「高次の」や「超越した」という意味を持つ接頭語「メタ」と、「宇宙」や「世界」を意味する「ユニバース」を組み合わせた造語であるメタバースが、2021年に大きな注目を集めた。そしてそれとともに、NFT(非代替性トークン)コレクションやデジタルコレクションの大人気も到来した。たとえば、人気のデジタルコレクションとしては、北京冬季五輪マスコット「氷墩墩(ビンドゥンドゥン)」があり、ビンドゥンドゥンのNFTブラインドボックスには中古品取引市場で最高2千ドルの値が付いたという。なぜ、こんなにも人気があるのだろうか。(日経BP 総合研究所)

 2021年に最も注目を集めた概念はメタバースと言えるだろう。そしてそれとともにNFT(非代替性トークン)コレクションやデジタルコレクションの大人気も到来した。ではこのデジタルコレクションとは何なのだろうか?なぜ若者に大人気なのか?そしてリスクはないのだろうか?

人気を集めているデジタルコレクション

 中国では2021年にメタバースの注目度が上昇すると、デジタルコレクションの人気が徐々に高まった。

 2021年6月、支付宝(アリペイ)が中国で初めてQRコードの着せ替えスキン「敦煌飛天」と「九色鹿」を売り出し、それぞれ世界限定8千枚としたところ、発売当日にあっという間に売り切れ、人気の高さを見せつけた。

 また今年は寅年で、デジタルコレクションと「虎」の組み合わせを多く目にすることができ、円明園の虎首頭像をはじめとするコレクションが登場して、「正月」の雰囲気をたっぷり漂わせている。

 そして最近人気のデジタルコレクションとしては、大人気となった北京冬季五輪マスコット「氷墩墩(ビンドゥンドゥン)」を取り上げないわけにはいかないだろう。ビンドゥンドゥンのNFTブラインドボックスは中古品取引市場で最高2千ドル(1ドルは約117.8円)の値が付いた。

 またこのほど中国東方演芸集団と阿里巴巴(アリババ)文化娯楽集団が提携してデジタルコレクション「只此青緑」を打ち出し、作品のデジタル著作権の保護を前提に、デジタル化された発行、購入、コレクション、使用を実現した。

 百度(バイドゥ)はデジタルコレクション取り引きプラットフォームを構築中で、3月末のリリースを予定している。ネットユーザーに2万点を超えるデジタルコレクションのアバターを3回に分けて配布する計画だという。

デジタルコレクションとは一体何か?

 ファスト消費時代の大きな流れの中、デジタルコレクションが徐々に人々の視野に入ってきている。永久に所有できるだけでなく、「自分の名前を刻印する」こともでき、今最も人気のあるコレクション対象であることは間違いない。

 デジタルコレクションにはゲーム、音楽、動画から、文化財、トレンド玩具、フィギュアまでいろいろあり、表現スタイルもますます豊富になり、多様化が進んでいる。

 ではそもそもデジタルコレクションとは何なのだろうか?

 NFT、すなわち非代替性トークンとは、ブロックチェーン技術をベースにしたデジタルデータの暗号資産で、デジタルアート、電子アルバム、その他のデジタル作品などがあり、唯一性が保証されている。ビットコインなどのデジタル通貨が絶えず分割可能であるのと異なり、NFTコレクションでは分割できない、唯一無二の資産であることが強調されている。

 わかりやすく言えば、NFTコレクションはブロックチェーン技術を使用して作品に「偽造防止コード」が組み込まれ、それによって唯一無二のデジタル代用貨幣へと「変身」させたものだ。作品は追跡可能であり、著作権を明確にした上で取り引きを行える。

 2021年以降、海外ではNFT作品の人気が沸騰して非常に高額で取引されるようになり、中国でもNFTコレクション取り引きプラットフォームが次々に誕生した。しかしNFTコレクションが暗号通貨の範疇に入るかどうかという問題に、NFTがらみの投機行為などの影響もあって、各種プラットフォームの「NFT離れ」が始まった。主に「デジタルコレクション」の概念が打ち出され、ブロックチェーン技術を使用して標識が示された特定のバーチャル作品であることが特に強調された。デジタルコレクションが金融面の属性を持たないようにするため、中国でこの分野に乗り出すインターネット企業は、中古取り引きを厳格に制限し、コレクションのみを認めている。

なぜ若者に大人気なのか?

 デジタルコレクションにこれほど人気があるのは、今の若者にとってこれが一種の社交の手段であり、人と違う目新しいものを求める若者にぴったりだからでもある。

 デジタルコレクションは実体のあるコレクションと異なり、デジタル世界の中にしか存在しない。そのため実物のコレクションで生じる時間の経過による損失や紛失を心配する必要がない。しかもデジタルコレクションには暗号化技術が応用されているので、コピー不可のデジタル署名を作成することができる。

 言い換えれば、すべてのデジタルコレクションには固有のコードが与えられ、唯一性を備えている。

 上海燃麦網絡科技有限公司の創業者の于皛氏は、「なぜデジタル化した世界に若者は夢中になるのかといえば、それが中心のない、高度に自由な空間だからだ」との見方を示した。

 またあるデジタルアートを愛好するネットユーザーも、「デジタルコレクションは基本的に若者が買っている」と明かす。このユーザーの参加している関連のSNSグループでは、35歳以上の人はまれで、「95後(1995年から1999年生まれ)」が半数以上を占めるという。

 若者のデジタルコレクションブームについて、あるコレクターは、「コレクションする人の一部はデジタルコレクションを一種の資産運用方法にしている。そうした人たちにとっては、知的財産権の価値、コレクションのモチーフ、稀少性、バイヤー数、転売の難易度などが検討するポイントになる」と話した。

 一部のブランドはデジタルコレクションと大人気のブラインドボックスとを結びつけ、このやり方そのものが多くの若い消費者を引きつけ、友だち同士で楽しむ機会も増やしている。

 もちろん、若者の中には純粋に好きだから、本当に「自分を喜ばせてくれる」アート作品だからという理由で、バーチャル作品などをコレクションする人もいる。

NFTへの投資はリスキーなのか?

 NFT取り引きデータサイト「NonFungible」のデータによると、2021年8月、NFT市場全体の取引額が前年同期比700倍以上増加し、1週間の取引額が8月に初めて10億ドルを突破した。

 データ報告によれば、2021年の世界のNFT売上高は前年比21000%まで激増し、176億ドルに達した。

 現時点で、画像とデジタルアルバムはどのように「偽造防止コード」を組み込んでも、依然として複製可能なデータであり、人々はコピーを手元に置いて利用している。工業・情報化部(省)の賽迪研究院企画研究所の李?儒氏は、「ブロックチェーン技術も同じように源のところからデータのコピーを食い止めることはできない。もしも権利侵害事件が発生したら、法執行当局がどのようにバーチャル取り引き口座における行為を現実の中の管轄対象となる法律行為の主体に位置づけるかも難しい点だ」と述べた。

 NFT発行主体の資格の問題は、業界関係者が注目するもう1つの中心的な議題だ。李氏は、「だれが発行するのか。どのように発行するのか。中心化した発行と脱中心化した信任の目標とは矛盾しないのか。発行後の権利はどうやって保証するか。発行主体が経営不振などによって倒産した場合、その後発生した問題はどうやって解決するか」と問題点を列挙している。

 監督管理という観点から見れば、積極的な立法作業が新技術を適切に利用する時にたどらなければならない道になる。専門家は、「現在、中国のNFT発行取引市場の規模は小さいが、できるだけ早く行政監督管理の対象に組み込み、発生する可能性のある金融リスクや法的リスクを回避する必要がある」との見方を示す。

 監督管理が実施されるまでは、投資家にとってNFT関連分野が引き続き大きなバブルになる可能性がある。関係者は、一般の投資家は慎重な態度をとるべきで、NFT産業が健全に長期的に発展するためには、マーケットエンティティのコンプライアンスに合致した運営が必要だと注意を促している。

 ある業界関係者は、「デジタルコレクションの価値は主に知財権の価値と稀少性によって決まる」と述べた。しかし現在の中国のデジタルコレクション市場はまだ萌芽の段階にあり、購入者が「つまらないものを買うことになる」のか、「一攫千金を果たす」のかは未知数だ。

 デジタルコレクション発行プラットフォームの多くは、コレクションの転売を制限し、購入から180日間経たなければ転売・寄贈はできないとしている。また購入時の注意事項の中で、プラットフォームは購入者に転売や投機行為を行わないよう特に強く呼びかけてもいる。(出所:人民網日本語版)