市場の概要
・唾液、尿、皮膚から体の異常を検出
・中赤外光による携帯血糖測定器
・ウエアラブル端末の普及
・自宅と健診施設を結ぶオンラインサービス

攻略のポイント
・測定技術の開発
・従来の血液検査並みの測定精度
・医療費抑制やESGへの効果の見える化

 国内の健診市場は5000億円、2030年には1兆円を超えると予測されている。この巨大市場の中で注目されているのが、皮膚表面に光を当てたり、尿や唾液などから痛みを伴わずに体調の変化を見る、体に優しい非侵襲の検査市場である。

 例えば、鹿児島大学発ベンチャー、スディックスバイオテックは唾液を使ったインフルエンザウイルス検査キットを開発、薬事承認を目指している。従来検査よりも感度が高いという。従来は患者の鼻の奥に綿棒を入れて粘液を採るやり方だった。

 超短パルスレーザー光研究の第一人者である山川考一氏が科学技術振興機構(JST)の大学発新産業創出プログラム(START)などの支援を得て設立したライトタッチテクノロジーは、採血をせず、人体に無害な中赤外光を当てるだけで、高精度で血糖値を測定できる携帯型の検査装置を開発、3年後の実用化を目指している。分子を透過または反射する光が分子の種類や状態によって特有の波長で光を吸収する特性を利用した。また、九州大学発ベンチャー、HIROTSUバイオサイエンスは、線虫を使ったがん検査サービス「N -NOSE」を2020年にも開始する。がん患者の尿の匂いを線虫が高感度に識別する性質を利用した。患者の尿から18種類のがんを検知可能という。

 近年、こうした非侵襲的な検査手法が開発され、従来法と同等の検査感度・特異度が得られるなどの成績が出ている。それらは施設に行かずとも在宅で測定し、結果データを送信できる。こうした自宅と検診施設を結ぶサービスが登場すれば、従来の職域、人間ドック、検診など施設主体の健診の在り方を大きく変える可能性を秘めている。

 これまで健診施設で行われてきた採血管を使った血液検査やレントゲン検査は医療者の手間がかかる上、針刺し事故や被曝のリスクがあった。針や採血管などの廃棄物処理コストも無視できない。

 ただし、非侵襲検査の市場が広がるには、計測の精度向上や収集データの蓄積、利活用方法の確立といった課題がある。