「中国論文、質でも首位」、日経新聞が8月11日付け朝刊で報じた。材料科学や化学など注目8分野のうち5分野で米国などを抜いたという。米中経済摩擦の影響で半導体などで苦杯をなめた中国は、先端産業の自国内完結に大きく舵を切っている。例えば新材料産業の育成に注力する中国・安徽省はこのほど「国際新材料産業大会」を開催、同省トップは開幕式の挨拶の中で「半導体、人工知能、量子計算など次世代情報技術、全固体リチウムイオン電池、水素燃料電池などの新エネルギー技術の発展は、新材料が強力に支える」と発言、参加者の共通認識になった。(日経BP 総合研究所)

 国際新材料産業大会がこのほど安徽省蚌埠市で開催された。参加した代表は新材料の科学技術研究の方向性を探り、産業の発展トレンドを検討・評価し、技術、産業、資本の協力を推進し、独自のイノベーションが質の高い発展の過程で内側に秘める価値とポテンシャルを探求した。「光明日報」が伝えた。

新材料は先端製造業に基礎的なよりどころを提供

 安徽省人民政府の王清憲省長は開幕式でのあいさつの中で、「新材料はそれ自体がハイテクであり、また多くのハイテクにとって技術から産業的価値の実現に至るための基礎的なよりどころでもある。そのため新材料は国・地域の先端製造業の水準をある程度決定すると言える」と述べた。

 安徽省は中国の重要な新材料産業の発展集積地であり、シリコンベース新材料、先進構造材料、新型ディスプレー材料、先進的化学工業材料などの産業拠点と産業クラスターを擁し、これまでに数々の先進的な成果を上げてきた。陶?新材料研究院有限公司はさまざまな分野で先頭を走っている。ポリビニルアルコール(PVA)光学薄膜は他社に先駆けて国産化を実現し、特殊衝撃吸収剤は月探査機「嫦娥4号」への応用に成功し、ポリ乳酸(PLA)の総合的産業チェーンにおける生産はプラスチック禁止時代の新たな窓口を開いた。

 科学技術に支えられて、新材料には無限のイマジネーションの可能性が与えられた。ガラスを例にすると、日常の入れ物として使われるだけの時代はとうに過ぎ去った。0.33ミリメートル(mm)から0.2mmへ、さらには0.12mmへ――蚌埠で生産されたフロート製法超薄型タッチパネル用ガラスは薄さの世界記録を更新し続けている。中国国内初の8.5世代TFT-LCDガラス基板製品がラインオフすると、中国は世界で3番目に先端液晶ガラス基板の生産技術を確立した国になった。

 王氏は、「私たちは、集積回路(IC)、人工知能(AI)、量子計算を代表とする次世代情報技術にしても、全固体リチウムイオン電池、水素燃料電池を代表とする新エネルギー技術にしても、その発展とブレークスルーには新材料という『産業の食糧』による強力な支えが必要であることをすでに認識している」と述べた。

国家戦略に軸足 新材料産業生態圏を整備

 今大会では、「ボトルネックとなっている技術」、「二酸化炭素(CO2)排出量ピークアウト、カーボンニュートラル」が参加した代表が注目し、頻出するキーワードになった。また国家戦略に軸足を置き、新材料産業の未来の発展、エネルギー、環境の協同・協調を重視することが、参加者の共通認識になった。

 中国科学院の朱美芳院士は、「中国の合成繊維は無から有を生み出し、小から大への転換を達成し、発展して今に至るまですでに60年がたち、生産量は世界の70%以上を占めるが、一部の高性能繊維はまだ他国に制限される状況にある。なぜなら、キーテクノロジーは購入できないからだ。新材料分野で引き続き基礎研究と独自の研究を強化する必要があると同時に、新材料の応用分野を開拓する必要がある」と提起した。

 それだけではない。中国科学院院士の劉忠范氏も基調講演の中で、「基礎研究に従事する科学技術者は研究的思考から産業的思考へと飛躍しなければならない。中国のグラフェン関連特許は世界の3分の2を占めるが、基礎研究ばかりで、生産工法のブレークスルーがなければ、グラフェン製品の大規模生産を実現できない」と訴えた。

 中国建材集団有限公司の周育先会長は、「『ボトルネック』による封鎖を突破し、製造強国を建設するには、企業を主体とした、特にリーディングカンパニーがけん引し、産学研が緊密に結びつき、産業と金融の協同が良好で、サービスシステムの健全さを支える新材料の発展生態システムを構築する必要がある」との見方を示した。

 安徽省は新材料産業の集積における重鎮として、第13次五カ年計画期間に、新材料産業の年平均増加率が20%を超え、一定規模以上(年売上高2000万元以上の企業)の新材料関連企業は1362社に達し、これまでに中建材蚌埠ガラス工業設計研究院、銅陵非鉄金属集団股?有限公司など数々のリーディングカンパニーが誕生した。

 北京緑色取引所の専門家チームは、「CO2排出量ピークアウト、カーボンニュートラルの目標を達成するには、グリーン経済、グリーン金融、グリーン社会の『三位一体システム』を構築し、市場の逆方向の強制メカニズムによって産業の高度化を促進する必要がある。これは未来の企業発展のグリーンルートでもある」との見方を示した。

産業モデルのイノベーション 新材料の質の高い発展を駆動

 同大会の開幕式当日に142件の契約が調印され、投資総額は900億元(1元は約16.9円)に達した。

 安徽省発展改革委員会の張天培会長は新材料産業を説明する中で、「安徽省の新材料の特色が鮮明で、イノベーションシステムがますます強固になり、集積の勢いがますます明らかになっている。2020年の安徽省の新材料の付加価値総額は4千億元を超えた」と述べた。

 技術のイノベーション、製品のイノベーション、ビジネスモデルのイノベーションが最終的に新材料産業モデルのイノベーションを実現する。同省は新材料産業の展開を加速的に推進するため、新材料を10大新興産業の1つとし、重点的に発展させるとした。そして現在、省都・合肥の国家実験室、合肥総合的国家科学センターなどのハイレベル国家イノベーションプラットフォームの優位性に依拠して、同省は数多くの新材料分野の「ボトルネック」技術の強化応用シーンの建設を促進し、成果の実施転化を加速させている。

 張氏は、「第14次五カ年計画期間中、安徽省の新材料の発展では先進的基礎材料の質向上とレベルアップをはかり、鍵となる戦略的材料を大きく強くし、最先端の材料の展開を加速させるとともに、次世代情報技術(IT)、新エネルギー自動車、インテリジェントコネクテッドビークル、生命・健康、AI、省エネ・環境保護などの産業との協同発展を目指す。安徽省は第14次五カ年計画末に全体の規模が1兆元レベルで、1千億元レベルの細分化された産業を擁し、100億元レベルのリーディングカンパニーをけん引・サポートする新材料の産業構造を形成するよう努力する」と述べた。(出所:人民網日本語版)