市場の概要
・健康、医療、介護の個人向け助言
・検査や投薬などを最適化
・健康寿命を延ばし、人生を充実

攻略のポイント
・健康、医療、介護の個人情報を収集する
・情報を分析、適切に助言するAIを開発

 50歳を過ぎると複数の生活習慣病を抱える人が多くなる。いくつかの診療所や病院にかかることで、同じような検査や投薬を受け、「本当に全部必要なのか」と疑問に感じることが出てくる。そうした疑問に応えるのが「医療適正化コンシェルジュ」サービスだ。

 過去の健康、医療、介護の情報を分析し、今必要な医療行為をアドバイスしてくれる。例えば「ジェネリック薬がある」「アレルギー検査は過去に実施済み」「開腹手術ではなくアブレーションでも治療できる」といったものだ。アドバイスを基に、掛かり付け医の診察を受ける。手術が必要になる重大な病気の時にも最新医療の情報を伝えてくれるので心強い。

 国民一人ひとりが健康・医療・介護に関する情報を自ら管理する時代となり、その時々の自身の健康状態に合致した最良のサービスを受けることで、健康に暮らせる期間を長くできる。利用者が受ける医療行為の満足度を高めながら、早期に手を打つことで医療費や介護費を抑制していける。労働力や消費の拡大にもつながる。

 医療適正化コンシェルジュは医療や介護にかかわってきたベテランが当初担うことになりそうだが、サービス料金を抑えるためにAIを利用することになるだろう。超高齢化社会を迎える世界の国々でニーズが出てくるので、成功できれば日本で開発されたAI医療最適化コンシェルジュが世界の人々の健康を支援する日がくるかもしれない。

 前述の通り、日々の血圧や心拍数などのバイタルデータを計測できるヘルスセンシングが始まれば、こうしたデータを使ったアドバイスも可能になる。例えば、体温37度は成人の発熱の目安とされるが、実際には個人差があり、肺炎などの初期症状の人もいれば、全く平気な人もいる。継続してデータを計測することで個人の平常値を導き出し、わずかな異変を捉え、病気の早期発見や重症化予防につなげる。

 先駆的事例として、病院や介護施設を運営する福岡市の芙蓉グループが開発した「まいにち安診ネット」がある。個人のバイタルデータを365日計測することで一人ひとりの「テーラーメイド(個別化)医療」に取り組むもので既に病院や介護施設に導入して成果を上げている。

 厚生労働省は国民一人ひとりの保健医療データを、個人を中心とした形で統合できる情報基盤「PeOPLe(ピープル)」の整備を掲げ、2025年の本格運用を目指している。個人の様々なライフステージにわたるデータを保健医療の専門家が共有したり、個人が自らの健康管理に役立てたりできるようになる。