市場の概要
・女性の体調をセンシング
・年間5000億円近い労働損失を改善

攻略のポイント
・女性の健康に関するリテラシー教育
・データの慎重な取り扱い

 オフィス・ヘルスセンシングにおいて重要になってくることの一つに女性の体調の把握が挙げられる。

 2013年に東京大学大学院医学系研究科生殖・発達・加齢医学専攻産婦人科学講座の大須賀穣教授らのグループが試算発表したデータでは、 月経前症候群(PMS)などの月経随伴症状による、1年間の日本の労働損失は4911億円にものぼる。

 女性の場合はエストロジェン、プロゲステロンの二つのホルモンの量がほぼ4週を周期に大きく変わるため、心身ともに安定した時期は4週間のうち1週間という場合もある。これに対し、男性の場合、性ホルモンの分泌量がほぼ一定である。

 月経周期は高温期、低温期として体温に現れる。ウエアラブルデバイスなどで計測した体温と女性の気分の変化を記録することで、自覚されにくいPMS症状を早期にとらえ、対処できれば労働損失を減らすことが可能とみられている。

 また、米国や欧州では、国や世代により差があるが、初経から閉経までの期間のうち、計画的な妊娠を意図する時期を除いて低用量ピルといわれるホルモン薬を飲み続けて月経のリズムとは別に、ホルモンのバランスを一定化することも一般化している。激しい月経の痛みに悩む月経困難症の症状や月経の経血、PMS症状をなくすことができる。ヘルスセンシングで症状が厳しい人を見つけ出せたら、日本でもこのような低用量ピルの処方への誘導も考えられる。

 いわゆる冷え性の程度を超えた低体温による不調を見出すこともできる。

 言うまでもないがヘルスセンシングの結果、得られるデータはセンシティブであり、企業や団体は取り扱いと保護に細心の注意を払わなければならない。とりわけ女性については管理職が女性特有の課題やPMSについて正しい知識を持つ必要がある。