市場の概要
・農村漁村へ旅行、現場を体験
・滞在ないし宿泊型
・政府が各種の規制緩和

攻略のポイント
・教育との連携
・インバウンド
・テクノロジー活用

 アグリツーリズムは農業(アグリ)と旅行(ツーリズム)を組み合わせた言葉である。都市部に住む人や家族が地方の農村や農場まで旅行し、可能であれば一定期間、滞在ないし宿泊し、田植えや稲刈りなど農業の現場を体験することを指す。グリーンツーリズムと呼ぶ場合もある。漁村や牧場も訪問先の候補になる。

 狙いは都市圏と地方の交流促進、地方創生、現場体験による教育効果、自然に触れることによる癒し、などである。いずれも重要な狙いではある。

 後押しのために農林水産省が「グリーンツーリズム」の旗を振り始めたのは1992年度とかなり前になる。全国200カ所をモデル地域とし、「農山漁村余暇法」をつくり、さらに各種の規制緩和を実施した。もっとも旅行者訪問者の想定と受け入れる地方の農家や町村の想定が一致するとは限らない。こうした取り組みを知ってもらうこと自体にも時間がそれなりにかかる。

 それでも2030年に向けてアグリツーリズムが発展していく可能性は大きい。まず教育である。体験型授業が重要だと言われており、正式に授業の一環として農業体験を取り入れるようになってきた。

 地方の自然の中で学ぶことの意義を重視する傾向は強まっている。農業関連とは限らないが、島や地方にある公立高校に通わせる「地域みらい留学」という取り組みもある。次にインバウンドの潮流がある。大都市や有名地方都市をあえて避け、地方の農村暮らしを体験したいと希望する訪日観光客が出てきている。滞在を意識した古民家ホテルも増えつつある。

 都市ではなく田舎、自然環境の重視、生物との触れ合い、といったことがお題目ではなく、都市圏住民の間から求められるようになってきている。今後、応用が期待されるのはIT(情報技術)である。テレイグジスタンスやハプティクスといったテクノロジーを使って、遠隔地の現場を都市部にいながら体験できるようになってきた。例えば農村の一部の田畑を共有し、作物の成長をインターネット経由で見守り、刈り入れ後、それを購入する。アグリツーリズムそれ自体を仮想的に提供し、農業のファンを増やし、次に現場へ来てもらう。こうしたアプローチも可能になる。

 日本のアグリツーリズム市場は現在500億〜1000億円前後、5年以内に1.5倍に達するとみられる。