中国共産党中央委員会と国務院は、「全国統一大市場の建設加速に関する意見」を公表した。全国統一大市場とは、中国市場を大きな市場から強い市場へと転換するための、十分に開放された統一された市場を意味する。現在の世界において最も不足する資源は市場であり、中国には世界で唯一無二の極めて大規模な市場があるため優位性を備えている。この優位性をさらに強くできるのが全国統一大市場の建設加速であり、具体的には、全国統一の市場制度・規則の構築、地方保護と市場分割の状況の打破、経済の循環を「詰まらせる」制約ポイントの解消、商品・要素・資源のより広い範囲でのスムーズな流通――などを行っていくという。(日経BP 総合研究所)

 「中共中央(中国共産党中央委員会)・国務院の全国統一大市場の建設加速に関する意見」がこのほど公表され、各方面の関心を呼んでいる。全国統一大市場とは一体何か。なぜ建設を加速するのか。どのように建設するのか。重点的に解決するのはどのような問題か。

全国統一大市場とは何か?

 同意見は全国統一大市場を次のように明確にした。全国統一の市場制度・規則の構築を加速し、地方保護と市場分割の状況を打破し、経済の循環を「詰まらせる」制約ポイントを解消し、商品・要素・資源のより広い範囲でのスムーズな流通を促進し、高効率で規範化され、公平な競争が行われる、十分に開放された全国統一大市場の建設を加速し、中国市場が大きな市場から強い市場へ転換するよう全面的に推進する。

 そのため、全国統一大市場について、高効率で規範化、公平な競争、十分な開放の3つのキーワードを通して考えることができる。

なぜ全国統一大市場の建設を加速させなければならないのか?

 全国統一大市場の建設を加速する目的は、中国市場の大きな市場から強い市場への転換を全面的に推進し、中国国内の大きな循環を主体としつつ、国内と国際的な2つの循環(双循環)が相互に促進し合う新たな発展構造を構築するために堅固で力強い支えを提供することにある。

 国内市場が大から強へと転換した後は、外部からの挑戦への対応にはより強靱性が備わるようになり、リスクに対抗する能力もより強くなるだろう。

 現在の世界で、最も不足する資源は市場だ。中国には14億の人口がおり、そのうち4億人以上が中所得層であり、世界で唯一無二の大きな国内市場を形成し、極めて大規模な市場の優位性を備えている。しかし地方保護と閉鎖的小規模市場の存在が、経済の循環を「詰まらせる」制約ポイントになっており、中国の極めて大規模な市場のもつ優位性が十分に発揮されなくなる可能性がある。

 そのため、全国統一大市場の建設加速についてのこの文書は、「構築と打破の同時進行」によってさまざまな小さい範囲での循環や地域での閉鎖性を取り除き、生産、分配、流通、消費の各プロセスがよりスムーズに流れるようにし、効果を大幅に上げなければならないとしている。

全国統一大市場をどのように建設するか?

 同意見は課題指向型のアプローチを堅持し、構築と打破の同時進行を掲げる。

 構築という角度から見ると、同意見は「五つの統一」を着実に進めなければならないと明確に述べた。「五つの統一」とは、(1)市場の基礎的制度・規則の統一の強化(2)市場施設の高い基準での相互接続の推進(3)統一的な要素・資源市場の構築(4)商品・サービス市場の高水準での統一の推進(5)市場の監督管理の公平性の統一の推進を指す。

 打破という角度から見ると、同意見は、▽反独占の強化に力を入れる▽不当な競争行為を法律に基づいて摘発する▽地方保護と地域間の障壁を打破する▽法律に基づく平等な参入と撤退を妨害する規定とやり方を整理・撤廃する▽入札・調達分野で統一市場建設に違反する規定とやり方を引き続き整理する、の5つの面で明確な計画を打ち出した。

全国統一大市場の建設にはどんなメリットがあるか?

 まず、統一大市場が建設されると、極めて大規模な市場が資源配置の中での決定的な役割をよりよく発揮し、資源配置の効率を高め、競争とイノベーションを喚起することにより、経済発展がより活力に満ちたものになり、グローバル競争力がより高まることになる。

 次に、大きな市場から強い市場に転換すると、グローバルサプライチェーン・バリューチェーンにおける中国市場の地位を高めることになる。中国向けに製造された質の高い商品がより多く供給され、中国の消費者がより多くの、より優良な選択肢を持つようになる。たとえば消費者にとっては、全国統一大市場が建設されれば、アフターサービスの全国統一が促進され、異なる地域、異なる店舗での商品の返品交換ルートがさらに円滑になるなど、ユーザー体験が向上することになる。

全国統一大市場の建設はどのような新たな変化をもたらせるのか?

 北京大学経済学院の章政教授は、「『意見』実施後は、政策の理念、産業活動、監督管理の実践などにもたらす影響が非常に大きくなり、関連が及ぶ分野が非常に広くなるだろう」との見方を示した。

 まず、市場建設の政策と理念に新たな変化をもたらすだろう。これまでは市場について語る時、語られるのは往々にして市場のハードウェアとケース、つまり市場体制と市場展開だった。今日の市場は、市場のハードを考慮するだけでなく、優れた有効な市場をどのように実現すべきかがより注目される。そのうち同意見で言及された四つの「統一」、すなわち統一的な知的財産権保護制度の整備、統一的な市場参入制度の実行、統一的な公平な競争制度の維持、統一的な社会的信用制度の構築は、将来の政策の実践における重要な方向性だ。

 次に、産業活動の面で新たな変化をもたらすだろう。たとえば同意見の第3部で言及されているように、市場施設の高い基準での連携では、国家物流ターミナルネットワークの構築を推進し、多様な方式での共同輸送の発展に力を入れることになる。統一的な要素・資源市場の構築では、土地・労働力市場、資本市場、技術・データ市場、エネルギー市場、生態環境市場などに関わってくる。

 同意見の第6部は市場の監督管理の実践を専門的に述べており、それには統一的な市場監督管理規則、市場監督管理の法執行、市場監督管理能力の向上の3つの面が含まれる。

全国統一大市場を「計画経済」と歪曲して解釈してはならない

 同意見が公表されると、全国統一大市場の建設加速とは計画経済モデルへの回帰を意味するのではないかとの見方が出てきた。

 章教授は、「全国統一大市場と中央政府による統一的な計画経済は、本質的に異なるものだ。どちらも『統一』という言葉を使っているが、『統一』の中身は異なる。これは根本的な問題だ。『統一的な計画経済』は、統一的な購入、統一的な販売、統一的な管理であり、主に政府が決定し、そのうち大部分の資源を政府が所有し、指令によって分配する一種の集中管理を市場メカニズムの代替とするやり方だ」と述べた。

 章教授は、「現在提起されている『統一大市場』とは、市場サービスの統一、市場基準の統一、市場監督管理の統一、消費者権利の統一を指しており、価値の法則を通じて協調する統一化、開放化、競争化、秩序化された市場調節メカニズムだ。こうした内在的な活力を備えるとともに、規模が極めて大きく、構造が整い、機能が多様化し、メカニズムが柔軟といった目に見える外在的な特徴も備えた新たな市場の建設政策と実践は、中国が極めて大規模な経済発展を実現するための大きな可能性と大きなステージを提供するものとなる。そのため、両者を混同してはならない」と続けた。(出所:人民網日本語版)