2021年6月12~18日に海外の企業・大学・研究機関・米食品医薬品局(FDA)などが配信したプレスリリースの中から、注目のニュースをピックアップしました。

■米Success TMS社、新たなうつ病治療法の拠点を拡大

  • (出所:米Success TMS社プレスリリース)

     新たなうつ病の治療法「経頭蓋磁気刺激(TMS)」を提供する米Success TMS社が、米国内のうつ病治療センターの拠点を拡大する。TMSは薬物療法に代わるとの期待もある話題の治療法で、うつ病の原因となる脳の領域を刺激して治療を行う。薬物を使用しないことから、副作用の心配はない。薬物療法より効果的なケースもあるとされ、多くのうつ病患者の選択肢になってきた。

     創立後3年でFDA承認を取得したSuccess TMSのTMSは、多くの大手保険会社にカバーされるようになってきた。同社は、現在フロリダ州やイリノイ州をはじめ6つの州に32の事務所を持ち、国内で2番目に大きなTMSプロバイダーとして急成長中だ。

     同社の創業者であるジョナサン・ミッシェル氏は、妹をうつ病で亡くしたことをきっかけにTMSを立ち上げ、困難な症状に悩む人の支援に人生を捧げてきた。同氏は「メンタルヘルスは人によって症状が異なるにも関わらず、特にうつ病治療では薬の服用がベストな治療法とされてきた。処方薬や電気けいれん療法(ECT)といった以外の選択肢として、TMS技術の利点と成果を明確に示していきたい」と語る。同社の使命は「うつ病治療に対する認識を広め、偏見をなくすこと」だ。

     TMSの治療は、1回約20分のセッションを8週間行う。TMSの活用により、既に何千人もの患者が薬物や他のリスクを伴う治療の副作用に苦しむことなく病気を克服し、人生を取り戻している。Success TMS社の事務所の詳細はこちら:www.successtms.com
    Success TMS Turns Tragedy Into Hope For Those Struggling With Depression

■胎児の遠隔モニタリング機能、FDAが追加承認

  • (出所:米Nuvo Group社プレスリリース)

     遠隔妊娠モニタリングプラットフォーム「INVU」を提供する米Nuvo Group社は、このほど新たに追加した妊婦の子宮活動(UA)のモニタリング機能に、FDA(米食品医薬品局)の承認が下りたことを発表した。

     INVUは、胎児と母親の心拍数(FHRとMHR)を非侵襲的に遠隔モニタリングするデバイスで、既にFDAの承認を受けている。今回追加承認されたのは、非ストレステスト(NST)など、分娩前の胎児のモニタリングを行う機能だ。母体と胎児双方の生理学的測定値を取得し、NSTテストに必要なバイタルサインを算出することで、妊婦の子宮の収縮を認識する。週に複数回このテストを受けなければならない妊婦も、医師の指導のもと自宅で快適に検査できる。INVUによる「妊婦を中心に据えるケア」が実現する。

     INVUは医療機関の処方箋により利用が可能だ。妊婦はセンサーバンドを装着、バーチャルな診察を受けながらリアルタイムにFHR、MHR、UAを測定できる。INVUアプリとペアリングすれば、簡略化されたデータや洞察を得ることができ、医師による患者管理を最適化できる。

     Nuvo Group社の創業者兼CEOのオーレン・オズ氏は「妊娠32週目からの詳細データを取得し、包括的なケアシステムを提供することで、21世紀の妊娠ケアの在り方を再定義し、進化させたい。今回FDAの承認を得たのは、大きなマイルストーンだ」と述べる。

     80人を対象とした臨床試験では、従来の標準ケアである子宮内カテーテル(IUPC)とINVUを使用してデータを比較評価した結果、INVUの高い信頼性が実証された。イエール大学医学部産科婦人科・生殖科学・小児科の教授であり、Nuvo社の医療顧問委員会委員長であるジョシュア・コぺル博士は「遠隔で非ストレステストを実行できるINVUの独自の機能は、妊娠ケアにとって大きな前進だ。品質の向上が期待できる今後、遠隔医療を利用する患者はますます増えるだろう」と語る。
    Nuvo Group Receives 510(k) FDA Clearance for Remote Monitoring of Uterine Activity

■世界の著名投資家から資金調達、米スリープフィットネス企業

  • (出所:米Eight Sleep社プレスリリース)

     世界初のスリープフィットネス企業として知られる米Eight Sleep社(創立は2014年)は、著名投資家から資金を調達したと発表した。

     今回の資金調達に名を連ねるのは、元MLB選手で起業家のアレックス・ロドリゲス氏、俳優でコメディアンのケビン・ハート氏、Cruise社の創業者であるカイル・ヴォクト氏、シカゴカブスの外野手であるクリス・ブライアント氏、小説家で起業家のソフィア・アモルソ氏など、ビジネス、プロスポーツ、文化界などのリーダー達だ。最適な睡眠によって人間の潜在能力を高めることを使命とするEight Sleep社は、マイアミを拠点とするテクノロジースタートアップを支援する1億ドル(約110億円)のイニシアチブにおいても、ソフトバンクからの投資を引き出した。Eight Sleep社の睡眠技術に世界の期待が集まる。

     同社が提供する睡眠ソリューション「Pod Pro」は、睡眠中の体温変化や心拍数、寝返り、睡眠のサイクルを分析し、一人ひとりに最適な睡眠環境を実現する設計。同社のアプリにデータを送信すると、パーソナライズされたコーチングプログラムやコンテンツが提案される。それらを通してユーザーの休息を促進、体力の回復を図り、睡眠の質の向上を可能にする。

     Pod Proは、ユーザーの睡眠習慣を学習し、ベッドの温度を自動的に調整するAIを搭載している。この機能は4300万時間以上の睡眠データやサーカディアンリズム(24時間周期の体内時計)の研究など、同社が長年に渡り蓄積してきたデータと知見を元に開発されたもの。温度は手動で約12度から46度の間で自由に調節することも可能だ。

     共同創立者兼CEOのマテオ・フランツェシェッティ氏は「最適な睡眠を実現するために、これまでは複数のデバイスやツール、技術を組み合わせることが必要とされてきた。しかし、成果は出ていない。当社はユーザーに最高の睡眠体験を提供することを目指し、包括的なソリューションを構築してきた。投資家の多くはもともと当社製品の愛好家であり、Eight Sleepの技術の高さを裏付けてくれている」と語る。

     人間は一生の3分の1を眠って過ごす動物。睡眠は健康に大きな影響を与える要因であるにも関わらず、米国人の30%は睡眠不足だと報告されている。世界の睡眠市場は2024年までに5850億ドル(約64.4兆円)に達すると予測されている。その市場を牽引役として注目を集めるEight Sleep社は、米ビジネス誌Fast Companyの「2018年の最も革新的な企業」に選ばれ、2年連続TIME’s Best Inventions of the Yearを受賞している。

     起業家兼投資家のトッド・ゴールドバーグ氏は「Eight Sleepは健康において、最も重要な企業の1つ。睡眠の時間と質を大きく改善させることで、誰もが毎日最高のパフォーマンスを発揮する支援をしている」と評価する。

     Pod Proは、eightsleep.comのオンラインショップおよび米国の一部のCostco倉庫店で購入可能。マイアミのHyde HotelでPod Proを実際に試すこともできる。
    Eight Sleep Announces Strategic Investment to Revolutionize Sleep Fitness Movement

(タイトル部のImage:Photobank -stock.adobe.com)