2020年12月10~16日に海外の企業・大学・研究機関・米食品医薬品局(FDA)などが配信したプレスリリースの中から、注目のニュースをピックアップしました。

■「感情を読む」ミニカーで小児患者をサポート、韓国Hyundai Motor社と米MITメディアラボ

  •  韓国Hyundai Motor社が米MITメディアラボ(マサチューセッツ工科大学)と「感情を読む」コンセプトカー「45」を共同開発、YouTubeのショートムービーで公開している。6分間の動画には、スペインのSJDバルセロナ子ども病院に入院中の小さな患者をサポートする「Little Big e-Motion」と呼ばれる医療プロジェクトが紹介されている。人工知能をベースにしたEAVC技術(Emotion Adaptive Vehicle Control)で運転手の感情を汲み取り、車両環境を最適化するというものだ。

    (出所:Hyundai Motor社プレスリリース)

     EAVC技術は、ヒトの顔の表情、心拍数、呼吸数をモニタリングし、車の速度、加速度、騒音、振動などを調整する。機械学習AIでデータを処理し、照明、空調、音楽、フレグランスなどをその時のユーザーの気分に合わせて最適化する技術だ。Hyundai Motor社はこの技術を搭載したミニEVをSJD病院に寄贈し、子供たちにとって大きなストレスとなる病院のベッドから治療室までの移動を、軽やかにアシストする。

    (出所:Hyundai Motor社プレスリリース)

     EAVCを搭載したミニEVは、5つのキーテクノロジーを駆使して小さな運転手たちとコミュニケーションをする。顔の感情認識システム、呼吸を認識するシートベルト、心拍数モニタリングセンサー、感情に適応する照明と芳香剤の機能だ。ソーシャルディスタンスを保ちながら小さな患者の感情をサポートすることで、パンデミック中の医療スタッフの支援にもなる。
    Hyundai Motor’s Mini ‘45’ EV Puts Emotions in Motion

■血液を直接酸素化する小型呼吸支援システム、米Inspira Technologies社

  •  米Inspira Technologies社が、血液を直接酸素化する呼吸支援システム「AXT」を発表した。人工呼吸器を使わず、このデバイスだけで血液に直接酸素を供給して二酸化炭素を除去し、患者の酸素濃度を即座に安定させるという。人工呼吸器の1/5ほどの大きさであり、移動性、使いやすさ、柔軟性の点でも優れている。集中治療室(ICU)に入らずに、患者は目を覚ました状態で無理なく呼吸を行いながら、治療を受けることができるとしている。

    (出所:Inspira Technologies社プレスリリース)

     各国で新型コロナが広がり続ける中、集中治療室と医療スタッフがひっ迫し、人工呼吸器の高いリスクやコストが課題となっている。Inspira社は、重篤な症状に陥る前の予防的治療法として、この新たなAXTシステムを発表した。システムには、患者情報やバイタルサインに基づいて自動的に供給する酸素量を調整する機能が内蔵されており、専門の技術者や医療スタッフによる操作が不要だ。タッチスクリーンは患者のバイタルサイン、システムコントロール、患者の周囲の様々なデータの3つの操作ゾーンに分かれ、使いやすい操作ダイヤルが画面の下方に設置されている。

     Newsweek誌が世界トップ10として名前を挙げるイスラエルSheba医療センターの心臓外科医であり、イスラエルECMO Societyの会長であるイーガル・カシフ医学博士は「スマートで低価格なAXTシステムにより、治療が提供しやすくなる。早期治療を行うことで侵襲を極力抑え、安全に治療効果を発揮できる。AXTの新技術を導入してより良いケアを提供したい」と期待を語る。
    Inspira Technologies Reveals the AXT - An Intelligent System that Directly Oxygenates Blood for Respiratory Care

■米NuEyes社「Pro3」ARスマートグラス発売、医療活用から政府・企業へ

  •  米NuEyes Technologies社が次世代のAR(拡張現実)スマートグラスソリューションの最新版「Pro3」を発表した。NuEyes社のスマートグラスは黄斑変性症や緑内障、網膜色素変性症などの医療分野で過去4年の間に大幅な売り上げ成長を遂げている。このほど新たに発表された二眼式軽量スマートグラス「Pro3」は、医療業界にとどまらず、政府や企業における教育、遠隔支援、知識移転、3Dデータ可視化、MRO(保守・修理・分析検査)メンテナンスなど、作業員の業務サポートにも使用できるよう進化して発売される。

    (出所:NuEyes Technologies社プレスリリース)

     NuEyes社CEO兼創業者のマーク・グレゲット氏は「4年前から医療や政府機関、企業などの顧客よりスマートグラスのニーズについてヒアリングを重ね、このたび米PFC社との数年間の独占製造契約を締結したことで、Pro3製品の製造を開始することができた」と説明する。

     Pro3は88gと超軽量、4Kディスプレーによる51度の超広角な視野を実現。製品ラインには3つのバージョンがある。第1はデュアル6DoFカメラに前方20メガピクセルのRGBカメラを搭載し、独自のコントローラーにテザリングする。SDK(ソフトウェア開発キット)にはSLAM(自己位置推定+環境地図作成)、物体認識、音声認識、ジェスチャー認識、平面検出が含まれる。

     第2のPro3-CはUSBタイプCプラグを備えた5メガピクセルのRGBカメラを搭載しており、ディスプレーポートを介して映像を生成するスマートデバイスに簡単に接続できる。ほとんどのAndroid端末やiPad、Macbook、MicrosoftのSurface Book2に接続し、2Dと3Dの映像を表示する。第3のバージョンは、企業のニーズに対応するサーマルイメージング(熱画像)に特化している。3つとも2020年12月18日より販売を開始し、2021年1月下旬より出荷開始予定だ。
    NuEyes Technologies Announces New Pro 3 Augmented Reality Smart Glass Solution

(タイトル部のImage:Photobank -stock.adobe.com)