【質問1】今とは違う(ヘルスケアに関する)特徴的な社会の仕組みとして、どのようなものが存在しているか

PHRより広い「PLR」の概念が広がる

 今回、2030年のヘルスケア展望ということでお題をいただきました。2030年の医療の姿に関しては昨年『医療4.0(第4次産業革命時代の医療)』(日経BP)という書籍を書かせていただきましたし、この記事を読まれている方々も各所で次世代の医療に関して色々な話を聞かれているのではないかと思っています。ここでは2030年の展望や予測というのは難しいという前提の中で、頭の体操の意味も込めて少し「ナナメ上」なオピニオンを出させていただきます。

 自分は2030年のヘルスケアの展望として、医療・健康・介護と社会との距離が近くなっていると考えます。大きく3つを挙げたいと思います。

 第1は「生活モニタリング」です。血圧や血糖・睡眠状態といった各「生体」モニタリングだけではなく、2030年には生活の中での人間の活動すべてのモニタリングが可能になると考えます。

 日々の生活すべてをモニタリングする中で、健康状態のアラートや適切な健康指示、はたまた居住環境のアドバイスといった「生活」や「習慣」を包含した健康対応が行われるのではないでしょうか。その際には現在のPHR(Personal Health Record)より広い考えとしてPLR(Personal Life Record)といったような言葉が広がっているでしょう。

 第2は「セルフケア」です。今のように不調になったら医療機関に受診するというだけでなく、OTC医薬品や処方用医薬品の一部が調剤薬局で手に入れることができる零売(現状でも認められている制度。全国で10程度の薬局が行っているとされる)の活用が増え、医療機関でなく個人が不調に対して医療機関受診の前にさらに対応を考えるようになると思っています。個人が不調を判断する際に、適切な医療者やAIとのオンラインでの医療相談があたりまえに活用されていたりするのではないでしょうか。

 第3は「宇宙医療」です。宇宙旅行が行われるようになっていて、宇宙特有の無重力・閉鎖空間などの環境や、宇宙と地球との重力差などから生じる「宇宙病」とも呼ぶような心身状態の対応が求められるようになると考えています。