市場の概要
・日本の生き方は一つの魅力
・日本ファンは日本の顧客

攻略のポイント
・関心がある人を満足させる
・日本語教育を充実させる

 武士道という言葉を持ち出す以上、本来はきちんと定義すべきだが、ここでは日本に昔からある考え方、生き方という極めて広義の意味で使う。

 高度成長時代、いわゆる日本的経営が世界から注目され、賞賛されたことがあったが、日本経済の成長鈍化に伴い、昨今ではジャパンパッシング(素通り)と言われてしまった。

 だが、その一方でアニメーションや漫画、日本食、日本の田舎を好み、日本でそれらを味わうために来日する人々がいる。経済や経営についても日本には100年以上存続している老舗企業や老舗店が10万近くあると言われる。老舗の多くは短期的な利益を追わず、社員を大事にし、顧客の信頼を得て、もちろん利益も出し、存続してきた。

 世界の国々にはそれぞれ何らかの考え方、生き方があり、優劣を競うものではないにしろ、日本が持っている何かを発信することは必要だろう。

 急成長を続ける新興国の人々もいつかは経済発展の限界や近代化の弊害に直面する。世界の人口がこのまま増え続けると地球全体がいわば一つの島国のようになる。そうなったとき、足るを知る、もったいない、共存共栄といった島国日本の考え方、生き方は一つの拠り所になる可能性がある。グローバルなビジネスの世界でも武士道がリスペクトの対象になり、経営に生かされるかもしれない。

 だからといって日本の良さを鳴り物入りで強引に輸出するものではない。まず良さを分かってもらう。分かってくれた人を少しずつ増やす。そこから始める。カギは日本語である。「おかげさまで」「ご苦労様」といった言葉には、良くも悪くも日本ならではの考え方、生き方が込められている。

 北海道旭川の郊外にある東川町は全国で初となる公立日本語学校をつくった。短期留学生に町に住んでもらい、日本語を学んでもらう。これだけが原因ではないが、東川町の人口は増えつつある。

 あまりにも気の長い話に思われるかもしれないが、日本を分かってくれた人は日本に住むかもしれない。日本のファンが増えれば日本の商品を買う人が増える。世界で推薦してくれる。ビジネスありきで進める取り組みではけっしてないものの最後はビジネスに直結する。