国際ロボット連盟(IFR)の調査によれば、2019年時点で世界中の工場で稼働しているロボットの数は270万台に上り、最大のロボット導入国は中国で約78万台。2位である日本の35万台と比較して、2倍以上の数のロボットが中国で稼働していることになる。その中国の勢いは全く衰える気配はないが、ロボットの応用シーンはより多様化している。(日経BP 総合研究所)

 新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、産業用ロボット業界は応用シーンが広がり、人作業の置き換えが加速するなどの動きがみられる。このほど閉幕したばかりの第27回上海国際加工パッケージ展(ProPak China)では、中国製造業のモデル転換・高度化が加速し、パッケージ・物流などの業界における産業用ロボットのニーズが加速的に増大する様子が見られた。新華社が伝えた。

注文に柔軟に対応 パッケージ業界の産業用ロボットによる自動化プロセスが加速

 加工パッケージ業界の人件費の高さ、効率向上の必要性、柔軟な生産スタイルの必要性といった業界の新たな変化に対応して、パッケージ作業ロボット業界が急速な発展期を迎えている。

 同展のロボット・自動化展示エリアでは、産業用ロボットメーカーの李群自動化のブースに消費財加工・パッケージ応用ロボットが2台展示された。そのうち「AP異型少量パッケージ食品仕分け箱詰めロボット」には吸盤付きジグが搭載され、さまざまな形状の少量パッケージの食品をスピーディかつ正確に箱詰めしたい企業のニーズに応え、企業のスマート化により大きな可能性を与えるものだ。もう1つの「日用化学品ボトル仕分け取り扱いラインロボット」は、生産ラインの敷地面積が従来型生産ラインより50%少なくて済む。

 李群自動化の創業者兼会長の石金博さんは、「一部の製造業企業と食品企業にとって、新型コロナウイルス感染症は企業の産業自動化プロセスを加速させることになった。感染症により海外からの注文・ニーズの一部が大きく変動し、これは企業の労働者ニーズも同時に変動することを意味する。自動化が実現すれば、こうした状況によりよく対応していける」と述べた。

 食品メーカーの責任者は、「感染症の影響で、海外からの注文は急に増えたり減ったりした。最も多いときには、従業員を2千人まで増やしたが、海外からのニーズは変動が大きく、注文が減った時には、2千人あまりの人件費が高くついた。そこで自動化を早急に進めなければならなくなった」と振り返った。

 関連機関の統計によると、世界の産業用ロボット設置量は2009年の6万台から、19年の37万3千台に増加した。そのうち18年の設置量増加率は6%に鈍化し、19年はさらに鈍化し、これは主に世界で、とりわけアジア地域での主要なロボットの導入先である自動車業界や3C(コンピューター、通信、電子)業界などの売り上げの伸びが鈍化し、関連企業の固定資産投資が減少したためだ。

 徳邦証券股份有限公司の分析によると、13年以来、中国は世界最大の産業用ロボット応用市場になり、18年のロボット販売量は15万4千台に達し、世界全体の36%を占めた。13-18年の中国産業用ロボット年間販売量の複合年間成長率は33%となり、同期の世界の19%を明らかに上回る水準に達した。ファナックやABBなど世界的に有名なロボットブランドも中国に生産拠点を相次いで設立している。

幅広い産業用ロボットの応用の可能性

 機械の構造を見ると、産業用ロボットには主に垂直多関節ロボット、スカラロボット(水平多関節ロボット)、協働ロボット、デルタロボットがある。

 産業用ロボットの設計にはさまざまな形態があり、それぞれの応用シーンに適した設計がなされる。関連機関がまとめた統計では、20年の中国の産業用ロボット販売量のうち、上記4タイプの産業用ロボットが順に63%、30%、4%、3%を占めた。

 産業用ロボットは自動車工業からスタートして徐々に一般工業にも浸透し、20年には中国の自動車以外の分野における応用の占める割合が70%を超えた。

 人件費の上昇、原材料価格の変動といった要因の影響により、製造業では迅速な生産・引き渡しを可能にする自動化のニーズが上昇し続けている。溶接業界では、煙・埃、弧光、金属片の飛び散り、作業環境などの要因の影響を受け、人を募集しても集まらない、効率が低い、溶接の質が安定しないなどの問題に直面し、自動化が急務となっている。

 北京博清科技有限公司の馮消氷最高経営責任者(CEO)は、「1万立方メートルの球体の缶で、直径は26メートルに達し、壁面の厚さは34ミリメートルを超えるものがある。これを作るには40人の作業員が数ヶ月かかって溶接して、やっと完成するのが普通だった。このような大型加工部品の溶接は、効率が低いだけでなく、溶接の不安定さ、作業員の作業環境がよくないといった問題があった。そのため溶接ロボットの応用には大きな可能性がある」と述べた。

 負荷の少ない溶接の分野で、中国国産産業用ロボットは重複測位精度とアーム展開の距離において海外の有名ブランドの製品に近づいたが、最大速度ではまだ一定の開きがある。

 また業界関係者は、「中国産産業用ロボットは一部の指標でまだ大きく向上する可能性がある」としている。前出の石さんは、「たとえば食品パッケージ用ロボット業界なら、中国の一部の企業の製品は食品の安全基準に対応できるが、要求が比較的に低く、一部のハイレベル企業はベルトコンベヤーの材料の面で耐消耗性、抗菌性、洗浄のしやすさなどの要素を考慮する必要がある」との見方を示した。(出所:人民網日本語版)