2021年5月8~14日に海外の企業・大学・研究機関・米食品医薬品局(FDA)などが配信したプレスリリースの中から、注目のニュースをピックアップしました。

■非接触型のバイタルサイン測定システムがFDA承認、イスラエルDonisi社

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    (出所:Donisiプレスリリース)
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     イスラエルDonisi社が開発した「非接触型」のバイタルサイン測定システムが、米食品医薬品局(FDA)のDe Novo(市販前申請)に承認され、医療市場に登場する。「何百万もの人命を助ける」と期待される同社のシステムは、Journal of Medical Engineering & Technology誌に掲載され、MEDinISRAEL OpenMED Innovation Competitionで1位を獲得したことでも話題を呼んでいる。

     本システムは26件の特許を取得済。独自の光学、アルゴリズム、人工知能を組み合わせ、心臓や肺などの内臓の働きによって生じる表面レベルの微振動を遠隔で検出・分析する新たなアプローチだ。様々な医学的・身体的条件(体格や肌の色など)を持つ人に対応し、衣服を脱ぐ必要も、ワイヤーパッチに接続する必要もなく、医療レベルの高い精度を維持できることがすでに実証されている。

     Donisi社はテルアビブソラスキー医療センターの心血管研究センターと共同で、肺うっ血など、追加の心肺パラメータを測定・検出する画期的なソリューションを構築し、システム開発を続けている。心房細動(AFib)を識別する項目に関してもFDAのPre-Sub(事前申請)の承認がおり、次の追加申請を計画しているという。

     Donisi社のチーフメディカルオフィサーであるサギ・ポラニ博士は「ライフスタイルを変えずに人生を変える、という当社のミッションを達成する大きなステップとなる。今後、当社の医療機器が、病院から家庭へと治療をつなげるための橋渡し役として、多くの人の命と健康に寄与したい」と語る。
    FDA Grants Donisi De Novo Clearance for Innovative Contact-Free Multiparameter Health Sensing Solution

■米国とカナダの合弁会社が次世代型パッチデバイスの発売開始へ

  • (出所:Virtual_Care_Patchプレスリリース)
    (出所:Virtual_Care_Patchプレスリリース)
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     カナダXCO Tech社と米Atlazo社が合弁会社Recon Health社を設立した。組み込み型AIエッジコンピューティングとアナリティクスの次世代バーチャルケアパッチの発売に一気に乗り出す。

     新ジョイントベンチャーが提供するのは、重要なバイタルサインの遠隔モニタリングを可能にする新たなパッチデバイスだ。パッチは臨床レベルのオールインワン型マルチセンサーを搭載。医師や看護師が遠隔医療の予約やデジタル医療サービスに、患者の客観的データを活用できる。自宅にいる患者の心血管疾患、呼吸器疾患、神経変性疾患などの医療データを確認して分析し、慢性的な健康状態の臨床診断や治療に役立てる。急速に成長するバーチャルケア市場において、競争力の高い精密医療機器となる。

     XCOの共同創業者兼CEOであるスコット・マクミラン氏は「医師の大多数が消費者向けウエアラブルの収集データを信用していない。また、ユーザー側も、使用するデバイスがクラウドコンピューティングを介してデータを収集・分析するために大量のデータストレージとバッテリーを消費するため、使いにくいという課題を抱えている」と説明する。新パッチデバイスはスマートエッジコンピューティングを採用し、Atlazo社のHSoC(ヘルスシステム・オン・ア・チップ)技術を組み込むことで、この課題を克服することができるという。

     チップに内臓されたAIと高性能のコンピューティングエンジンが、高解像度のセンサー信号を高いサンプリングレートで分析し、重要な指標や情報をBLE(Bluetooth Low Energy、低消費電力モード)経由で患者に伝える。目指すのは、「医師が信頼できるデータ、患者が理解できるデータ、そして何週間も充電せずに装着できるデバイス」だ。

     パッチは血中酸素飽和度に加え、呼吸数、心拍数、心拍変動、体温、活動量を測定する。将来的には、血圧、ECG(心電図)心拍分析、咳や音声による認知分析などの機能が追加される予定。
    XCO and Atlazo Announce Joint Venture to Commercialize Virtual Healthcare Products Leveraging Edge AI System-on-Chip Technology

■視界拡大と画像修正で視力を向上させる、新たなタイプのメガネが登場

  • (出所:Innovegaプレスリリース)
    (出所:Innovegaプレスリリース)
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     米Innovega社の「eMaculaシステム」は、マイクロディスプレイとiOptikスマートコンタクトレンズを掛け合わせ、視界拡大と画像修正で視力を向上させる、新たなタイプのメガネだ。オハイオ州立大学(OSU)が行った、視覚の一部に障害を持つ人を対象とした研究によると、読書、スマホの使用、遠方視などの日常作業において良好な結果が得られたという。本研究は、米国国立衛生研究所(NIH)の米国国立眼研究所(NEI)からの助成金で実施され、最近開催された視覚と眼の研究会議(ARVO)の年次総会のポスターに掲載されている。

     本研究は、眼鏡やコンタクトレンズ、手術で改善が見られない弱視の患者を対象に行われ、近距離と遠距離で視覚を使った作業を行う際のシステムの有用性を評価し、デバイスに対する意見を収集した。評価は9人の視覚障害者を対象に行われた。結果、eMaculaを装着した全ての人の両目の視力に向上が見られた。スマートコンタクトレンズの装用感については、1(悪い)から10(良い)までの評価で平均7.1という結果であった。また、被験者の4分の3が、このデバイスによって日常生活のパフォーマンスが向上し、自立性が高まる可能性を感じたと回答した。

     共同研究者であるオハイオ州立大学オプトメトリー学部准教授のブラドレー・ドアーティ博士は、「今回の研究結果を受け、画像処理のさらなる改良やカメラの仕様改善に向けた貴重な意見をもらった。eMaculaシステムが視覚障害者向けにコンテンツを拡大表示するための十分な視野、高解像度、明るさやコントラストを提供できる可能性が高まる」と期待を滲ませる。

     また、Innovega社は視覚障害者向けのディスプレイ・アイウェアとソフトウェアの共同開発を実施。1カ月使い捨てコンタクトレンズの商品化を目指し、ソフトスマートコンタクトレンズのコストを下げるプロセスエンジニアリングへの投資を進めている。

     同社の共同設立者であり、臨床・規制担当チーフオフィサーであるジェリー・レガートン博士は「視覚障害者を対象とした次の臨床評価が楽しみ。次は、視覚障害のない人が使うiOptikコンタクトレンズの規制当局からの承認取得に向け、臨床試験を進める」と計画を語る。
    Innovega's eMacula System Shows Potential to Increase Independence for Visually Impaired

(タイトル部のImage:Photobank -stock.adobe.com)