北京冬季五輪が始まった。5日目にあたる2月8日には、冬季五輪の3連覇を目指しフィギュアスケート男子ショートプログラムに羽生結弦選手が出場するなど、日本においても盛り上がりを見せている。競技はもちろんのこと、今回の北京五輪で注目を集めているのが、拡大する新型コロナウイルス感染症に対して中国がどのように対策を講じるかだろう。そういった興味を持つ各国の報道陣が驚きを持って報じているのが「料理ロボット」だ。メディア関係者向けのレストランでは、料理をロボットが担当している。カクテルを作る一連の工程までもロボットが行うその技術は、まさにスマートレストランと称するに相応しいものだ。(日経BP 総合研究所)

 「材料を投入し、炒めて、味付けをし、鍋から出して、皿に盛り、テーブルに運ぶ」。この一連の料理プロセスを聞いて、この動作を慣れた手つきでこなしているのがロボットだとあなたは思いいたるだろうか。中国新聞網が伝えた。

 2022年北京冬季五輪・パラリンピックメインメディアセンター(MMC)のスマートレストランでは、これらはすべて現実に起きていることであり、さらには「空からおいしい料理が降ってくる」のだ。

料理人に「弟子入り」した料理ロボット

 北京五輪のスマートレストランで働くこの「料理ロボット」は、麻辣?(ピリ辛スープ煮込み)、宮保鶏丁(鶏肉とナッツの炒め物)、?仔飯(土鍋の炊き込みご飯)などの中国料理はもちろん、ハンバーグ、スパゲティミートソースなどの西洋料理も作ることができ、さらに餃子やワンタンをゆでることも、カクテルを調合することもできる。最も優れた点は24時間待機が可能で、疲れを知らず、すぐに料理を出せることだ。人同士の接触の機会を減らすこともでき、「スマートレストラン」の名に恥じない活躍をする。

 この北京五輪のメディア関係者のために食事を作るロボットは、正式名称を「スマート飲食デバイス」という。スマートレストランでは、スマートハンバーガーロボット、スマート土鍋炊き込みご飯ロボット、スマート軽食・揚げ物ロボット、スマートフライパン、スマート餃子・ワンタンロボット、スマートピリ辛スープ煮込みロボット、スマートカクテル調合ロボットなどのスマート飲食デバイスや、自動的に料理を運ぶクラウドレール運搬システムなどを目にすることができる。

 スマート飲食デバイスは従来の人型ロボットとは様子が異なり、たとえば自動的に炒め物を作るスマートフライパンは主体部分が丸い鍋だ。スマートフライパンは「世界のグルメ都市」と言われる順徳(広東省)で10本の指に入る有名料理人に「弟子入り」し、名人から火加減、調理のテクニック、味付けの順番などの秘訣を伝授され、それをプログラムに変換し、ロボットというハードウェアで再現できるようにしている。

 スマートカクテル調合ロボットは太くて白いロボットアームで、この腕で器用にグラスを取り出し、氷で冷やし、台にセットし、人間のバーテンダーのように複雑な調合をこなす。同時に自動的にシェイクの動作を行い、わずか3-5分で「顔面偏差値が高い」カクテルを完成させる。

カクテルを作るスマートカクテル調合ロボット(画像提供はMMC)

 1月4日から22日までのテスト運営期間だけで、世界各国のメディア関係者と放映権を取得した放送局の関係者およそ1千人あまりがここで食事をした。競技が始まれば、1日あたり約5千-6千人の登録記者・カメラマンや放送局関係者が利用する見込みだ。

その場で注文を受けて調理 「調理済み食品を加熱するだけ」ではない

 ロボット厨房から作り出される料理はどんな材料を使っているのだろうか。新鮮な食材なのか、それとも最近流行の「調理済み食品キット」なのか。

 MMCスマートレストランプロジェクト主管の鍾展鵬氏は、「スマートレストランのスマート調理体験ゾーンではすべての食品を注文を受けてからその場で調理する。スマートデバイスごとに調理する食品はやや異なり、スマートフライパンで調理するのはすべて新鮮な野菜や肉類で、例えば蒜蓉西蘭花(ブロッコリーのニンニク炒め)や小炒黄牛肉(唐辛子と牛肉の炒め)などだ。スマート土鍋炊き込みご飯ロボットは注文を受けてその場で2種類の炊き込みご飯を作ることができ、骨付き肉の土鍋ご飯なら、水、米、油、骨付き肉を土鍋に入れる。骨付き肉はセントラルキッチンで塩漬けにしたものを使う。一方で、スマート餃子・ワンタンロボットは包んである餃子・ワンタンをその場でゆでる」と説明した。

 従来の外食モデルでは、調理する人が変わると、技能に差があるので、同じメニューでも毎回同じ味になるとは限らなかったが、これらの感情を持たない料理ロボットは、調理の動作が正確で、完成した料理の水準が安定するという優位性をもつ。

 スマート土鍋炊き込みご飯ロボットを例にすると、同機械は同時に36個のコンロの火加減を正確に操作することができ、すべての土鍋に必ずおいしいおこげができる。スマート軽食・揚げ物ロボットは注文に基づいてさまざまな材料を識別し、食材や調理工程別に揚げ油の温度や揚げる時間をそれぞれコントロールする。

「空からおいしい料理が降ってきた」が現実に

 料理ロボット以外には、北京五輪のスマートレストランには料理を運ぶ「空中クラウドレール」もある。スマートレストラン中華料理ゾーンは上方に透明のガラスのレールがはりめぐらされ、レールを走る小さなタイヤ付きトレーが常にスタンバイ状態で、指示を受けると迅速に動き回る。これがスマート運搬システムのデバイスだ。

 このレールはスマートフライパンと連動しており、フライパンが皿に料理を盛ると、料理が上方のレールまで持ち上げられ、クラウドレール上のタイヤ付きトレーが受け取り、計算で導き出された最良のルートをたどり、料理を注文した人のいるテーブルの上方まで自動的に料理を運び、料理を降ろす装置が料理をテーブルに届ける。こうして「空からおいしい料理が降ってくる」を実現した。

料理を下に降ろす装置により「空からおいしい料理が降ってくる」を実現(画像提供はMMC)

 このシステムの優位性は料理を運ぶ効率を高めること、防塵と保温の効果、人同士の接触を回避することにある。前出の鍾さんは、「スマート土鍋炊き込みご飯ゾーンには土鍋が18個あり、同時に18種類の料理を作ることが可能で、どの料理も大体4-6分で完成する。さらに空中のクラウドレールと料理を降ろす装置が料理を運ぶので、座席の位置やそのときの混雑状況によって2-4分の差はあるが、人間が調理して運ぶのに比べて料理が出てくるまでの時間が大いに短縮される」と説明した。

 ロボットは調理のほかに何が出来るだろうか。第13次五カ年計画(2016-20年)以来、中国ロボット産業の複合年間成長率は約15%で、2020年の売上高は1千億元(約1兆8千億円)を突破した。掃除ロボットと窓拭きロボットは今や一般家庭に浸透している。ロボットはこのほか、宅配便・物流、手術支援、教育・娯楽など多くの分野で活躍中だ。(出所:人民網日本語版)