近い将来、企業が思うようにモノを運べなくなる時代がやって来るかもしれない。国内でトラックの運転手が不足し、高齢化も進んでいるためだ。

 運転手の有効求人倍率は過去3年以上に渡って2倍を超えており、2018年3月は2.95となり、全職業平均の2倍だった。一方、ネット通販が急速に普及し、運ぶ荷物は増える。国内の宅配便の取り扱い個数は2016年度に40億個を突破し、前年度から7.3パーセントも増えた。

 再配達も大きな問題になっている。宅配便の約2割が再配達になっているとされ、そのために年間で約1億8000万時間、約9万人分の労働力が使われている。再配達によって、トラックから排出される二酸化炭素も約42万トン増えている。

 運転手不足は今後さらに深刻になる恐れがある。米ボストンコンサルティンググループは2027年にトラックの運転手が24万人、日本で不足すると予測している。同社によると、高齢化やなり手の減少によって運転手の数は今後72万人にまで減る一方、荷物の増加によって運転手の需要は96万人に拡大し、需要の25パーセントに相当する24万人が不足する計算になる。

 輸送方法をトラックから鉄道や船に切り替えるモーダルシフトや、バスやタクシーに客と荷物を一緒に載せられるようにする規制緩和、再配達の防止といった対策だけで、この危機を打破するのは難しい。

 物流業者の多くが運賃の値上げに動いており、荷主企業にとって物流コストの負担が増している。値上げに応じない場合は取引を停止されるケースもある。荷物の配送が遅れたり、誤って届けられたりする問題も生じている。

 運転手の負担を減らすため、荷物の受け入れを制限する物流業者が今後、増えるかもしれない。そうなった先にあるのは、荷主企業が選別される時代だ。過酷な荷物の積み下ろし作業を物流業者に押し付けているような企業は、配送を引き受けてもらえなくなる危険がある。

 顧客に届ける荷物だけでなく、原材料や部品の調達にも影響は及ぶ。予定通りに原材料や部品が届かなければ、商品の生産に遅れが生じる。需要に応じてタイムリーに商品を供給できなければ販売機会を逃す。

 

 こうした事態に陥るのを防ごうと、先行企業は物流の効率化に乗り出している。競合する複数の企業がお互いの荷物を一台のトラックに一緒に載せて運んだり、共同出資で物流会社を共同出資で設立したりする動きがある。

 商品の魅力については引き続き競争するが、物流は協働で取り組むという考え方だ。本来、どこにどんな商品をどれくらい運ぶといった情報を知られたくないため、ライバル同士の共同輸送は進まなかったが、その状況は変わりつつある。

 「選ばれる荷主」になって安定輸送を確保するために、企業は物流の効率化に一層知恵を絞る必要がある。