生活や産業に欠かせないプラスチックを大量に使う企業に厳しい目が向けられつつある。「ポイ捨て」されたレジ袋やペットボトルなどのプラスチック製品が海洋汚染の原因になっているからだ。米ジョージア大学のチームによると、1年間に海に流れ出るプラスチックごみは最大で1270万トンに上る。

 最も問題とされるのが、魚や貝、鳥などが、プラスチックごみを誤って食べてしまい、食物連鎖によって生態系に影響を及ぼすことだ。特にマイクロプラスチックと呼ぶ大きさ5ミリメートル以下の微細なプラスチックは有害物質を吸着しやすく、生物の体内に蓄積されれば重大な被害につながる恐れがある。

 マイクロプラスチックの例として、洗顔料や歯磨き粉などのスクラブ剤に一時期使われていたマイクロビーズがある。レジ袋やペットボトルも海を漂っているうちに紫外線や波の力で劣化し、マイクロプラスチックになる。

 化学繊維を使った衣類からは洗濯のたびにプラスチックごみが出る。自動車などのタイヤも磨耗によってプラスチック粉を環境中に放出している。このように、幅広い企業や商品に関係してくる。

 「海洋プラスチック問題」はG7やG20サミット(首脳会議)でも議題に挙がっており、その重要性は今や世界の共通認識になっている。2018年6月にカナダで開催されたG7シャルルボワ・サミットでは「海洋プラスチック憲章」が採択された。2030年までにプラスチック包装の55パーセント以上をリユースないしリサイクルし、2040年までに熱回収を含めてすべてのプラスチックを100パーセント有効利用する目標を盛り込んだ。

 プラスチック規制を導入する動きも世界で広がっている。ターゲットになっているのは、レジ袋や食品容器、ストロー、食器といった、使い終わるとすぐごみになる「使い捨て」のプラスチックだ。

 国連環境計画(UNEP)国際環境技術センターが2018年6月に発行した報告書によると、欧米やアジア、アフリカなど60を超える国・地域が、有料化や課税、製造・販売・使用の禁止という手法でレジ袋を規制している。

 こうした流れを受けてプラスチック製ストローの廃止を決めた世界の大手外食企業が出てきた。子どもや障がい者といったストローが必要な顧客には紙製ストローを提供するなど素材を切り替える。規制や社会の要請に応えるために取り組むわけだがコスト増は避けられない。

 さらに海洋プラスチック問題への消費者の関心がさらに高まれば、自動車や家電などに使われているプラスチックが将来規制されるかもしれない。

 規制の影響は、使い捨てプラスチックを使用する流通や外食、食品や日用品などのメーカーといったサプライチェーンの下流から、容器包装や素材のメーカーといった上流へと及ぶ。プラスチック原料を供給する素材メーカーにとっては需要の減退が予想されるため、土や海の中で自然に分解する生分解性プラスチックなど、売り上げの減少を補う商品の開発が求められる。

 投資家も海洋プラスチック問題に関心を寄せており、この問題への対応が投資の判断材料になることも考えられる。あらゆるプラスチックが直ちに使用禁止になるわけではないが、少なくとも企業は再生プラスチックの使用を増やすなど、プラスチック廃棄物の削減に努める必要がある。