7月20日、中国は独自の高速リニア交通システムを開発したと発表した。最高速度は600km/時で、今後はテスト運営、産業化へと進む。リニアはちょうど高速鉄道と飛行機の間の空白を埋める。北京から上海まで行く場合、前後の時間も含めて飛行機なら約4.5時間かかり、高速鉄道なら約5.5時間だが、高速リニアを利用すればわずか2.5時間ほどしかかからないという。今後は「飛行機、高速リニア、高速鉄道、都市交通」を組み合わせ、高効率かつ柔軟で便利な交通構造を構築する。現在、中国各地で高速リニア鉄道の建設計画が打ち出されている。京滬(北京-上海)リニア、滬杭(上海-杭州)リニア、雲南省の昆明-麗江間リニアなどだ。今回の開発を発表した中国中車は山東省に高速リニアのテスト線路を建設する。

 7月20日、中国が独自の知的財産権を備え、時速600キロメートルの高速リニア交通システムが、山東省青島市でラインオフした。中国中車股份有限公司が5年にわたって研究開発してきたもので、世界で初めて設計最高速度が600キロメートルに達したリニア交通システムとなる。

 このリニアはどんな技術的難関を突破したのか。安全性はどうか。どのような重要な意義を持つのだろうか。

どんな技術的難関を突破したのか

 このリニアは先頭車両が全長16メートルで、電気を流すことで生まれる磁力により、車体がレールと接触せずに浮上・駆動・走行することが可能だ。浮上するので走行時にレールに接触せず、受ける抵抗は空気抵抗しかないため、高速での走行が実現する。

 5年にわたる研究開発の結果、プロジェクトチームは重要なコア技術の確立に成功し、できあがったシステムは速度の向上、複雑な環境への適応性、中核システムの国産化といった難問を解決し、システムインテグレーション、車体、けん引・電気供給、運行制御通信、線路・レールなど一連のプロジェクト化技術において重要なブレークスルーを達成した。

 同プロジェクトは5両編成の時速600キロ高速リニア実用化列車を開発した。新型の先頭車両と空圧ソリューション、そして軽量・高強度車体を開発し、中核部品の製造技術を確立した。高速リニアけん引・電気供給システムの独自開発を完了し、長距離・大幹線の自動追跡運行に適応する高速リニア運行制御システムを構築した。さらに新型軌道桁を開発した。システムインテグレーションのイノベーションを行い、高速リニアの複数シーンにおける運用の需要を満たし、複雑な地理的・気候的環境に適応できるようにした。時速600キロ高速リニア交通システムは現在すでにインテグレーションとシステムの総合調整を終えている。

高速運行はどのようにして安全な運行を保証するのか

 高速リニア交通システムは「車体がレールを抱え込むようにして走る」構造を採用しており、安全で信頼性が高い。けん引・電気供給システムは地上に配置され、列車が移動するにつれてブロックごとに電気が供給されるので、隣り合うブロックごとにそれぞれ1台しか列車は走行しておらず、基本的に追突のリスクはない。鉄道の運転レベルで添乗員付き自動運転GoA3(レベル3)を実現し、システムの安全・事故防止では安全度水準のSIL4(最高レベル)などの要求を満たしている。車内空間が広く、快適な乗車体験を提供できる。1両あたり100人以上の乗客を乗せることができ、2両から10両までの間で柔軟に編成ができ、さまざまな定員のニーズに対応できる。車体は走行中にレールと接触しないため、レールの消耗やメンテナンス量が少なく、オーバーホールの周期が長く、ライフサイクル全体にわたり経済性に優れるといったメリットがある。

走行テスト推進とプロジェクト化モデル事業の条件を備える

 世界の先端技術である高速リニアは、世界の軌道交通分野における先端分野の1つであり、グローバル交通テクノロジー競争の戦略上の要衝でもある。複数の国が異なるテクノロジー・ロードマップによって長期にわたり持続的に開発を進めるとともに、テスト・営業用線路を完成、もしくは計画している。

 世界の先端テクノロジーである高速リニアは中国の「交通強国建設綱要」に組み込まれ、「国家総合立体交通網計画綱要」も高速リニアの路線配置と走行テスト用線路の建設を研究・推進することを打ち出した。

 中国工程院の何華武副院長は、「20年近い継続的な研究と技術の蓄積により、中国は高速リニア交通トータルシステムの独自開発能力をほぼ獲得し、一連のプロジェクト化技術を構築し、自主権と独立性を持つ産業配置能力を備えることに成功した。中国の高速リニアは研究開発段階から高速テスト段階へ移っており、今後は徐々にテスト運営段階、産業化発展段階へと進んでいく。時速600キロメートルの高速リニア交通システムがラインオフしたことは、線路での走行テストとプロジェクト化モデルを推進する条件が備わったことを示している」と述べた。

 現在、中国の各地で高速リニア鉄道の建設改修計画が打ち出されている。2021年3月には、京滬(北京-上海)高速リニアが交通運輸部(省)の21年交通輸送戦略プラン政策プロジェクト計画に組み込まれた。20年には浙江省が発表した「省の総合立体交通網計画」意見募集稿で滬杭(上海-杭州)リニアなどのプロジェクトが打ち出され、同リニアへの投資総額は約860億元(1元は約17.0円)、設計速度は時速600キロメートルとなっている。20年には雲南省も昆明-麗江間の高速鉄道を新設する計画を打ち出し、高速リニア方式での建設を検討中であることを明らかにした。また、中国中車がこのほど打ち出した計画では、山東省に高速リニアテスト線路を建設するという。

高速鉄道があるのに高速リニアを発展させるのはなぜ?

 時速600キロメートルの高速リニアは現時点で実現可能な最高速度で走る地上の交通機関だ。実際の移動時間で計算すれば、1500キロメートル以内なら最も速い交通手段になる。現在、高速鉄道の最高運行速度は時速350キロメートル、飛行機の巡航速度は時速800-900キロメートル。時速600キロのリニアはちょうど高速鉄道と飛行機の間の空白を埋めることになる。北京から上海まで行く場合、前後の時間も含めて、飛行機なら約4.5時間かかり、高速鉄道なら約5.5時間だが、高速リニアを利用すればわずか2.5時間ほどしかかからない。

 高速リニアが加わることで、「飛行機、高速リニア、高速鉄道、都市交通」という速度段階が整った、高効率かつ柔軟で便利な多元的立体交通構造が構築されることになる。応用シーンが豊富にあり、長距離輸送に利用することで、交通を「回廊化」し、大規模ターミナル都市間や都市群間に高速の回廊を形成し、地域間の協同発展を促進することができる。また中・短距離旅客輸送にも適用し、中・短距離圏内を「通勤圏化」、「同一都市化」することができ、大都市の通勤圏内や都市群内の隣接する都市を連結して、30分から1時間の経済圏を生み出し、都市圏と都市群の「一体化」と「同一都市化」の方向への発展を促進することができる。

 清華大学交通研究所の陸化普所長は、「600キロメートルクラスの高速リニアシステムには多くの重要な意義がある」として、次の3点を挙げた。

(1)「交通強国」を実現し「全国123移動交通圏」(都市エリア1時間通勤、都市群2時間到達、全国主要都市3時間カバー)を構築するという目標の実現をバックアップし、「交通強国建設綱要」における主要都市間の「3時間交通圏」実現の目標及び都市群内の「2時間交通圏」発展目標の実現を支援する。

(2)世界トップクラスの交通サービスの実現をバックアップする。時速600キロメートルのリニア交通システムは、人々の長距離旅行のスピード、快適さ、便利さを大幅に向上させ、経済的・地理的な位置づけによる特徴、地域の競争力、地域の生活スタイルを変化させる。

(3)中国高速鉄道技術など新技術設備の先行的な地位を強化するうえで役立ち、中国の科学研究と先端プロジェクト技術が関連産業の発展・高度化をリードし、けん引することを促す上で重要な意義がある。(出所:人民網日本語版)