2021年5月29日~6月4日に海外の企業・大学・研究機関・米食品医薬品局(FDA)などが配信したプレスリリースの中から、注目のニュースをピックアップしました。

■低価格で非侵襲的な脳活動スキャンデバイス、米FieldLine社

  • HEDscan(出所:米FieldLine社プレスリリース)
    HEDscan(出所:米FieldLine社プレスリリース)

     健康な脳と病気の脳の機能は、どのように変化するのか。最先端の研究を支援する米国スタートアップ企業FieldLine社は、脳の研究者向けに、手頃で使い易い高機能ポータブルスキャンデバイス「HEDscan」の提供を開始する。このキャップ型の脳神経イメージングデバイスは、極低温を使用しない脳磁場計測装置(MDG)を応用したもの。独自の微細加工技術による128個の完全同期型量子磁気センサーを活用し、被験者の脳活動の3次元動画を作成する。研究者や臨床医は今後、このHEDscanで収集したデータを、アルツハイマー病やPTSDなど、様々な精神疾患の研究・診断に活用できる。

     HEDscanセンサーキャップは非侵襲的であり、軽量で装着も容易。脳の内部構造を高解像度で視覚的に確認できる。キャップは様々な頭のサイズに対応可能だ。従来のMEG装置と異なり、被験者は測定中に自由に動き回ることもできる。医療施設や部屋の種類などは問わずに設置できるため、建物の改造も特に必要ない。従来のMEG技術と比べ、HEDscanの信号雑音比(S/N比)が改善されたことも明らかになっている。

     2017年にFieldLine社を共同設立したジェラミー・ヒューズ氏は、「脳の研究・治療ツールとして、非低温MEGが初めて神経科学市場に登場する。HEDscanは、幅広い被験者を対象とした脳機能イメージングを手頃な価格帯で実現する。精神疾患が与える脳への影響について、より広範な研究が可能になるだろう」と期待を寄せる。

     現在、神経科学研究者からHEDscanの注文を受け付けている。装置、キャップ、ユーザーソフトウエアとともにポータブル磁気シールドも販売中だ。

    FieldLine Launches HEDscan™, a Next-Generation Device for Non-Invasive Functional Brain Imaging

■睡眠ストリーミング「Restflix」、事業拡大に向けクラウドファンディング開始

  • (出所:米Restflix社プレスリリース)
    (出所:米Restflix社プレスリリース)

     米Restflix社が開発した睡眠ストリーミングサービス「Restflix」のクラウドファンディングキャンペーンが始まる。Restflixの動画コンテンツは、高品質で、深い睡眠を可能にすると高く評価されている。米国でがん患者や家族の支援を行う非営利団体Livestrongは「眠りに誘う最高のアプリ」、CNNは「毎晩使いたくなるアプリ」と絶賛している。需要の急増に応えるため、クラウドファンディングキャンペーンを実行、ユーザーの獲得と事業拡大を目指す。

     Restflixは、心を落ち着かせる風景の映像や心地よいバイノーラルビート(ヒーリング効果があるとされる音)に加え、瞑想や読み聞かせなどを提供する。ユーザーの睡眠サイクルを整えて不眠症をケアし、健康増進をサポートする。今回の資金調達で製品を革新させて成長を加速し、国際展開を狙う。

     同社CEO兼創業者のケビン・ヒルマン氏は「創業以来、多くのユーザーから投資の申し出を受けてきた。いよいよこれから、ユーザーと共にRestflixの新たな旅の章が始まる。ここまで来られたのはひとえにユーザーのお陰。今回のキャンペーンで、多くの支援に応えたい」と語る。Restflix社が創立されたのは2020年6月。パンデミックに直面する中、2児の父親であるヒルマン氏自身も不眠に悩む一人だった。自らの経験から、睡眠障害を抱える人の気持ちについては誰よりも理解が深い。同氏は「製品の市場投入で成功するためには、自分自身が一番のユーザーになることが最も重要だ。私も毎晩Restflixを使っている。同じ悩みを抱える人の助けになれれば嬉しい」と語る。

     独自技術とバイノーラルビートを活用したRestflixが、脳の覚醒度を効果的に変化させることは既に実証済だ。今回は、医師や睡眠の専門家と連携して、よりリラックスできるオリジナル動画コンテンツを作成し、ユーザーがより早くより長時間快適な眠りにつくサポートをする。パーソナライズされたチャネルは20個以上。米国で増加が続く睡眠障害の問題解決となることを目指している。

     Restflixのクラウドファンディングキャンペーンはこちら
    Nationally Recognized 'Rest App' That Launched the Scientific Sleep Phenomenon Opens to Crowdfunding Investors

■シニア向け遠隔モニタリングシステムを発売、イスラエルEssence SmartCare社

  • VitalOn(出所:Essence SmartCare社プレスリリース)
    VitalOn(出所:Essence SmartCare社プレスリリース)

     イスラエルの遠隔介護ソリューションリーダーであるEssence SmartCare社は、IoTプラットフォーム「VitalOn」を発売する。これはシニア世代が、安全で自立した生活を送るための生活管理サービス。アクティブシニアも、慢性疾患を抱える高齢患者も、包括的な遠隔患者モニタリング(RPM)を受けることで、安心を享受できる。

     VitalOnのコンセプトは、テレケア、ウェルネス、RPM機能を1つのプラットフォームに統合するという新しいもの。システムを常時オンにすることで、自宅でも外出先でも、継続的なモニタリングや慢性疾患管理ができる。VitalOnは簡単に利用でき、Bluetooth Low Energy(BLE)対応の幅広い医療機器に接続が可能。複数の健康機器やモニタリング機器から患者のデータを継続的に収集・分析し、予防医療に役立てる。健康パラメータや日常のバイタルサインに異常を検知すると、ユーザーや介護者、医師に通知が届く。加齢による症状や、糖尿病、高血圧、うっ血性心不全などの慢性疾患にも対応できる。

     シニア世代の80%が何かしらの慢性疾患を抱えていると言われる。Essenceグループの創業者兼CEOハイム・アミール博士は、「高齢化が進み、医療ニーズが複雑になるにつれ、安心してケアを受けることと、自由で自立していることの間で葛藤が発生する。VitalOnはこのジレンマを解決し、シニア世代が自分で健康状態を管理しながら、家の内外で介護者や医師とつながるソリューションだ。安全で活動的かつ、自立した生活を続けることができる」と述べる。

     Essence SmartCare社は、様々な健康医療デバイスメーカーと提携し、パルスオキシメーター、体重計、血圧計、体温計、血糖値測定器、ウエアラブルな活動/睡眠記録計(全てFDA・CEマークを取得済)も一緒に発売する。デバイスは全て自動的にVitalOnのゲートウェイとペアリングされ、患者のデータを継続的にリアルタイムの臨床ダッシュボードに送信することで、ケアチームの早期対応が可能となる。また、高度なAPIにより、あらゆるヘルスモニタリングプラットフォームとのシームレスな統合も可能だ。

     Essence SmartCare社は、遠隔医療サービスプロバイダーやシステムインテグレーターと提携し、米国、EU加盟国、豪州の医療システムや高齢者施設に本ソリューションを導入する計画だ。
    Essence SmartCare Launches VitalOn Remote Patient Monitoring Solution

(タイトル部のImage:Photobank -stock.adobe.com)