既に習近平指導部が産業政策「中国製造2025」を掲げたのは6年前になる。労働集約型製造業から脱皮し、イノベーションを武器にした高付加価値型製造業に転換することを目指した同政策。この実現に向け、中国の製造業は急速に技術を発展させてきた。さらに中国製造業の競争力を一段と加速させるのが、クラウドや5G、エッジコンピューティングなどの「新IT」だ。(日経BP総合研究所)。

 「新IT(情報技術)」と中国実体経済との融合を推進することは、各業界のコスト削減と効率向上の実現をサポートできるだけでなく、より質の高いサプライによって新スタイルを形成し、新たな需要を生み出し、中国製造業のコア競争力を増強することにもなる。「科技日報」が伝えた。

 このほど開催された2021年財新夏季サミットで、聯想集団(レノボ)の楊元慶会長兼最高経営責任者(CEO)は、「新型コロナウイルス感染症がグローバル産業チェーンの変革を加速して、各国が実体ある製造業の位置づけを見直し始めた一方で、感染症は各業界のデジタル化モデル転換プロセスも加速している。こうした背景の中、『新IT』により実体経済にエネルギーを与え、『中国製造(メイド・イン・チャイナ)』から『中国智造(中国のスマート製造)』への転換・高度化を促進する必要がある」と述べた。

 楊氏の見方では、新たなグローバル化の秩序が形成され、中国が発展モデルを転換させる変革期にあって、「新IT」は中国の実体経済がより強くなるのを支えるインフラであり、国内の大きな循環を促進し、新たな発展局面をサポートし、中国経済の発展のポテンシャルを発揮する新たなエンジンでもあるという。

スマート化の波到来 強い「製造業」こそが複雑な局面に対処できる

 楊氏はかつて、「中国はすでに『スマート化の波がわき起こるポストコロナ時代』に突入しており、実体経済こそ立国の本だ。製造業が強くならなければ、国家が複雑で変化に富んだ経済局面と産業周期の中でしっかりと足下を固めるようサポートすることはできない」と述べた。

 それではどのようにして実体経済を強くするのか。楊氏は、「『新IT』によって実体経済にエネルギーを与え、中国製造業が全体としてグローバル産業チェーンのミドルクラス、ハイクラスへと進むよう後押しすることが必要だ」という。

 「新IT」とは、「端末(スマートIoT<モノのインターネット>端末)?エッジ(エッジコンピューティング)?クラウド(クラウドコンピューティング)?ネットワーク(5G)??スマート(産業のスマート化)」技術の枠組みに基づいて各業界にエネルギーを与え、スマート化変革に必要な技術、サービス、ソリューションを実現するものだ。

 現在、スマート製造業からスマート交通、遠隔診療、オンライン教育など、各業界がデジタル化、スマート化のモデル転換を進めており、このこともデジタル化・スマート化を支える情報技術の基礎的枠組みに対してより高い要求をつきつける。

 楊氏は、「『新IT』は業界の共通認識になりつつある??IT技術は今や従来型情報技術ではなく、スマート化変革に必要なものを提供し、人工知能(AI)、5Gクラウドコンピューティング、IoTなど先端の技術、サービス、ソリューションと融合している」との見方を示した。

 端末が集め、生み出した大量のデータと、インターネット及び企業が生み出した大量のデータが結びつけば、ビッグデータを構築する。ビッグデータツールを利用して保存と管理を行い、「エッジ?クラウド?ネットワーク」が提供する計算力を通じ、AIの先進的なアルゴリズムと組み合わせれば、各業界の現行のメカニズムを学習・総括・抽出し、業界のスマート化を構築する。「新IT」と中国の実体経済との融合を推進すれば、各業界のコスト削減と効率向上の実現をサポートするだけでなく、より質の高いサプライによって新たなスタイルを形成し、新たな需要を生み出し、中国製造業のコア競争力を増強することにもなる。

「新IT」を中核に 「1+2+6」戦略協力を構築

 第14次五カ年計画の綱要は、「デジタル経済を発展させ、デジタルの産業化と産業のデジタル化を推進し、デジタル経済と実体経済との深いレベルでの融合を推進する」ことを打ち出した。

 天津市は同計画期間の質の高い発展を実現するため、「製造業立市」と「デジタル天津」建設に重点的に力を入れるとしている。

 聯想は天津市政府が一連の重要措置を通じ、天津の質の高い発展を加速して、次世代AIによるイノベーション発展試験区の共同推進、技術技能型人材育成拠点の共同建設、天津工業企業のクラウド移行の推進、各種製造業企業への一括型ソリューションとサービスの提供、5Gの全域モデル応用の強化、グリーンな計算力のインフラ建設の推進などを展開するのに協力するとしている。

 楊氏は、「聯想は天津市政府との間で第14次五カ年計画期間の戦略的協力合意に調印した。聯想はこれからスマート化モデル転換の実践プロセスで自分たちが構築してきた技術力とサービス力を発揮し、天津の『製造業立市』と『デジタル天津』の建設をサポートする」と述べた。

 この協力合意では「1+2+6」戦略的協力の枠組み体系を計画した。具体的には、新IT技術の枠組みを中核とし(「1」)、天津市の「製造業立市」と「デジタル天津」建設の推進を目標とするものだ(「2」)。そして「6」つの重点業務として、自主イノベーション・オリジナルイノベーションを生み出す力を加速的に引き上げること、製造業の根幹を突き固めること、現代型工業産業体制を構築すること、情報インフラの建設を加速すること、新型スマートシティ分野での協力を強化すること、情報消費の高度化を促進することだ。

 この枠組み体制の中で、「新IT」はスマート製造業をよりよく支え、製造業の質の高い発展を推進することが可能だ。5Gスマート製造生産ラインの場合、カメラと各種センサーがロボットの動きと人の操作の軌跡データをリアルタイムで収集・伝送し、5Gネットワークとエッジコンピューティング、クラウドコンピューティングのプラットフォームの協働により、AIアルゴリズムを利用してビッグデータ分析を行い、機械を予測に基づいて保護し、製品の品質のスマート測定が可能だ。こうした高効率で柔軟なスマート製造スタイルにより、製品の引き渡し効率が20%以上アップする。「新IT」がエネルギーを与えることで、スマート化・高度化した製造業はより大規模で質が高い「効率のボーナス」を発揮するだろう。(出所:人民網日本語版)