2021年4月10~16日に海外の企業・大学・研究機関・米食品医薬品局(FDA)などが配信したプレスリリースの中から、注目のニュースをピックアップしました。

■床ずれ予防ウエアラブル、患者の床ずれが73%減少

  • (LEAF。出所:Smith+Nephewプレスリリース)
    (LEAF。出所:Smith+Nephewプレスリリース)
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     世界的な医療機器メーカーである英Smith+Nephew社が開発した「LEAFワイヤレス患者モニタリングシステム」は、患者の動きを監視し、床ずれを予防するウエアラブルデバイスだ。2014年に米国で導入されて以来、LEAFがモニタリングした患者は6万人以上、時間は700万時間以上に上る。患者のケアの改善と治療コストの削減に貢献してきた。

     床ずれは、ベッドの上において、体の向きの変更が十分でないことにより起こる皮膚障害だ。特に骨の隆起部分に長時間圧力がかかると、組織を圧迫し、血流を妨げるため、局所的な組織損傷が起こりやすい。LEAFシステムは、患者が姿勢を変える頻度や角度、組織の回復時間を測定し、床ずれを防ぐ。導入施設では、患者が体位を変える遵守率は98%に向上したという結果も出ており、効果の高さが実証されている。

     米国では近年、院内疾患の発生率が減少する一方、床ずれの発生率が増え、関連コストが平均2万ドル以上(約220万円)増分したと言われている。臨床試験によれば、LEAFシステムを使用した場合の床ずれの減少率は73%。同システムを全国拡大できれば、最大で390億ドル(約4.2兆円)のコスト削減につながる可能性があるとされる。さらに別の研究でも、同システムの導入は、看護師の負担を減らしワークフローを改善、病院の圧迫傷害の治療費やベッドのレンタル費用の節約につながることが示唆されている。

     Smith+Nephew社の社長サイモン・フレイサー氏は「LEAFシステムは患者の床ずれを予防し、医療システムに高い経済効果をもたらす技術である」と紹介する。同社は、この他にも多様な圧迫傷害向け予防製品を用意している。無傷の皮膚を保護する「ALLEVYN LIFE Dressings」、皮膚の衛生状態を維持する「SECURAシリーズ」のスキンケア製品などがある。

     LEAFモニタリングシステムの詳細については、sn-leaf.comを参照。
    Seven million hours of patient data shows that Smith+Nephew's wireless, wearable LEAF™ Patient Monitoring System helps prevent hospital-acquired pressure injuries

■カルテ自動作成サービス、韓国DOUB社

  • (出所:Doubプレスリリース)
    (出所:Doubプレスリリース)
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     韓国ソウルを拠点とするヘルステックのスタートアップDOUB社が開発した「SpeechEMR」は、音声をリアルタイムで文字データに変換し、簡単に記録することができる自動音声認識サービス。医療現場のカルテ作成に適しており、医師と患者の会話などの音声データを適宜文字に変換、誤字・脱字を表示しつつ、50万語の日常用語と10万語の医療用語の辞書を参照しながら、診療記録を迅速に編集・保存する。数字や日付、単位、大きさ、場所などは強調し、情報の誤りを防ぐ。

     DOUB社の製品は、現在様々な金融分野でも活用されている。韓国のNo.1保険会社であるMirae Asset保険やSamsung火災海上保険も、同社のテキスト分析サービスを利用している。

     DOUB社は2015年に設立された、データ分析のスタートアップ企業だ。2018年4月にテキスト分析サービスを開始し、2019年に韓国のスタートアップ企業コンテスト「POSCO Idea MarketPlace」で上位10社のファイナリストに選出され、2020年にHi-Tech Award機能でAI賞を受賞している。

     創業者のソン・ヒョンコン氏は、「DOUB社は2019年以降、法人を対象として毎年30%以上のペースで成長してきた。今後は事業をさらに拡大する予定でB to C市場にも参入、AIサービスの普及をリードしていくつもりだ」と述べている。

     DOUB社は現在、これまで蓄積してきた自然言語処理のAI技術を統合し、リアルタイム会話解析サービスのプラットフォームを開発中だ。小規模事業者(個人事業主、小規模商店主、学校、小規模病院など)もクラウドを利用し、低コストで会話解析サービスを利用できるようになる。プラットフォームの利用者は、会議記録、バーチャル秘書、通話要約、カウンセリングロボット、カウンセリングノート、マーケティング分析など、様々なサービスを利用できる。
    DOUB's SpeechEMR Uses AI to Make Medical Transcription Accurate and Automated

■虫歯検知液「LumiCare」、FDA承認

  • (出所:GreenMark Biomedicalプレスリリース)
    (出所:GreenMark Biomedicalプレスリリース)
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     米GreenMark Biomedical社が開発した虫歯検知液「LumiCare」が、米国食品医薬品局(FDA)の承認を取得、2021年秋に発売を開始する。

     虫歯は、世界で最も罹患率の高い慢性疾患。米国人の95%以上が一生に一度は罹患すると言われる。LumiCareはエナメル質の表面下の孔に青色の光を照てると、虫歯の病変を可視化し、虫歯を発見しやすくする検知液だ。虫歯の前段階で特定することができるため、歯を削らずに治療が可能。患者の負担が減り、口腔の健康状態を長期にわたり改善できる。デンプンでつくられた生体吸収性のナノ粒子を使用しているため、検査が終わり、患者が歯科医を後にする頃には、唾液中の酵素で分解される点も安心だ。

     GreenMark社とミシガン大学は2015年より共同研究を実施し、虫歯を早期に検出し侵襲的な治療を避ける方法を探してきた。

     米Celerant Cunsulting GroupのCEOであり、歯科技術のオピニオンリーダーとして名高いルー・シューマン博士は「LumiCareのナノテクノロジーは画期的。非侵襲的に虫歯を早期治療できるというとSFのように感じるかも知れないが、歯科医院で導入される日が確実に近づいている」と期待を滲ませる。LumiCareはCellerent社のBest of Class Technology賞の最新テクノロジー部門を受賞している。

     GreenMark社は、今秋の発売に向け、製造規模を拡大、販売チャネルの強化を進めている。とともに、業界を代表する医院や研究者と協力し、同社のナノテクノロジープラットフォームを予防歯科に適用する研究を継続していく予定だ。既にGreenMark社は、虫歯によって減少した必須ミネラルをデンプン粒子に直接取り込む技術を実証済。歯のエナメル質の表面を密封する既存の多くのフッ素製品とは異なり、同社の製品は歯の構造を再生することで、エナメル質の下層部に照準を当てて回復させることができる。
    GreenMark Secures FDA Clearance for LumiCare™ Caries Detection Rinse

(タイトル部のImage:Photobank -stock.adobe.com)