人、組織、国家、社会が開かれ、互いがつながり、行き来が自由になっている。市場とサプライチェーンのグローバルなオープン化が進み、世界経済は発展した。オープン化は世界に恩恵をもたらすが、「ルールの急変」ももたらす。

 世界がつながったため、新興勢力が新たなルールを持ち込むと、それがあっという間に広がってしまう。米アマゾン・ドット・コムが参入することで事業領域のルールが変わってしまい、既存のプレーヤーが駆逐される。いわゆる「アマゾンエフェクト」はインターネットによって世界の消費者と生産者がつながったことによってもたらされた。リアルな書店、CDショップ、玩具店、衣料品店などはアマゾンによって多大な打撃を受けた。アマゾンは次に薬局を狙い、さらに本格的な金融サービスに乗り出すのではないかと見られている。

 オープン化への反動として、グローバルな商取引ルールを一夜にして覆す意思決定を下す国家もある。一例は「アメリカ・ファースト」を唱えるトランプ大統領による経済政策である。多国間貿易協定の軽視をはじめ、つながるために世界が長年かけて取り決めてきたルールを次々に覆した。

 ルールを恣意的に変える典型例が2018年、世界の関心を集めた米中の貿易戦争だろう。2017年の世界全体の名目GDPで24パーセントを占める米国と、15パーセントまで成長した中国との対決は他国に大きな影響を与えるが、両国がいつルールを変えるのか、予測はしにくい。

 日本の一企業にとっても世界のオープン化とルール急変は様々な形で影響する。金余りの中国企業に取引先がいきなり買われる。長年の付き合いの発注先がより良い条件を出した米国企業の傘下に入ってしまう。破格の誘致条件を出され、海外移転が困難とされてきた日本工場の移転が再加速するかもしれない。

 業界内や業界間、国家内や国家間、人や組織が接するところには必ず何らかのルールがある。法律や条約に書かれたものもあれば暗黙の慣習もある。いずれも人が決めたものであり変えることはできるが昨今ほどルールが急変する時代は無かった。「何でもあり」の傾向は今後も続き、ビジネスを揺るがしていく。