2021年1月14日~2021年1月20日に海外の企業・大学・研究機関・米食品医薬品局(FDA)などが配信したプレスリリースの中から、注目のニュースをピックアップしました。

■「CES2021」でハンドヘルド型鍼治療デバイスが話題

  •  中国伝統医学(TCM、東洋医学)が世界で注目を集めている。2019年、世界保健機関(WHO)により国際疾病分類(ICD)に組み入れられたTCMの市場規模は、2023年に1230億ドル(約12.7兆円)に達する見込み。欧米諸国での研究も進んでおり、中でも鍼灸治療は医師や患者からの信頼も厚く、広く取り入れられている。

    HAAS(出所:台湾ACSI社プレスリリース)

     こうした中、今年1月11月から開かれている「CES2021」で話題を集めたのが、デジタル鍼治療デバイスだ。開発したのは、AI画像処理プロバイダーである台湾ACSI社。デジタル技術を用いてツボの位置を識別し、鍼治療を行う鍼灸治療デバイス「HAAS」を発表した。

     HAASは手に持って使うハンドヘルス型の鍼灸治療器で、ビッグデータに基づくデジタルデシジョニング(決定)により、患者の症状の改善に役立つツボの位置を自動的に特定する。これにより、より安全に、より効果的に鍼治療を行うことが可能になる。自動で鍼を刺してツボを刺激することができる他、マッサージや遠赤外線照射などの機能もある。

     使い方は簡便。モバイルアプリに症状やツボを入力すると、AIシステムがユーザーの症状や要望を確認して自動的にツボを特定する。後はスマホに表示される指示に従うだけでHAASが最適なツボ刺激で身体を治療してくれる。「HAASの治療後、自己免疫機能の向上や症状の改善、回復を実感できた」という声が報告されている。
    CES 2021 Taiwanese Startup ACSI Gives New Technological Shine to Traditional Chinese Medical Treatments

■急性腎不全を早期発見・予防するモニタリングデバイス、製造開始間近

  • Sentinel(出所:Serenno Medical社プレスリリース)

     急性腎不全の早期発見で期待を集めるデジタル装置が、市場投入を控えている。開発したのはイスラエルのSerenno Medical社。2017年に設立された同社は、イスラエル医療機器大手メーカーElcam Medical社から150万ドルの出資を受け、病院のベッドサイドで尿量をモニタリングして急性腎不全(AKI)の早期発見につなげるデジタル装置「Sentinel」の製造を開始する。Serenno社の独自技術に、Elcam社の世界クラスの生産能力と経験が合わさって、高品質・低価格を実現。2021年末に向けて米国の複数病院へ展開し、患者の腎不全リスクの低減を目指す。

     急性腎不全は入院患者に多く見られる症状で、死亡リスクも高い。尿量を正確に測定し、腎機能を継続的に観察することで早期発見が可能だ。従来この作業は、集中治療室(ICU)のスタッフが手動によるモニタリングを行っており、症状の急変化の発見が難しいのが課題だった。それゆえ発見が遅く、手遅れになるケースもあった。

     Sentinelは尿量をリアルタイムで正確かつ連続的に測定するデジタル装置で、腎臓機能の小さな変化を自動的に検知し、その後、医療スタッフが遠隔で確認することが可能だ。新型コロナ感染症患者の増加に伴い、ICUにおける腎不全の死亡者数は増加傾向にある。患者の腎不全を予防しつつ、医療スタッフへのウイルス感染を防ぐことが求められている。
    Elcam Medical Joins Serenno Medical as Strategic Investor and Manufacturer of its Automatic Monitoring of Kidney Function Device

■ATSの迅速化で、台湾バイオテック企業に期待

  •  デジタル見本市「CES2021」で、抗生物質の精密治療をサポートする体外診断(IVD)システム「fAST」が発表され、注目を集めている。開発したのは、台湾バイオテック企業MedFluid社。細菌のタイプなどを短期間で特定し、細菌が増えるのを抑える抗生物質の組み合わせ検査を行うシステム。その名の通り、従来の抗生物質感受性検査より迅速な検査が可能だ。

     世界保健機関(WHO)は、微生物に対して薬が効かなくなる薬剤耐性(AMR)を「2019年の世界の健康に対する10の脅威の1つ」と位置付けている。その症例は北米だけでも200万人におよび、緊急対応が求められている。

    MedFluidのスタッフ(出所:MedFluid社プレスリリース)

     これまで、未知の細菌の働きを抑えるために、通常2~3種類の抗生物質を同時に投与する方法が採られてきたが、そのうち半分程度が不適切であると言われている。これは現在、抗生物質の併用が有効かどうかを確認・予測する医療機器が存在しないためで、抗菌薬感受性試験(AST)の手続きに時間がかかりすぎる点も課題として挙げられる。

     fASTの優れたポイントは、感度、速さ、柔軟性の3点だ。これまで必要とされたサンプル数の僅か1%で抗菌薬感受性試験を完了させることができる上、24時間かかっていた検査時間を5時間に縮めることにも成功した。医師は一度に最大3種類の抗生物質を組み合わせて検査を行うことができる。
    CES 2021 MedFluid Develops First-In-Class Microfluidic Platform for Rapid Detection and Screening of Disease Diagnosis

(タイトル部のImage:Photobank -stock.adobe.com)