市場の概要
・・消費者に直接商品を届ける
・モノだけではなく体験も届ける
・大手企業あるいは個人が参入

攻略のポイント
・・顧客との関係づくりの再考
・サブスクリプションの導入

 自社で商品を企画し、製造し、ネット通販を中心に自社で販売チャネルを構築し、直接消費者に商品やサービスを届ける。いわゆるDtoC(ダイレクト・ツー・コンシューマー)と呼ばれるビジネスモデルがシリコンバレーのベンチャーを中心に急成長を遂げている。

 チャネルに関わる無駄な販売管理費が大幅に圧縮でき、価格競争力を優位に保てる(Price)、顧客と直接つながることでそのニーズを簡単に吸い上げることが可能になるため商品開発力が上がる(Product)、チャネルに依存しなくて済むため適切なブランド管理を行いながら顧客にマーケティングができる(Place&Promotion)。DtoCは以上のマーケティングの4P戦略に加え、さらにターゲットに刺さる豊かなエクスペリエンス(exPerience)を加えた5Pを満たせるビジネスモデルである。それゆえ旧来型の産業を破壊する威力を持ち、市場構造を大きく変えると見る向きもある。

 DtoCビジネスの多くは、顧客と長期的な関係を築くことが必要になり、その多くがサブスクリプション型の販売形態をとる。

 顧客との関係づくり、つまりマーケティングの手法も大きく変化すると考えられ、DtoCモデルを採用する企業のみならず、彼らのためにブランディングやマーケティングのサポートを行う企業に求められるものも変化する。したがって、そこに対応できれば大きなビジネスチャンスが広がると考えられる。

 さらに企業ではなく個人が製品を企画、クラウドソーシングやクラウドファンディングを使って、開発者や資金を集め、製品をつくり、販売するといったことも可能になっていく。

 近年は、ネットベンチャーだけではなくさまざまなメーカーがDtoCビジネスに参入し始めた。丸井はDtoCメーカーに出資をしながら、自社店舗をこうした企業向けの「ショールーム」として活用してもらう戦略を取り始めた。

 海外では、フランスのロレアルなどの大手化粧品メーカーも、DtoC専用の部門を設置し、メーカーによるネット直販に力を入れ始めた。

 経済産業省によれば、日本のEC(電子商取引)市場は年々拡大し、2018年で17兆9845億円になった。それでも市場全体におけるEC化率はまだ6.22パーセントほどだ。メーカーが直接、ECを手掛けるDtoCビジネスが増えることで、日本のEC市場はまだまだ大きく拡大するだろう。