1日2回、また症状が出た時にモニタリングが行われた。

    (出所:Coala Life社プレスリリース)

     患者の90%がモニタリングを確実に行うことができ、また脳卒中後平均19.7日後に9%の患者から診断では特定されなかった心房細動が検出された。

     試験はUppsala大学のピーター・マグヌソン博士が主導し、「Coala心臓モニターは、患者が使いやすいという点で優れている。この携帯型の非侵襲的な装置の長期使用を推奨する」と述べる。過去に、2014年にCRYSTAL-AFが行った試験では、侵襲性のある挿入型の心臓モニターが使われ、8.9%の潜在性脳卒中患者の心房細動を検出するのに6か月かかった。今回Coala心臓モニターにより大幅に心房細動の検出時間が短縮されることがわかった。
    Late-breaking trial published in BMJ proves the efficacy of Coala Heart Monitor as part of cryptogenic stroke management

  • ・病院スタッフをスーパーヒューマンに変身させるAIツール
  •  病院スタッフに必要な情報を必要な時に、即座に提供するAIが誕生した。スタッフの仕事の品質、スピード、成果を大きく改善させて「スーパーヒューマン」に変身させることができる、リアルタイムの人工知能だ。

     この半年の間に新型コロナの影響で医療システムがひっ迫し、コストを抑えつつ高度な患者ケアを実現するためのAIの必要性が確実に高まった。米国では600以上の病院や医療機関がスタッフの支援・オペレーションを補助するためにAIを導入している。

     米Olive社のAIツール「Olive Helps」は置かれた環境の中で継続的に学習し、医療スタッフの様々な作業時間を削減し、例えば事前承認や患者の確認作業、請求書、調達など多岐に渡る情報を迅速に提供し、スタッフをサポートする。

    (出所:Olive社プレスリリース)

     秘密はOlive Helpsの「サイバーネティック・ループ」と呼ばれる、人間の行動パターンを理解して最適化する能力にある。また、プロセスを自動化するソリューション「Olive Works」は、収益サイクル、サプライチェーン、IT、人事、財務、薬局業務、臨床業務などの大量のプロセスを管理する、病院にとって重要なインフラの一部としての機能を受けもつ。人間が必要とする情報を察知してすぐに届けるAIが、医療システムをパワフルに前進させる。
    New AI Platform to Work Hand-in-Hand with Healthcare Workers