市場の概要
・健康投資の促進
・予防、早期診断、早期治療
・体調、やる気、充実度の見える化

攻略のポイント
・心身の状態のトレース
・従業員メリットの説明
・データの慎重な取り扱い

 健康経営ではたびたび病欠をする「アブセンティズム」や健康問題で効率の下がった状態で勤務する「プレゼンティズム」を重視する。後者のほうが前者よりも業績に影響を与える割合が大きいとの指摘もある。

 SDGs(持続可能な開発目標)では「すべての人に健康と福祉を」を目標の一つに掲げており、その一環として社員の健康に配慮する企業が増えている。

 注目されているのが職場における従業員の健康状態を把握するセンシングサービスである。例えば心電計、温度計(赤外線温度センサー)、3軸加速度計を従業員に付けてもらえば、様々なバイタルデータを記録できる。記録したデータを分析し、社員の状態を把握すれば、企業側の適切な介入が可能になる。

 こうした健診システムの開発にあたった医師の島田祥士氏(細谷たかさきクリニック院長)は「やりたくないと思いながらタスクをこなしていると、自律神経が弱り、ストレス度は上がる。社員一人ひとりの状態をトレースし『休憩するとストレス度が下がる』といった傾向を把握できれば、産業医が仕事中に適度な休憩を挟むようアドバイスできる」と指摘する。運輸や物流関係の企業にとっては、ドライバーの睡眠時無呼吸症候群をはじめとする健康チェックを怠ることは、事故に直結するリスクとして認識されつつある。

 個人の生体情報から活動情報、その時々の環境情報まで集約できれば、それぞれがどんな体質で身体に何が起こっているのかを克明に把握、それに合わせて食べ物や活動を提案できる。会社役員などにターゲットを絞った、超高額のサービスとして提供してもいい。

 昼食後の居眠りをセンシングすれば糖尿病悪化の防止にも役立つ。糖尿病の前段階として食後高血糖が目立つ時期があるが、その段階では昼食後の居眠りをしやすくなる。糖尿病は蓄積性があるため定年60歳時代の就労についてはまだしも、定年70歳や生涯現役社会ではアブセンティズムにつながりかねない。